『DUNWICH ダンウィッチ』 1987年3月ホラーハウス増刊号 880円
ムー大陸と失われた文明、UFO、怪談、異次元の世界など、オカルトブームの頃にスパークしていた出版社・大陸書房は、『ホラーハウス』という月刊漫画雑誌を当時発行していました。日野日出志、古賀新一、千之ナイフ、高橋葉介……執筆陣もその道のプロがずらり。
そんな『ホラーハウス』が、昭和62年に”ビジュアル・ホラーハウス”と銘打って出版したのが『DUNWICH』です。カラーページのしょっぱい雰囲気は否めませんが、活字記事は盛りだくさん。
スプラッター・ホラー小説のパイオニア、友成純一さんが大活躍していて、恐怖映画座談会を仕切り、「幽霊屋敷は玩具箱」といったコラムなど色々書いています。友成さんは、「血潮の量なら『シャイニング』『ハウス』『処女の生血』『エクソシスト』、肉汁の量なら『死霊のはらわた』『ゾンビ』『デモンズ』『地獄の門』、臓物の量なら『ビデオドローム』『悪魔のはらわた』……」といった具合に、独自の基準でお勧め映画も選んでいます。
『こんなに楽しく面白い世界のファンタスティック映画祭』といった著書がある塩田時敏さんは、「フリークス再考」というコラムを寄せ、フランク・ヘネンロッターの『バスケット・ケース』やブライアン・デ・パルマの『悪魔のシスター』、『ビーイング・ディファレント』という畸形を扱ったドキュメンタリー、日本のSFX映画『キクロプス』などに触れながら、「肉体の変形への怖れこそホラー映画の成立条件だ」と力説しています。
ちなみに、塩田さんの選んだプッツン・キャラクター映画BEST10は、『地獄のモ―テル』『ミミズバーガー』『悪魔のはらわた』『ホラー喰っちまったダ!/やめられない、とまらない人肉バーベキュー』『悪魔のいけにえ』『2000人の狂人』『マニアック』『養鬼』『オクトマン』『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』だとか。
『大霊視者エドガー・ケイシー』『大予言の謎は解けた!』『倒錯の都市ベルリン』など、大陸書房の怪しげなタイトルの本の広告も気になりますが、やはり誌面で一番目を引くのは「エンパイア・ピクチャーズ 新作群の全貌」という特集です。
1983年の創立以来、低予算のSFやホラーを作り続けていたエンパイアは、「アメリカの新東宝」とか「80年代のAIP」などと呼ばれるアレな映画製作配給会社ですが、ビデオパッケージやポスターのデザインにグッときます。『ZOMBIO(ゾンバイオ)/死霊のしたたり』『フロム・ビヨンド』などの超有名作品だけでなく、藤岡弘の出演した『SFソードキル』なんかもエンパイアだったんですね。
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