私とは境遇も性格も違う女性が登場する8つの珠玉の物語だった。どの女性も、決して世渡り上手でも器用でもないが、問題意識をもって一生懸命生きている。その姿に感動した。
1番印象に残った女性は、『VIO』のリナだ。たとえ問題意識をもっていても、なかなか日常会話では、悲惨な戦争や虐殺の話はできない。ところがリナは、そのような戦争や虐殺に関する問題意識を、堂々とキャバクラのお客さんに話している。その度胸が凄いと思った。同じ物語で、脱毛ショップの中国人店員のヨウさんが、10年後に社会貢献活動のNPOの代表になっていたのにも度肝を抜かれた。
『あなたの中から』の「あなた」の生き方が、あまりにも壮絶で痛々しかった。「そんなに自分を苦しめ、無理をしなくてもいいのに」と思った。
『チェンジ』でデリヘルで働く「私」が、お客さんにチェンジされた時の叫びが、真に迫っていて心に響いた。できればそのエネルギーもって、デリヘルの世界からは足を洗ってほしい。