ヒトは

「日本では1年間に300~400人が新たに鼻腔がんと診断されます」

日本頭頸部外科学会HPより

 

 

 

一方、犬は

 

↑放射線治療を受けられる飼い主様へ(補足資料2017)より、一部転載

 

2017年までに北大だけで146症例。(記載はないけどおそらく2014年8月からのデータ。古いなー)

北大だけで約50症例/年として、犬の場合症状があっても検査せず診断にいたらないケースが多いだろうから、その数はヒトより多いことは想像がつく。

 

 

鼻腔内腫瘍はマズルの長い犬に多いとか、飼い主の喫煙や空気の汚れた場所での飼育など生活環境による影響もあると言われている。

 

また、あくまでも個人的になんだけど鼻腔内腫瘍は被毛が白×黒に多い気がするんだなぁ。愛犬と激似の鼻腔内腫瘍チワックスさんをSNSでみつけたこともある。(脳腫瘍も白×黒が多い気がする) ひょっとするとみんな親戚かなーとか思うとモヤモヤ。

 

仮にこれがみんな親戚なら、こうしたケースは遺伝病ではなくいわゆる"なりやすい体質"とか、あまりに多い場合には"この犬種に多い病気"とか言われたりする。

たとえばフレブルは脳腫瘍、チワワは水頭症(など頭部の疾患)、キャバリアは弁膜症などなどあげればキリがない。

 

ちなみに遺伝病ではダックスやトイプードルのPRA(進行性網膜萎縮症)がよく知られている。

参考)遺伝性疾患と発症が多いおもな犬種

 

 

日本の流行犬種はお金儲けのために短期間で無理な交配をさせられてきた。(現在は法改正により繁殖制限が設けられて少しはましになったかどーか)

 

結果として親戚があっという間に増え、同じような体質の犬が増える。正しいブリーディングなら病気のコが出たらその親兄弟は繁殖から外すべきなのに、次々産ませるものだから病気に気づいたときは既に遅いし、繁殖屋は自分が卸した子犬がどうなったかなど知る由もないし、そもそも知る気もない。

 

みんながみんなではないけれど、こうして増えるのが遺伝病や"この犬種に多い病気"。

 

「日本の犬は病気の犬だらけ」と海外の愛犬家から揶揄されてきたのはこうした理由から。犬猫の遺伝病を研究している某国立大の先生は「日本の犬は不良品を作って、わざわざ不良品を治そうとしているようなものだ」と言っていた。(何度も脅されたとも言ってたわ) もう15年以上前の話だけど状況は今も変わらない。

 

うがった見方をすれば病気の犬が激減すれば動物医療業界も困るからね、こんなに動物病院もペット保険も増えちゃったし。年々動物にかける医療費※は上がる一方。こうなると誰も根本から改善しようとはしない。困るのは犬と飼い主だけ。

 

病気で苦しむ犬を減らすためにも、不幸な繁殖犬を0にするためにも、まず生体展示販売という業態を無くすのが一番なのにね。

 

でも残念ながら多くの人は犬の病気や繁殖犬はどーでもいいのか、いっこうにこの流通経路は変わらない。楽しそうにペットショップに集う人たち見るたびに、この子犬の親はどーなってると思います?と聞いてみたくなる。

 

これから買うならぜひシリアスブリーダーからお願いしたい。多少お高くてもそれが全ての犬のため。

 

と話がすっかりそれた。苦笑 鼻腔内腫瘍の話を書きたかったのに。また次回。

 

 


↑もう10年以上前に撮った、廃業する繁殖屋の元繁殖犬たち。すでに行政が指導に入った後だったのですっかりキレイになっていたけど実際はこんなもんじゃないので誤解なきよう。

ここのおじーさんに血統書について聞いたら「どの犬がどれだかさっぱりわからん」だって。辞めるときは正直になるね。

 

 

※参考)アニコム「家庭動物白書」