たとえ世界を敵に回してもプーチンが守りたかったもの | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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例え世界を敵に回しても守りたいものとは何だろうか?

 

「天気の子」や「エヴァンゲリオン」のようなセカイ系のアニメでは、主人公が世界を滅ぼしてでも愛する人を守るというような世界観が見られるが、ロシアのプーチンがそこまでして守りたいものは一体何なのかと考えてしまう。

もしかして、プーチンは日本のアニメに影響されてしまったのかもしれないとすら思える。

 

ウクライナがロシアにとって地政学的に重要な場所であるのは明らかであり、その場所を単に力ずくでも支配したいとプーチンが考えてもおかしくはない。

それは、習近平が台湾を欲するのと同じだし、北方領土も同じかもしれない。

しかし、欲しいからといって武力で取っちゃうってのが国際関係上認められる訳がないし、その事で世界を敵に回すことは明らかだ。

 

恐らくプーチンは世界を敵に回すことを予想していた筈だし、それでも行動しなければならないと考える十分な動機があったのではないかと考えてしまう。

 

ウクライナへの軍事侵攻の結果、世界世論を敵に回すことも、SWIFT凍結など経済的な制裁を受けることも、ロシアやロシア人に対するヘイトが起こることも、簡単に想像の付くことだった筈だ。

 

プーチンの理念というものはそれほど薄っぺらいものではないと信じたい。

 

茂木誠著『世界の今を読み解く「政治思想マトリックス」』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集した以下ののネット記事が興味深い。

ロシア・プーチン氏が世界を敵に回しても成し遂げたい「最後の仕事」(PHPオンライン衆知(Voice)) - Yahoo!ニュース

 

ロシアのウクライナ侵攻の結果が「中国と台湾の今後」を左右する | Web Voice (php.co.jp)

 

これを読んでみると、プーチンが世界を敵に回しても守りたかったものは、「ナショナリストとしての矜恃」だというような感じに受け取れる。

 

報道でも、国際関係や軍事の専門家が言うには、プーチンは歴史に残る歴代の強いロシアの皇帝に自分の名を連ねようとしているとの意見もあるが、それはさすがに時代錯誤のように思える。

 

引退間近だからといって、そんなワンチャンに賭けるほど愚かではないだろう。

 

このままでは、プーチンは強いロシアを復活させた偉大な皇帝どころか、愚行により世界を敵に回した挙げ句、ロシアを崩壊させてしまう愚か者になりかねない。


ロシア人が好む強い指導者は、帝政ロシアのピョートル大帝、ソ連時代のスターリン、それにプーチン大統領だと言われているそうだ。

 

中でもスターリンは、自国民を大量に粛正した独裁者であり、ホロドモールと呼ばれる人的飢餓ジュノサイドにより数百万人以上をウクライナで餓死させた人物としても有名だが、「ヒトラーの侵略からロシアを守った英雄」でもあった。

 

スターリン時代のソ連は領土も広く、バルト三国、ウクライナ、ジョージア、アルメニア、さらにはカザフスタンやウズベキスタンなどの国々も支配下に置いていた。

 

はたして、これらの領土を奪い返すことができれば、ロシアは過去の栄光を取り戻すことができる?などと真剣に考えてプーチンはこのような行動を起こしたのだろうか?

 

ウクライナの悲惨で絶望的な歴史に関しては、敬愛する「ぴよぴーよ速報」でわかりやすく解説されているので興味のある方は観てもらいたい。

【絶望の地】小学生でもわかるヤバイ歴史・ウクライナの歴史 - YouTube

 

これらを考えると、プーチンの行動は頭がおかしくなったとしか思えない部分も有るが、単にナショナリストとして強いロシアを取り戻す為や自分の名誉のために世界を敵に回したとは思えない。

 

確かに、プーチンはアメリカによって軍事的にも経済的にも支配されて腐りきっている今の一極集中の世界を良くは思っていなかっただろうし、そのバランスを取るチャンスを虎視眈々と狙っていたかもしれない。

 

また、ロシアにとって放蕩息子的なウクライナとゼレンスキー大統領のNATO&米国寄りの動きに対して頑固親父的に力尽くで矯正してやらねばならぬという気持ちもあったかもしれないが、今回の軍事的侵攻によって、いかなる大義名分があろうとも、結果として自分は世界を敵に回し、世界中から気の狂った悪の大王として認識されるということは容易に想像できたはずだ。

 

今回のロシアによる軍事侵攻は、まるでマトリックスの仮想世界のような、たとえそれが米国の一極集中支配による腐った世界でも、戦争のないぬるい平和が続く世界と、現実の混沌とした戦争があちこちで起こりうる世界を分ける分水嶺のようだ。

 

もし、世界がこのような軍事侵攻を認めてしまえば、同じような事が今後必ず起こってしまい、世界は武力による侵略戦争の時代に突入してしまうかもしれない。

 

そんなことを世界の誰も望まないだろうし、さすがにロシア人でもこれはやり過ぎだと思っているに違いない。

 

プーチンの引いた引き金により、世界の人々は、自分の暮らしている平和な世界のすぐ隣には、同じような戦争のリスクが潜んでいることを実感した。

 

ウクライナ大統領のゼレンスキーという人物は、その中で平和と独立を世界に訴えて徹底抗戦するという立場を取ったことで、英雄となり、プーチンは悪の大王となった。

 

これはまるで「コードギアス反逆のルルーシュ」ではないか?と思ったら、同様な分析を展開している人が居たので驚いた。

デスノートを手にした男の末路~コードギアス反逆のプーチン~/プーチン解析【後編】 - YouTube

 

プーチンがコードギアスを観たかどうかはわからないが、自分の命を賭して何らかの革命を起こそうとしているのかもしれない。

 

現実の世界がいつどのような結末を迎えるのかはまだ混沌としていて見えないが、我々はアメリカ一国によって軍事的にも経済的にも支配される、権力的にもシステム的にもアンバランスだが(仮想の)平和な世界を望むのか?それとも本当の意味でリアルにそれぞれの国や人々が闘争しながらもよりよい世界を求めていく混沌の中でバランスの取れた世界を望むのか?プーチンの引いた引き金によって我々は考えざるを得ない時を迎えたのかもしれない。

 

いずれにしても、これをきっかけに戦争のない平和な世界を全ての人々が望み、結果としてそれが実現することが人類にとって取りあえずハッピーエンドであることは間違いない。

 

ただ、疑問は、今回の件でプーチンロシアが世界中からボコボコにされてウクライナから撤退し、ウクライナがNATOに加盟する流れになったとして訪れるであろうアメリカ主導での今まで通りの平和が、果たして本物の平和かどうか?という点だろう。

 

世界の平和を守っているアメリカは、たとえそれを行使しないにしても世界で最も軍備を持っている武力超大国だということを忘れてはいけない。