昨日の歯と口腔の健康づくり検討協議会において、神奈川歯科大学の先生方による講義が行われました。
まずは神奈川歯科大学全身管理医歯学講座を持ち、高齢者歯科と障害者歯科を担当する森本佳成先生より。
要約すると「口腔機能の低下は全身の健康低下と比例関係にある。お口の健康を保つことが大切!」
以下講義より。
高齢化の問題は機能の低下、要介護の状態になってくる。
日本人の死亡原因 1位がん 2位心疾患 3位肺炎 高齢者の誤嚥性肺炎は多い。
「食べる」には唇で閉じてご飯こぼれないようにし、舌の動きによってうまく食べ物を動かし、咀嚼筋で噛むのを助ける。咽頭筋働かないとうまく食べ物のみこめない。
食べこぼし、舌の動きが弱くなってくると食べこぼす、咀嚼ができない。
高齢になると筋力が落ちる。食べ物を奥に送り込む働きが弱る
→咽頭の方に食べ物がこぼれて落ちていく。咽頭の動きと強調できず、食道でなく、器官に落ちてしまう。フレイルから機能障害になると体力も落ちる。口の中の雑菌が流れてきて、肺炎になる。それが誤嚥性肺炎の流れ。
防ぐには口の中を清潔に保つ。体力あれば、肺炎にまではならない。いろいろな要因が重なって肺炎になる。
大切なことは飲み込む力を保つ、病気に対する免疫力を維持する、そのためには栄養をしっかりとること。
「フレイル」は健康と介護が必要な状態の間位をさす。
口腔に対しても「オーラルフレイル」という状態があり、改善方法はいろいろある。
唇の閉鎖力を調べるのに「パ」の発音、下の動きを調べるのに「タ」の発音、のどの動きを調べるのに「カ」の発音をしてもらって、その方が苦手な力を調べる。これはもっとやりかたがって、高齢者の方それぞれにあったトレーニングをすることが効果的。
8020運動の成果で、歯を保つ人は増えたそう。けれどその保った歯を「健康に保つ」ことも大切です、と先生は仰っていました。
続いて子どもの口の機能発達と発達支援小児歯科 木本先生より。
以下講義の内容です。
喫緊の課題として高齢化社会の中で口の健康と全身の健康について言われている。
ライフコース、人生の入り口で体を鍛えてあげる・成長期に機能を挙げていってあげると、人生をまっとうできるのでは、と日本老年歯科学会も注目している。
2018年4月より、口腔機能発達不全症というものができ、公的保険の対象となった。
子どもにも口腔の発達の遅れがあればリハビリが必要・
あかちゃんが母乳を飲む吸啜は反射。
けれど離乳から咀嚼運動は学習しないと見につかない。
虐待されていると離乳食食べておらず、食べ方が変だったりする。
「食べる」力はあくまで学習して身につくもの!
昨年の3月には、「離乳の進め方と目安」に歯の萌出の目安、摂食機能の目安が追加された。唇のうごかしかたとかあごの動かし方の目安が追加された。
歯科医師の役割が重要視されている。
乳歯の生え方と咀嚼機能の発達
日本小児歯科医師学会食育の推進で使うスライド
早産の子どもが増えていて、離乳のタイミング考えないといけない。一概に〇か月から、というよりも、歯の生え方によってタイミングを見ていく。あくまで学習して身に着けていくものなので、一足飛びにはいかない。
子育て世代包括支援センターの支えるメンバーの中に「歯科医師」も明記された。
高齢期の機能の衰えは口腔機能低下症(一昨年病気に)と言って、リハビリしていきましょう、となっている。
口腔機能低下症が保健医療に入ってきた。
食べる機能が身についていない子どもがいる。早く気づいて軌道修正しましょう、と。6年以上までに中医協に考えはあった。子どもたちの機能を向上させてあげよう、と。
子どもの場合は口腔機能が低下しているわけではなくて、そもそも育っていないことがある。
生育環境、習癖などにより、口の機能、食べる機能が育っていない人が保険治療の対象。
発音が聞き取りにくい、いつも口を開けている、発音に問題などに早く気づいて対処をしてほしい。
口腔機能のトレーニングは様々あるが、トレーニングをすれば、効果は出る!
口の周りの癖が、歯並びや口の周囲へ影響する。
ライフコースを考えて、高齢の方だけではだめ。
子どもの発達支援には保護者、保育関係者、教育関係者等の早期の気づきが重要である。
口腔機能発達不全は新しく保健医療の対象となったが、まだ知られていない。日本学校歯科医師会では、臨時検討委員会が設けられ、口腔機能発達不全の調査に入っているそうです。学校歯科検診の中で項目を追加するのは難しいようで、歯科検診の前に保護者にアンケートを取って気になるところがないか、事前にスクリーニングできるように、と今は考えているそうです。