The Horror Movies ザ・ホラー・ムービーズ (スクリーン臨時増刊)全5巻 | トラウマ日曜洋画劇場

トラウマ日曜洋画劇場

レンタルDVDもインターネットもなかったあの頃。インドア派の少年たちがオタクとかヒキコモリといった言葉で安易に総括されてしまうこともなかったあの時代。昭和キッズは夜な夜なテレビで放送される洋画番組をめちゃくちゃ楽しみにしていた……

それまでなかなか見る機会のなかった劇場未公開のゲテモノ系ホラー映画が、ビデオで簡単に借りたり買ったりできるようになった80年代。インドア派のよい子たちは、当然のごとくスプラッタービデオに群がり、ぐろんちょホラー映画が大ブームとなりました。

トラウマ日曜洋画劇場-The Horror Movies スクリーン臨時増刊 A4サイズ

映画雑誌『スクリーン』もここぞとばかりに、臨時増刊というかたちで、『ザ・ホラー・ムービーズ』というシリーズを出版。趣味の追求にひたすら貪欲だった私は、リアルタイムで1冊ずつ買い揃え、ぬけめなく全5巻をコンプリートしました。

トラウマ日曜洋画劇場-ザ・ホラー・ムービーズ スクリーン臨時増刊1-5巻

『ザ・ホラー・ムービーズ』の内容は、質量ともに当時としてはピカイチで、まさにホラーのバイブルといった感じ。暇さえあれば、なめるように読み返したものです。このシリーズの素晴らしさをなんとかここで伝えたいと思っていたら、なんのことはない、Amazonに丁寧なレビューを書いてる方がいました。(ただし、オリジナル版ではなく、「スクリーンネオブックス」という小型のダイジェスト版みたいなやつに対するレビュー。)

わかりやすい紹介文でしたので、コピペさせてもらいます。トップ1000レビュアーのjunkmanさんという方のレビューです。


これ以前に発売されていたスクリーン臨時増刊「THE HORROR MOVIES」シリーズのPART1とPART2(PART5まで発売されていた)を再編集したものが、このスクリーンネオブックス「THE HORROR MOVIES」です。元となったスクリーン臨時増刊の方はA4サイズ、このネオブックスはB6サイズの手のひらサイズ。情報量としては先に出ていたスクリーン臨時増刊の方が充実していましたが、こちらは現在古本屋でも見つけるのが困難な状況です。それに対してスクリーンネオブックスはまだ見かけることがあります。比べるとやや削られている部分があるものの、それにしてもこの情報量はすごいです。これほどまでにホラー映画を分かりやすく日本語で解説した本は他に見たことがありません。

 

カラーページが多く、A級からZ級まで様々な作品を網羅。50~80年代まで66作品が紹介されています。1986年に発売された本なのでその時代までですが、紹介作品はバラエティに富んでいて、50年代のB級モンスターもの、ジョージ・A・ロメロ監督のTVシリーズ、「13日の金曜日」以降量産されたスラッシャー映画、80年代にブームとなったスプラッター作品群などなど。DVD化されておらず、今となっては見ることのできない作品の情報は貴重です。1巻目の見所は、何と言ってもハーシェル・ゴードン・ルイス監督とアンディ・ミリガン監督の特集。血まみれでグッチャグチャの写真が満載です。他にもB級映画の帝王ロジャー・コーマンの紹介、ジョージ・A・ロメロ、ブライアン・デ・パルマ、デビッド・クローネンバーグの紹介など、見所がたくさんあります。

 

70~80年代を中心に70作品ほどが紹介された2巻の見所は、イタリアンホラー特集のダリオ・アルジェント、マリオ・バーバ、ルチオ・フルチの作品紹介や、13日の金曜日シリーズの紹介、トビー・フーパーやジョン・カーペンター監督の紹介など。ホラー映画ファンの方には資料としてお勧めします。

驚いたのは、アマゾンで販売されていたこの雑誌の価格です。B6サイズのダイジェスト版なのに、中古品が4700円からとなっていました。私のオリジナルA4版を全5巻まとめて売ったら、一体いくらで買ってもらえるんでしょう……ほしい人いますか?

トラウマ日曜洋画劇場-『ザ・ホラー・ムービーズ』スクリーン増刊第1巻

第1巻の巻末には「昭和60年7月25日発行 定価1280円」とあります。西暦1985年ですから、JAL123便の御巣鷹山墜落事故があった年ですね。

雑誌の内容についてちょっと付け足すと、1巻では、「全解剖!ブリティッシュ・ホラーの源流、ハマー&アミカスの全て」という記事でドラキュラやフランケンシュタインのシリーズを解説したり、「ユニバーサル怪奇映画を背負った4人」と題してロン・チャニー、ベラ・ルゴシ、ボリス・カーロフ、チャニー・ジュニアを紹介したりもしています。

巻は、「ダン・オバノン直撃インタビュー」に加え、「サイレント期のドイツ表現派の怪奇性」というコラムで、『カリガリ博士』、『吸血鬼ノスフェラトゥ』、『ドクトル・マブゼ』、『妖花アラウネ』、『巨人ゴーレム』などを紹介しています。

3巻は「1986年度アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭の全貌」という記事を目玉に、リック・ベイカー、ディック・スミス、ロブ・ボーティン、スタン・ウィンストン、トム・サビーニら特殊メイクアップアーティストたちの特集があります。

85年度国内版ホラービデオ人気ベスト10も載っていて、「1位:悪魔のいけにえ 2位:ゾンビ 3位:死霊のはらわた 4位:バスケットケース 5位:2000人の狂人 6位:サスぺリアPart2 7位:ビデオドローム 8位:13日の金曜日・完結篇 9位:ビヨンド 10位:マニアック」とのこと。『ビデオドローム』の順位、低すぎです。

4巻は「パリ国際ファンタスティックSF映画祭」レポートの他、『悪魔の毒々モンスター』などで知られるトロマ映画を特集したり、新旧スクリーム・クイーンを紹介。「ホラー・エロティシズム」というくくりで、『血とバラ』『モデル連続殺人』『歓びの毒牙』『4匹の蠅』『処女の生き血』『悪魔のはらわた』『殺しのドレス』『悪魔のいけにえ』『面会時間』『白い肌に狂う鞭』『タランチュラ』『ヘルター・スケルター』『美女連続殺人魔』『影なき淫獣』『夢魔』『デアボリカ』『ナイトメア』『サンタが殺しにやってくる』あたりをおさらいしてます。

5巻は「東京国際ファンタスティック映画祭’86」の記事がメインとなっていて、「ブリュッセル国際ファンタスティックSF映画祭」なども紹介しつつ、「ホラームービー殺しのテクニック・アラカルト」、「異色ホラー・バイプレーヤーたち」といったコラムが並びますが、さすがにスタミナ切れか、誌面からも1巻や2巻のような異様なパッションは感じられず……。

ちなみに、5巻の巻末を見ると、「昭和61年11月15日発行 定価1800円」とあります。ページ数は変わっていないのに、たった1年でずいぶん値上げしたようです。

 

プレゼント

 

アレな映画が大好物という方はこちらもどうぞ click!!