パルジファルへの熱い思い | 小林沙羅オフィシャルブログ「小林沙羅のきまぐれ日記」Powered by Ameba

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ソプラノ歌手、小林沙羅のブログです。
出演する演奏会についての日記を中心に、忘れてしまいたくない大切な日々を綴っていきたいと思います。

いよいよ
新国立劇場「パルジファル」プレミエ公演、
開幕しました!

2014年ー2015年シーズンの幕開け公演、
そして、新しい音楽監督、
飯守泰次郎マエストロが自ら指揮を振られる公演です!
演出は巨匠、クプファー氏。
歌手も世界で活躍し、
何度もパルジファルを歌ってきているベテランの方々。
その充実した声に圧倒されます。

今、この記事を楽屋で書いています。
今は3幕上演中。
私の出番は2幕のみなので、
先ほど無事に歌い終わりました。
3幕終わりのカーテンコールまで、時間があります。

終演を待っているこの時間に、
休憩含めて6時間近いこの長大なオペラの魅力を、
私なりに、書き綴りたいと思います。

実は私、パルジファルは全部で5回、
生で見ているのです!
すごいでしょ!

一回目はイタリアのヴェネツィアにあるフェニーチェ劇場。
今から10年ほど前で、
指揮者が誰だったのかも覚えていないのですが、
とにかくドキドキしながら興奮して見ていた事は覚えています。

その頃、大学の春休みを利用して
ヴェネツィアの近くのバドヴァという街に短期留学中で、
ちょうど見に行ける日に、イタリアオペラではなく
「パルジファル」を上演していたのです。
イタリアでワーグナー・・・。。。
と思ったのですが、劇場の雰囲気だけでも味わえれば、
と足を運んだら、思いのほか素晴らしい!
ちゃんと勉強していかなかったせいで、ストーリーも、
何を歌っているのかも、誰が歌っているのかも、
何もわからない状態で行ったのに、
とにかくその音楽に圧倒されてしまったのです。

舞台はとてもオーソドックスなセットで、
歌手もほとんど動かず、ただ素晴らしく響く声で歌っている。
奇をてらった事などなにもないのに、
とにかくなんだかわからないけれどすごい!!!

これが初めてのパルジファルとの出会いでした。

終演があまりにも遅い時間だったので
3幕を断念し帰ったのですが、
危うく最終電車を逃すところで、ぎりぎりに飛び乗り、
ドキドキしながら家に帰ったのを覚えています。

その後「パルジファルは、ウィーンで3回、見ました。
ティーレマンが指揮をした時は、
前奏曲で訳も分からず涙が流れてしまいました。
メスト指揮の時は、1幕最後の合唱や、3幕最後や、
他にも何度か、恍惚とした感覚を味わいました。
音楽の美しさや色彩の移り変わりに夢中になって、
立見で5時間以上、一度も疲れず、眠くもならずに聞き入っていました。

これは今年に入ってから
ウィーンで見たパルジファルのキャスト表です。
ちょっとぶれてて見にくくてすみません(>_<)

パルジファル


あと一回はフランス、リヨン歌劇場で、
大野和士さん指揮でした。
演出が現代的で、花の乙女は皆
恐怖映画、リングの貞子のような格好をして、
血の海の中で踊りながら歌います。
演出に気をとられて音楽に集中しにくい部分もありましたが、
でも、大野さんの指揮するオーケストラの音楽は素晴らしく、
この時も興奮して集中して見ていたので、
5時間半、一度も眠くなりませんでした。

こちらはリヨン歌劇場の写真です。

ONLY LYON で、ライオンのマーク。
フランスのダジャレはおしゃれですね。(笑)

リヨン


私にとってこのパルジファルは、
不思議な縁のある作品です。
ワーグナーの他の作品を見る機会には
まだあまり恵まれていないのですが、
なぜかパルジファルだけはタイミング良く、何度も見て、
何度も感動し、
そして初のワーグナーのオペラ出演、
そして初の新国立劇場出演が、「パルジファル」になるなんて!
運命を感じてしまいます。

今日、劇場に来て下さっている皆様にも、
そしてこれから劇場に足を運ばれる皆様にも、
この、スケールの大きな、そして色彩豊かな、重厚な、
ワーグナーの音楽を全身で感じて、
私が何度も味わったような恍惚感を味わって頂きたい!

さて、そろそろカーテンコールです!
行ってきます!