前回の続き。
愛犬は最期まで脳腫瘍と鼻腔内腫瘍(腺がん)に苦しめられていた…はずだったんだけど
報告書の最後の一文
「鼻腔内に腫瘍は認められず、髄膜腫も小型でした」
おおお?(もはや言葉にならない。汗)
◆鼻腔内腫瘍
2022年5月に鼻腔内腫瘍(腺がん)と診断され北海道大学動物医療センターにて放射線治療(SRT)を受ける。2023年末、CTで再び腫瘍を確認し翌月から分子標的薬(パラディア)を開始したが、体重減少により32回で治療中止。
・詳細は
剖検で、腫瘍が消えていたのはパラディアが効いたと考えるのが妥当なところ。
ただ昨年末のCTの際に組織検査はしていないので、がんの再増大自体誤診の可能性が全くないとはいえない。でも"鼻の腫瘍は必ずまた大きくなる"と北大の先生から繰り返し言われていたし、痛い思いをさせてまで調べようとは思わなかったからなぁ。まさかこんな結果になるとは。
もし元気な状態だったらちゃんと精査してから投薬を始めて、3ヶ月くらいでまたCTで経過をみていけたのに。
↑2023.12月のCT 腫瘍だよね?
パラディアが奏効した、としておく。
また、いまさらながらパラディアの添付文書をちゃんと読んでいなかったことに気がついた。(動物実験に関することも書かれてて読むのが嫌になったんだわ。苦)
改めて見てみると
放射線療法や化学療法(抗がん剤)のある・なしでパラディアの奏効率が異なっている。
↑Zoetisパラディア錠添付文書より一部コピペ
(表、上の化学療法ー抗がん剤のほうはちょっとおいといて)
要するに、
・過去に放射線治療を受けたことがあって、パラディアの効果が認められたのは 20.0%(1/5例)
・放射線治療を受けたことはなく、パラディアの効果が認められたのは 25.0%(3/12例)
その差5%。
とはいえ国内のデータは数が数なので、仮にウチを加えると放射線療法実施の奏効率 は33%(2/6例)となり、放射線療法未実施の奏効率25%を超えてしまう。笑
参考になるような、ならないような…
みんなに同じように効けば言うことないのにね。
◆髄膜腫
"頭蓋底に広がった大きな腫瘍。髄膜腫疑い"と北海道大学動物医療センターで診断されたのは2023.5月。
6月には同センターにて放射線治療(緩和照射を選択)を開始。その直後からトラピジルを翌年2月まで内服。
詳しくは2023.6〜7月のブログ記事
で、最後にまさかの"髄膜腫は小型"ときた。
これについては緩和照射とはいえ放射線治療の効果が持続していた可能性と、トラピジルが効いていた可能性も十分ある。以前に効果なかったと書いたのは訂正💦
これ以上確認しようがないのが悔しいなー。北大動物医療センターの先生、トラピジルについては真っ向から否定、聞く耳持たずだったからね。(担当医、軟部外科と放射線がご専門)
脳腫瘍のせいと思っていた症状はふらつき、旋回、吐き気、食欲不振。
"緩和照射は、早ければ2〜3ヶ月後には再び腫瘍が大きくなる"と言われていたので、冬以降の体調不良は脳腫瘍がまた大きくなったせいだと思いこんでいた。
しかし腫瘍が縮小した状態を保てていたなら、前述の症状が悪化したことと辻褄があわない。
グリセリンはおおむね効いてたことから脳腫瘍の影響もあるものの、著しい悪化は昨年冬から開始した薬剤(抗生剤とパラディア、増量したプレドニンなど)が肝臓と腎臓にいっそう追い討ちをかけた可能性が高そう。
この辺りも若ければ検査しながら進められるんだけど、高齢だとそうはいかない。複数の疾患を抱えたシニア犬は難しい。
ただもう一つ、別の疑問も。
それは前頭葉と頭蓋骨の癒着について。
ウチの犬の脳腫瘍は元々"頭蓋底、下垂体付近に広がった大きな腫瘍"と言われていたので、先に届いた剖検報告書をみた時点(病理検査報告書を見る前)では "癒着は、大きな腫瘍に押されて脳浮腫がおきたせい"だと思っていた。
ところが亡くなった時点では"小さかった"。
そうなると話は変わってくる。以前より小さいものは押さないからね。じゃあなぜ前頭葉が頭蓋骨に癒着?
まぁ疑わしいのはアレだな…
↑2022年秋。鼻の放射線治療から5ヶ月後の写真
放射線治療を受ける際に副作用として被毛の変色等の説明を受けていた。
ウチの場合は鼻の奥のほうに腫瘍があったため、数ヶ月後からは目もいっそう白くなり始めたし、オデコあたりが半月状に白くなり始めた。
このカタチで放射線を照射したんだなーとわかる、この白い変色部位。
ここ、前頭葉。
放射線治療で脳に影響が出ることは2度目以降が多いと説明を受けたけど、どーやら愛犬は最初のSRTで影響していたらしい。
前頭葉と頭蓋骨の癒着が実際どの程度辛かったかとか体調に影響したかはわからないけど、認知症様症状はこのせいだね、きっと。
やってみないとわからないーそのことは理解していたし、放射線のおかげで治療しなければ余命1年といわれていたのが実施後2年生きられた。
何が正解だったのかやっぱりわからないけど、北大に献体したのはよかったな。一症例とはいえ、最期の状態がわかればそこから見えてくることがあるはずだから。(本当は酪農大に献体しようか迷っていた。笑)
愛犬の結果が共有されて、何かがもっと良くなったらいいなー。
ちなみに報告書の[2 移行型髄膜腫]については、これでようやく髄膜腫確定。(生きてる間は生検できないから髄膜腫疑いだった)
移行型とは腫瘍と脳の境界がどーなっているかを示す分類。もし手術していたら剥がしにくいタイプということ。
次に続く