オペラ「KAMIKAZE-神風-」
いよいよ初日の幕が開きます。
三枝成彰さんの音楽は力強く繊細で心をつかみます。
千住博さんの美術は美しく悲しく、心を打ちます。
福島敏朗さんの台詞は一言一言が深く、心に沁みます。
私の2幕で歌うアリアは大貫妙子さんが書いて下さいました。
素晴らしいアリアです。
愛子の気持ちに深入りすればするほど、
身を削るようにして歌っている自分がいます。
今回このオペラに出演するにあたって、
この作品の舞台である鹿児島県の知覧まで行ってきました。
特攻平和会館でたくさんの遺書や写真や資料と向き合い、
これが、本当に少し前、祖父母が若かった頃にあった事だ、
という事に改めて気付かされました。
一人一人の命の重さ、思いの強さ、
しかし、時代の中で、国のために命を落とす事が、
正しい、立派だ、と言われ、信じられ、
そこから逃れられなかった若者達の運命。
本当に正しい事は何なのか、
大きな流れにただ流されることなく、
一人一人が真剣に考えないといけない。
同じ事を繰り返してはいけない。と強く思います。
これは知覧に展示されていた特攻機、隼です。
冒頭、私の夫はこの隼に乗って飛び立ちます。
それを私が必死で止める所から今回のオペラは始まります。
これは、2幕の舞台である富屋食堂の外観。
今は資料館になっています。
この写真の方が富屋食堂のおかみさんだったトメさん。
そして、ここ、富屋旅館に泊まった私に戦時中の色々なお話を、
とても親切に丁寧に教えて下さったトメさんの曾孫さんと、
今のおかみさんでトメさんのお孫さん、お二人。
一緒に写真を撮って頂きました。
お話していて感じましたが、本当に心の綺麗な方々でした。
これは三角兵舎。
敵から攻撃されにくいように、地下に半ば埋まっています。
これが三角兵舎の中。
ここで特攻隊員達は最後の一夜を過ごしました。
この奥に見える、富士山のような山は開聞岳。
これを知覧の目印に特攻隊員は飛んだそうです。
私もこの山を見ながら、
遠くなっていく開聞岳を眺めていた特攻隊員達の気持ちを
思い、感じ、考えました。
今回のオペラは実際に存在した
穴澤少尉とその恋人をモデルに、
その二人のエピソードを中心に書かれています。
チケットは当日券も少しあるらしいので、
ぜひ。