『インターステラー』を見て(ちょいネタバレしてます) | トラウマ日曜洋画劇場

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レンタルDVDもインターネットもなかったあの頃。インドア派の少年たちがオタクとかヒキコモリといった言葉で安易に総括されてしまうこともなかったあの時代。昭和キッズは夜な夜なテレビで放送される洋画番組をめちゃくちゃ楽しみにしていた……

クリストファー・ノーラン監督の2014年の新作SF『インターステラー』。タイでは11月6日公開だったので、バンコク・セントラルワールドのシネコンで見てきました。200バーツ也。ハリウッドのメジャーな作品は大体日本よりタイのほうが早く見られます。(日本ではあと2週間ぐらい待つのかな?)



(おおざっぱなあらすじ)

地球が砂の惑星化して深刻な食糧危機に

             ↓

人類の存亡をかけ移住可能な新惑星を探査


どうしてクリストファー・ノーランが今さらそんな手垢のついたような話を映画にするのか、家族ドラマのようなかったるい予告編もあいまって、鑑賞前の不安はなかなかのものでしたが……。


『コンタクト』ではジョディ・フォスターに宇宙行きを思いとどまらせようとしたマシュー・マコノヒーが、今回は率先してワームホールに飛び込みます。とはいえ、娘のオバケ話など、映画前半はなんとなくだるい場面が続き……。


二足歩行(?)する人工知能TARSなんてのも出てきますが、舞台が宇宙空間に移ってからも、基本的に、あっと驚くような展開や、のけぞるような斬新な描写はありません。ポンデリングみたいなドッキングステーションもあれだし。



ところがところが。


娘と再会するため、マコノヒーが「ホールイン」しちゃうと、地球上での人間ドラマも時空を超越してシンクロしはじめ……。どうでもいいように見えた前半の家族ドラマにも、クライマックスの「救い」につながる様々な伏線が仕込まれていたことに気がつきます。


5次元空間(?)の映像表現もおもしろいのですが、結局、描きたかったのは人間、そのヤバさ、スゴさだったのでしょう。主人公だけでなく、マット・デイモンやマイケル・ケインら脇役も、怪物的な意志の持ち主です。


そしてなにより際立っているのが、「時間」というものの残酷さ。ネタバレするのもなんですが、理論上124歳になったマコノヒーが「アイムカミングバック」の約束を果たすラストシーンは、感動的であると同時に、異様です。


見終わった印象は、『プレステージ』に似てますね。納得いかないわけではないけど、残尿感のようなモヤモヤが残り、なんだかまたノーランオチにやられちゃったなぁ……みたいな。でも劇場に足を運ぶ価値のある上質のエンターテインメントだと思います。169分とちょっと長いのがたまにきず。このストーリーでこの結末なら、2時間でおさまりそうな気もしました。



『インターステラー』 日本版オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/interstellar/
SFワールドシネマ
https://www.sfcinemacity.com/