四十九日も過ぎたし、そろそろ現実に目を向けて整理しておこうかと…。

 

しかし愛犬がいなくなってからというもの、すっかり気が抜けてしまっていて腰は重いし筆ならぬスマホが遅い。

 

 

愛犬を我が家に引き取ったのは2021年8月。翌年3月に鼻腔内腫瘍(腺がん)が、2022年5月には脳腫瘍がみつかり、今年5月にお空へ。

調子がよくて病気を忘れられる日もたくさんあったけど、去年の春以降は山あり谷あり。やっぱり厳しかったー。

 

献体については、頑張らせてしまった以上、身体に起こったことは可能な限り知っておきたいと思ったのと、すでに苦しみから開放された愛犬の身体が動物さんたちの今後の苦しみを減らすことに繋がるならと家族で決めた。

 

愛犬の病気で当方を訪れる飼い主さんたちのお役に立てればと思うので、北海道大学大学院獣医学研究院比較病理学教室からの病理検査報告書を公開。

 

 

 

剖検は献体した当日に行われ、数日後には剖検報告書が到着。組織検査は時間がかかり、遅れること3週間くらいで病理検査報告書がやってきた。

 

 

 

最終診断は

1肝臓と腎臓の変性 重度

2移行型髄膜腫

3貧血 中等度

 

以下、上記3項目に関するこれまでの経緯と飼い主の見解。(あくまでウチの場合で、私見に誤りがあるかもしれないことはご承知おきを)

 

 

 

[1 腎臓と肝臓の変性 重度]

 

どちらも引き取り当初から検査で異常を指摘されていたものが治療と加齢で徐々に進行。

 

生前の血液検査

↑ 左が2024.5月(亡くなる11日前)、右が2023.12月の生化学。

 

 

◆肝臓

 

上記画像より以前、2023.9月の検査からすでにALPは院内検査の上限を振り切っている。 

 

ALTは

2023.9月  643U/l

12月  201U/l

2024.5月 161U/l

だんだん下がっているけどこれは改善ではなく、むしろ悪化。肝硬変が進行してカチカチになれば正常な細胞が減り、逸脱する酵素も減る。(ALT:肝臓逸脱酵素)  要は減れば減るほど末期という残念な状態がわかる。

 

血小板はみていないけど、アルブミンは問題ないし、目視で黄疸があったわけでもない。この時点ではまだなんとかなっていたんだろうな。

 

アンモニアが正常値を保っているのはおそらくラクツロースがいい仕事をしてくれたおかげか。血糖値が高いのは来院前に自宅でのませたグリセリンの影響だと思う。

 

 

◆腎臓

 

クレアチニンは、実は引き取り時が最も高くて1.8mg/dl。その後はこの最後の血液検査までずーっと基準値内を維持。

もちろん腎臓はかなり悪い。この最後の血液検査のときも、ゴハンは食べたり食べなかったりーにも関わらずリンもBUNもしっかり高い。

それでもクレアチニンが高くならないのは、チワワで筋肉量が少ないからだろうね。(引き取り時の異常値がなんだったのかは不明。よほどのイベントがあったのかもしれない。危なかったねー)

 

※クレアチニンについてより知りたい方は記事最下部参照

 

 

報告書の下に記載された備考"肝臓と腎臓の変性については薬剤誘発性"については十分すぎるほど身に覚えが。

 

長期で内服していたのは

コンセーブ、マロピタント、トラピジル、プレドニンなど、

昨年末以降増えたのが

抗生剤、パラディア、アンブロキソールなど、

最後はレベチラセタムまで。

 

改めて見ても多い。苦

 

余談だけど

いうまでもなく、薬は肝臓で代謝されたものが一部は胆汁、大部分は腎臓に排泄されるため、使うほど肝臓と腎臓に負担がかかることは避けられない。

使わないで済むならそうしたいけど、そのために苦しいのを我慢させたり治療を躊躇するのは間違い。

獣医師判断に疑問があるときは納得できるまで確認をおすすめしたい。

 

ちなみに薬剤誘発性腎障害を起こしやすいのは鎮痛剤(NSAIDs)、抗生剤、抗がん剤などと言われている。(パラディアについては90%以上が糞中排泄) 

 

 

話を愛犬に戻して、まとめると

肝臓と腎臓の変性は重度。先に届いたほうの剖検報告書には"肝臓の硬度が増している" "空回腸にうっ血あり"と書かれていたことからも

【肝硬変で血液の流れが悪くなり消化器はうっ血しおそらく出血、既に相当機能低下していた腎臓には急激な負担がかかった】

愛犬の身に最後に起きたのはおそらくこういうこと。いわゆる多臓器不全。

 

 

CTや血液検査などで定期的に腫瘍と感染を評価して、分子標的薬や抗生剤を使い続けなければ…要するに後半を肝・腎保護中心に過ごせばもう少し生きられたかなーなんて考えなくもないけど、高齢で全身状態がよくないことをわかっていながら検査を繰り返すのも違う気がするし。

 

何より抗生剤やめるのは鼻が苦し過ぎて無理だったし。

 

ここまでくると例え何かは避けられても、結局は避けきれないほかの何かが出現する。こういうことは考えても仕方ない。苦

 

 

長くなるので次の記事に続く。

 

 

※クレアチニン、腎臓についてわかりやすい(ヒトの話だけど基本は同じ)