リバースモーゲージって怖い | 〜 Que Sera、Sara 〜

〜 Que Sera、Sara 〜

楽に生きるってどういうこと?

アメリカの個人の不動産情報は、丸見えです。

 

名前と地域を検索すれば、

普通に不動産売買の情報が見られます。

(たまに有料の地域や、期間が限定されているところもあり)

 

いくらで家を買ったのか、

どこの銀行で、いくらローンを組んだのかもわかります。

 

もちろん、いつ返済し終えたかとか、

返済できずに、差し押さえられた、というのもわかります。

 

なので、2月に亡くなったお隣のおばあさんが、

リバースモーゲージを組んでいたのも、

簡単にわかりました。


リバースモーゲージは、65歳以上が対象。

 

普通のローンには重要な、クレジットスコアの審査もなく、

ただ、そこそこ綺麗に維持している一軒家かコンドミニアム(マンション)があれば、

家を担保にお金を貸してくれます。

(返済は、契約者の死亡した後)

 

基準は、現在の家の評価額と、現在の年齢。

(65歳以上で、夫婦どちらか若い方の年齢に合わせる)

 

お隣は、ずいぶん長いこと住んでるので、ローンもとっくに返済し、

ペンシルバニアにも、サマーハウスを持っているので、

生活に余裕があるのかと思いきや、違ったようです。

 

お隣さんは、2012年にリバースモーゲージを組んでいるのですが、

家の評価額は450,000(45万)ドルとなっていました。

 

2012年なら、お隣の家は、せいぜい30万ドルがいいところ。

15万ドルも評価額が上乗せされている。

 

(他の物件も調べてみたところ、どの家も同じように10万ドル以上、評価額が高い)

 

家の評価額が45万ドルなので、

実際に借りられる現金は、

半分程度の20ー25万ドルといったところ。

(これは詳細がないので、推定)

 

その中から、一括でお金を借り出したり、

月々一定額を振り込んでもらったりします。

 

お隣さんは、家をリノベーションしたりするために、

過去に追加で住宅ローンを組み直していました。

 

なので、リバースモーゲージを組んだ後は、

家のローンの残高を払ったり、屋根にソーラーシステムを取り付けたりで、

大半の現金を消費。

 

2024年1月には、全額使い果たしています。

 

幸か不幸か、おばあさんが亡くなる1ヶ月前。

きれいにお金を使って、お亡くなりになりました。

 

でも、12年で枠を使い果たすのは、

結構ハイペースなような気もしますが。

 

リバースモーゲージのバランスを全額使い切ると、

HUD(住宅都市開発省)がアサインされるようです。

 

お隣の場合、推定25万ドルを使い切ったので、

その後、現金の引き落としはできません。

 

即ストップです。

 

でも、亡くなるまでは、家からは追い出されることはありません。

 

そして、HUDが保険を使って、

モーゲージ会社にフィーなどの支払いをする手続きに入るようです。

 

推測ですが、この時点で、いつでも差し終え物件として売りに出せるよう、

下準備をしている感じです。

 

この段階で、お隣さんが引き出した現金は20-25万ドル程度ですが、

利子やサービスフィーを合わせると、

家の評価額の45万ドルを超えた、と思われます。

(だからHUDがアサインされた)

 

要するに、お隣さんは、10年そこらのリバースモーゲージの利用で、

利子が、使用した現金と同額もしくはそれ以上掛かっているということになります。

 

普通の住宅ローンでは、そんなことありえない。

 

リバースモーゲージの利子やフィーは、

毎月積み上がっていくので、最終的にいくらの借金になるか、わかりません。

 

月々定額で振り込みがある場合には、

利子も月額変動。

 

2012年頃の金利は、さほど高くはなくても、

ここ数年の高金利、さらにリバースモーゲージは、2%ほど上乗せされているようなので、

月の金利が10%を超えててもおかしくありません。

 

そこに月々のサービス料やら、HUD用の住宅保険なんかが加算されて、

借金は増えていきます。

(リバースモーゲージは、借金です。)

 

借りてる本人は、自分が生きている間は、基本、借金を返済する義務はないですからね。

 

いちいち月々の明細書も見ることもなく、

借金がいくらになっているか、気にしている人は少ないでしょう。

 

利用者の死後に、残された家族が、全額一括返済を求められます。

 

そして、返済がもたつくと、利子とフィーはさらに増えていきます。

 

(利子とフィーだけで、月数百ドルが吹っ掛けられていると思われます。)

 

身近にリバースモーゲージを利用したいという人がいたら、

絶対に止めるでしょうね。

 

そして、亡くなったおばあさんと同居していた息子夫婦、

リファイナンスして、家に住み続けるといっていましたが、

結局お金を貸してくれる銀行は見つからず、

売却することに。

 

現在、52.5万ドルで売り出していますが、

あの家の状況では、ディスカウントになるでしょう。

 

そして、45万ドルをモーゲージ会社に返さなければいけないし、

クロージングフィーや、弁護士費用などで、

下手すると赤字かもしれません。

 

いっそ、差し押さえの方が手間もなくてよさそうですが、

タダで住む期間を引き延ばす時間を稼いでいるのかもしれません。

 

他人事ながら、無駄遣いせずに、引越し費用貯めた方がいいと思うのだけど、

大きなお世話ということで。

 

ホント、あの調子のいいコマーシャル、

真に受けると、相続する子供が大変。

 

子供に財産を残したいと思ったら、

リバースモーゲージ以外の融資の検討をオススメします。