夜間や休日診療、高度な治療が可能な2次診療や専門医も増えたし、何より使える薬が増えた。

ゴハンの質が良くなって、室内飼い、フィラリア、マダニの予防も当たり前になった。

いいことだらけ。犬はますます長生きする。

 

でもそうなると増えるのが、がん。ヒトと同じ。

 

 

 

北大がイヌの抗PD-L1抗体の臨床研究のためにメラノーマの患者(犬)を募っていることは、道内でもあまり知られていない。

 

犬と暮らしていても、多くの場合は大学病院まで行ったりしないしね。(行かずにすむならそのほーがいい)  獣医さんだけが知っていればいい話かな。

 

 

北海道大学動物医療センター

【抗PD-L1抗体による腫瘍免疫療法について(臨床研究)】

 

 

抗PD-L1抗体による腫瘍免疫療法について(臨床研究)

 

 

やること自体は治験みたいなもの。お薬代など費用はかからず治療が受けられるけど、研究段階なので効果については不明な点も多く、定期的に検査データをとると思われる。興味のある方はお問い合わせを。(プラセボ群とかまさかないよね?ヒトじゃあるまいし)

 

実際この臨床研究に参加したワンさんも知っている。やったほうがいいかどうかはともかく、メラノーマは進行が早いから、もし若くて全身状態も悪くないなら早めに決断したほうがいいと思う。

 

 

ちなみに、こちらは私も知らなかった。(ちょっと古い話ですいません。この頃脳腫瘍で手一杯だった)

 

●2023年10月5日プレスリリース

【イヌの鼻腔内腺癌や骨肉腫に免疫チェックポイント阻害剤が有効であることを初めて報告 ~イヌ用抗 PD-L1 抗体による免疫療法の適用拡大に期待~】

2023年10月5日プレスリリース

 

鼻腔内腫瘍と一言でいっても良性腫瘍だったり、悪性でも腺がんや扁平上皮がんや肉腫などいろいろある。いずれの場合も手術不適で、北大ではまずは放射線治療、放射線の効果がなくなってきたら分子標的薬など抗がん剤治療に切り替えるプランが提示されている(はず)。

 

で、鼻腺がんにイヌ用抗PD-L1抗体ときた。

 

骨肉腫(n = 2)、鼻腔内腺癌(n = 1)なのでまだまだ実用には至らないだろーけど、実際治療可能となったらいくらかかるんだろうなぁ。苦笑

 

ちなみにヒト、肺がん向けの抗PD-L1抗体薬(テセントリク)の薬価は1回約56万円。これを3週間おき(イヌのほうは2週間おき。価格は不明)に静脈内投与。それなりの有害事象(副作用)も当然ある。

 

分子標的薬(パラディア)との比較が知りたいところだなぁ。価格と手軽さ(内服)でいけば断然パラディアだけど… 

 

今後に期待。

 


↑お鼻の放射線治療に通っていたとき。2年前

ヒトは

「日本では1年間に300~400人が新たに鼻腔がんと診断されます」

日本頭頸部外科学会HPより

 

 

 

一方、犬は

 

↑放射線治療を受けられる飼い主様へ(補足資料2017)より、一部転載

 

2017年までに北大だけで146症例。(記載はないけどおそらく2014年8月からのデータ。古いなー)

北大だけで約50症例/年として、犬の場合症状があっても検査せず診断にいたらないケースが多いだろうから、その数はヒトより多いことは想像がつく。

 

 

鼻腔内腫瘍はマズルの長い犬に多いとか、飼い主の喫煙や空気の汚れた場所での飼育など生活環境による影響もあると言われている。

 

また、あくまでも個人的になんだけど鼻腔内腫瘍は被毛が白×黒に多い気がするんだなぁ。愛犬と激似の鼻腔内腫瘍チワックスさんをSNSでみつけたこともある。(脳腫瘍も白×黒が多い気がする) ひょっとするとみんな親戚かなーとか思うとモヤモヤ。

 

仮にこれがみんな親戚なら、こうしたケースは遺伝病ではなくいわゆる"なりやすい体質"とか、あまりに多い場合には"この犬種に多い病気"とか言われたりする。

たとえばフレブルは脳腫瘍、チワワは水頭症(など頭部の疾患)、キャバリアは弁膜症などなどあげればキリがない。

 

ちなみに遺伝病ではダックスやトイプードルのPRA(進行性網膜萎縮症)がよく知られている。

参考)遺伝性疾患と発症が多いおもな犬種

 

 

日本の流行犬種はお金儲けのために短期間で無理な交配をさせられてきた。(現在は法改正により繁殖制限が設けられて少しはましになったかどーか)

 

結果として親戚があっという間に増え、同じような体質の犬が増える。正しいブリーディングなら病気のコが出たらその親兄弟は繁殖から外すべきなのに、次々産ませるものだから病気に気づいたときは既に遅いし、繁殖屋は自分が卸した子犬がどうなったかなど知る由もないし、そもそも知る気もない。

 

みんながみんなではないけれど、こうして増えるのが遺伝病や"この犬種に多い病気"。

 

「日本の犬は病気の犬だらけ」と海外の愛犬家から揶揄されてきたのはこうした理由から。犬猫の遺伝病を研究している某国立大の先生は「日本の犬は不良品を作って、わざわざ不良品を治そうとしているようなものだ」と言っていた。(何度も脅されたとも言ってたわ) もう15年以上前の話だけど状況は今も変わらない。

 

うがった見方をすれば病気の犬が激減すれば動物医療業界も困るからね、こんなに動物病院もペット保険も増えちゃったし。年々動物にかける医療費※は上がる一方。こうなると誰も根本から改善しようとはしない。困るのは犬と飼い主だけ。

 

病気で苦しむ犬を減らすためにも、不幸な繁殖犬を0にするためにも、まず生体展示販売という業態を無くすのが一番なのにね。

 

でも残念ながら多くの人は犬の病気や繁殖犬はどーでもいいのか、いっこうにこの流通経路は変わらない。楽しそうにペットショップに集う人たち見るたびに、この子犬の親はどーなってると思います?と聞いてみたくなる。

 

これから買うならぜひシリアスブリーダーからお願いしたい。多少お高くてもそれが全ての犬のため。

 

と話がすっかりそれた。苦笑 鼻腔内腫瘍の話を書きたかったのに。また次回。

 

 


↑もう10年以上前に撮った、廃業する繁殖屋の元繁殖犬たち。すでに行政が指導に入った後だったのですっかりキレイになっていたけど実際はこんなもんじゃないので誤解なきよう。

ここのおじーさんに血統書について聞いたら「どの犬がどれだかさっぱりわからん」だって。辞めるときは正直になるね。

 

 

※参考)アニコム「家庭動物白書」

 

店じまいならぬ、犬じまいの準備は着々と進行中。

 

食欲不振に対応すべくとり揃えた犬ゴハンやオヤツ、キレイめのフリースやタオル類その他を後部座席いっぱいに積み込んで、札幌から少し離れた長沼町までドライブ。

 

行き先は動物愛護団体。イベントをのぞくことはあったけど現地に行くのは何年振りだろう。雨の日も雪の日も毎週末通った。あの頃は若かったな。笑

 

 

 

知り合いの獣医さんから預かったフードと合わせて一式受け取っていただいた。

 

残ったお薬も処方日と内容をわかるように整理して委託。チワワだから大した量ではないんだけど、割とよく使われる薬からお高い薬までシニアに使いそうなものは揃っている。あちらのかかりつけさんに相談の上、使える分は使っていただくことになる。

 

フードも薬もすべて愛犬の遺品なので、受け取ってもらえるのはとてもありがたいこと。愛犬の徳を積もうという強かな狙いもあるけれど。笑

 

 

ドライブ日和。その後ファームレストランで食事、温泉にも入って帰宅。こんなにのんびりした休日はいつ以来だろう?

 

 

でも、こうして介護の間できなかったことをして心の隙間を埋めようと試みるも喪失感は相当手強い。

 

一つひとつ、犬のいた形跡が消えていくのは辛いな。

 

先代犬とハニ、奇しくもどちらも旅立ったのは18日。先代犬のときは2週間後にはハニを迎えたのに、同じ2週間後の今日は犬用品を片付けるなんてね。これから本当に犬のいない生活になるんだーと実感させられる。

 

かかりつけ2軒へのご挨拶も完了。着々と終わりが近づいている。

 

以下、振り返り。それも余談。(冒頭から。笑) 

 

今回献体の対応をしていただいたのは病理の先生。

 

そうでなくても獣医さんは変わったヒトが多いのに(すいません。笑)、研究者は変わったヒトしかいないのに(さらにすいません。笑)、その両方に該当されるお方。

 

愛犬が息を引き取ってまだ2日の飼い主と研究者だからね、大前提としてまず温度が違う。

 

おかげで電話しているうちに悲しいのか、なんなのかわからなくなった。笑 

かかりつけさんのように寄り添ってもらうと泣けてくるから、かえって助かったかも。

 

ただ、先生にとってはこちらも少し変わったケースだったらしい。

 

電話でかかりつけ医について聞かれたとき。

2軒あることを伝えると「それはどういうことですか?」と怪訝な感じに。

 

「複雑だなぁ…それはどちらかの診断や治療に不満や疑問があってですか?」と先生。

 

いやいや全然そーではない。

大学病院のレジデントだった先生がいて、CTがあって、24時間受け付けてくれるので腫瘍の治療はかかりつけ②。

かかりつけ①は元々統合医療でお世話になっていて緩和ケアとお薬の処方がメイン。予約なしでもわりとスムーズに診てもらえるし通院頻度は①が高いーと伝えた。

 

私にとっては至極当然、合理的で現実に即している。しかし先生はまだ納得がいかないらしく「複雑だなぁ…複雑だ…」。

 

そんな何回も言う?笑 吹き出すところだった。(実際お会いして話すと感じの良い先生です。誤解なきよう)

 

というのも組織検査の結果は大学からかかりつけに送られ、飼い主はかかりつけの先生から説明を受けるのが通例らしい。(飼い主が読んでわかるようには書かれていないから) 私の答えではどちらに送るか判断しかねた模様。

 

どちらでも大丈夫ですーと伝えたけど先生は公平性を重視したんだろーな。結局ウチに直接送られることとなった。笑 真面目だなー。なんとなくで済ませず、ちゃんと考えてくれている。さすが病理医(獣医)だ。

 

まぁ確かに、かかりつけが2軒はあまり聞かないか。でもどちらもウチには欠かせない大事な病院。

あと、眼科と皮膚科あたりも症状によるけど専門医に行きたいかなぁ。

 

 

基本、餅は餅屋がモットー。

 

同じ獣医師とはいえ知識や経験、技術はもちろん扱ってる薬もみな違う。

そもそも獣医療もこれほど高度になったのに、全科、薬の処方まで最新の知識をもってやれる獣医さんなんている?

 

おまけに患者(動物さん)は一言も口をきいてくれず、たいていは診察に非協力的。痛みも隠すし、問診は保護者(飼い主)からしかできない。まるで小児科。飼い主もいろいろいるからね、獣医さんって大変だといつも思う。

 

2軒のかかりつけさんはそれぞれ他でも診てもらっていることを理解してくれていたし、専門医受診についても快くサポートしてくれた。困ったときもそれぞれから提案してもらえることで選択肢は広がるし、希望する薬は大抵どちらかにはあったし、いいことづくめだった。

 

他院にかかると告げると露骨に嫌な顔をする獣医さんも見てきただけに、2軒のかかりつけさんには感謝しかない。

 

都市部はますます専門的な動物病院が増えるだろうね。動物病院も飽和状態だから。

 

 

…とは書いたけど、それぞれご家庭の事情もあるし、連れていかれる動物のストレスだって無視できない。みんながみんな全てのケースで複数の動物病院を受診すればいいとは思っていないのであしからず。(当然、先生方は全てを把握できないため管理責任は飼い主になる)

 

全部治してくれて、信頼できるかかりつけの先生がいればそれが一番。ただ抱えている病気によっては、かかりつけの休診日にスムーズに診てもらえるようにもう1軒探しておくのはおすすめ。セカンドオピニオンで受診すると話が早い。

 

 

治療のやり過ぎはいけない。

動物の寿命は短い。

動物は具合が悪いときほど家から出たくない。

でもタイミングを逃すとときに予後に影響する。

 

このあたりを大事にしている。


病院は緊張するからグルグル回りたくなるんです🐶

 

月曜朝に献体→火曜昼には荼毘にふされ、夕方スピード帰宅した愛犬。

 

同じ週の木曜日、剖検の報告書が届いた。早いなぁ。

 

まずは一通り被毛や皮膚など見た目、内臓がどうなっているのかが書かれている。その大半は年齢なりの変性だったり、できものだったり。

 

後悔したのはやっぱり頭。前頭葉が頭蓋骨に癒着していた。脳腫瘍が大きくなって脳が圧迫され腫れることで結果的に癒着がおこるから、おそらくそういうこと。

下に押されれば脳ヘルニアとか脳幹がやられ呼吸が止まっただろうけど、上に押されていた。

あんなにグリセリン使ったけど追いついてなかった。(追いつくわけないか)  下痢してもいいからもっとステロイド増やせばよかった。苦しかったね、ごめんよ。無理させちゃったなぁ。

 

その他胆嚢、肝臓、腎臓は引き取ったときからの問題がそれなりに進行した印象。

 

最終的には腎臓が限界だったらしい。療法食なんて全然食べなかったもんね。苦 食べてもらうだけで精一杯。グリセリンにも利尿作用があるので負担になっただろうし。まぁでも、こっちはどーすることもできなかったな。

 

誤解を恐れずに言えば、これはある種の答え合わせ。短いようで長かった2年9ヶ月で愛犬が教えてくれたことの最終章。

 

最期は眠るようにとは程遠かったし、脳浮腫が強かっただろうことを考えると必要だったのはやっぱり安楽死だと思った。しかしどのタイミングだろ?歩けなくなった時点で?

 

ヒトの勝手で交配され作られているんだもの、お犬様は最期くらい苦しまずに旅立つ権利があるとずーっと思っているのに、毎回タイミングがわからない。

 

そううまくはいかないんだな。

 

結局は飼い主(家族)が一生懸命考えた治療や最期が正解と思うよりない。

 

剖検の報告書って担当した(獣)医師の名前が記載されるんだけど、今回は実習なので教授のサインの上に学部生らしき名前が入っていた。

ちょっと調べさせてもらったところ、大学から2年続けて賞に選ばれている優秀な学生さんだった。すごいねー。

 

お役にたてたかな?ハニも鼻高々だ。

 

残すは組織検査の結果だけ。こっちは時間がかかりそう。