いま、つぼみ。
北風が飄々と吹いて、くるくる舞い踊るワルツ
頬を撫でながら、ほどけて去ってゆくね。
ああ、素っ気ない。
さまざまを吸い込んで重たくなった
ふくらはぎの辺りがじいんとするな。
ノルウェーのフィヨルドみたいな銀杏の葉っぱ
また一枚、滴になって
夜の傍におちて、染み込んでゆく。
帰り道は、とても淋しい。
野菜の炊き合わせを、お鍋一杯に作って。
お風呂を沸かしながら、真っ白な泡で片付け。
いつもの、儀式。
大げさだけど、なんにも変わらないのね。
やさしい言葉が、あの日の時間が、こんばんわ。
うつむいて、ぐるぐる
無視してしまおうかな。
明けない夢に、グッバイ。
ふたりはどこまでも、優雅な深海魚のよう。
願えば、くにゃりと笑った月の肌にも届くわ。
貴方にまつわることで、あたりが満たされていく。
洗濯機の、終わったよって鳴り響く音が
私たちの手を、ふり解く。
絨毯が、涙の匂いになる。
ここは恐いくらいに、静かね。
私は取り残されて、悲しい。
こどもが飲まされたビールみたいな、そんな後味。
蟻んこみたいだ。
あのひとの後ろ姿は、夕張メロン
瑞々しくて、優しそうな薄桃色。
もしかして、ひかってる気もするの。
ほんのり蜜の匂いがして。
ちゃんと、辿り着けるようになってるなんてね。
でもほら、貴方とつくった場所は
もう、随分遠いけれど。
いま、届けたいきもちは、きっと爪を立ててしまうから。
そよぐ空気でさらわれる身体 残り香 その瞳だけで悩まされる。
肯いて聴いてくれていたことも、背格好も、
やがては必ず滲んでしまうことが、
瞬いて、呼吸をして、
すきで仕方がない。
ちいさな煌めきが結ばれて、
一面の星座のそれになる。
いまになって、と思うきもちと、あの頃の自分が、愛しい。
少し賑やかで、懐かしい朝。
燃やしても、灰を撒いても、
こころの底に溜まってゆくだけ。
指先で送る言葉も、すごく緊張して苦しい。
消えないの、慣れないの。
おはようだけでも、私の気持ちが伝わっちゃいそうで。
私の中の貴方を殺してほしい。
もうすぐ丑三つ時
雪の華が、誰かを待っているような白で闇を灯す。
草木も虫たちも、宵が、細く息をしてる。
柔らかいしじまで、すべてがしっとりとする。
皮膚の表面も、私の頭のなかも。
きみが太陽だったなら、
せかいじゅうに感じられるかな。
天気予報が傘マークのときは、
さらさらと鳴らしている水の音で
いつまでも、会話していたい。
もう戻れない日々に、
寝そべったエメラルドグリーンを渡って、
舞い上がる息吹に乗って、あなたの前に降り立ってしまったの。
わからないままぜんぶ、在りのまま。
あなたの名前を呼ぶ
私の声が混ざって、ちかづけたの。
追いかける、手を伸ばす、ためらう。
求めるほどに、皆が遠のくようで怖い。
心がそわそわして、でもいい人で居たくて。
自分の都合が後ろめたくてね、
言葉にくるんだ想いは、見せていいのかなぁ。
悲しいブルーをしていても、いつか
交わした記憶は、ことこと暖められて、
日常の酸っぱさがやわらかくなる。
わたしが、まるで貴方に変わって、大切なものが増えてゆく。
見つめられて、必要とされて、
私は、私を感じる。
話しかけてくれなくても、触れてくれなくてもいいの。
たった一言で旅立っていかないで。

