ツユクサの第二回目です。

 近所にあるツユクサを見ていて1種類と思っていたツユクサにもいろいろな種類があった・・という驚き。

 また、ひとつの花が咲いて、萎んでしまうのがわずか6時間程度で、他家受粉出来ない時には保険として自家受粉する仕組みを持っていること。

 花も綺麗ですが、雄しべも3種類の役目をもっていること・・・

 友禅染の下絵の染料として有名なオオボウシバナのこと・・などを前回みました。

 

 

  一般的に見られるツユクサの種類で図鑑に記載されているツユクサの主なものは      
 ①ウスイロツユクサforma. caerulepurpurascens は花が淡紫色の品種。現在は品種としない
  のが一般的。
 
 ②シロバナツユクサ forma. albiflora は白花品種。            
 ③ケツユクサf. ciliata 苞は先が長く尖り鎌形、苞の外面に長白毛があるもの。2n=44、46    
 ④ウサギツユクサf. miranda 花弁が細長い品種            
 ⑤オオボウシバナ var. hortensis 花弁が大きい園芸種。2n=46        
 ⑥ホソバツユクサvar. ludens 葉が披針形、葉裏、葉鞘、苞に毛が多い。(Flora of north      
 America の解説では異なり、花色が濃く、仮葯に栗色斑点がある。末端花序に花がつかない
  。苞がやや広い。ニューヨークのものが標準とされます)
  他にも「シマツユクサ」、「オニツユクサ」、「ホウライツユクサ」、「ナンバンツユクサ」、「マルバ
 ツユクサ」、などがあります。


 そしてちょっと専門的になりますが、日本で見られるものはツユクサの染色体数が 2n=44、
 46、 48、 50、 52、 86、88、90の8種類あるそうです。
 そして、苞葉に毛のあるツユクサの染色体数は2n=44(2n=44、46、48、50、52のいず
 れかであり)と苞葉に毛のないツユクサの染色体数は2n=88(2n=86、 88、90)の2系統
 あるそうです。そして日本のツユクサは2倍体シリーズ、2n=44、46、48、50、52と4倍体
 シリーズ 2n=86、88、90の複合種といわれています。
 
               

 各地に見られるツユクサの種類と、多分それに対応している染色体数、ちょっと理解するま
 ではまだ時間がかかりそうですけど、とりあえず、そうなんだぁ・・ということで。

 この夏の猛暑でも近所のツユクサは午前中のまだ暑くなる前に花を咲かせています。そして
                   
 午前中に昆虫が訪花して花粉を運んでくれないと、昼過ぎになると「もうだめだぁぁぁ」ってすぐ      
 に諦めてしまうようで、仕方ないということで、雄しべも雌しべもクルクルと巻かれるようになり                    
 ます。
 

 
               
 そして不思議なことに、花びらのような内花被片が萎みだし、雄しべ、雌しべもどんどん丸まっ
 てしまい、この内花被片と一緒に外花被片にしまわれてしまいます。
               
 これが、他花受粉できなかった時に、同花受粉する「仕組み」なのだそうです。すごい!。    
 これはオシロイバナなどと同じ「両動同花受粉」というものです。        

 

 

 師匠の「植物なんでも事典」では、風媒・虫媒・自媒の組み合わせによる受粉で、いろいろな
組み合わせがありますが、このツユクサは「虫媒+自媒」のタイプで、他にもお馴染みの花で
見られます。
 アキノノゲシ、オオミゾソバ、オシロイバナ、キュウリグサ、スミレ属、セリボンヤリ、タチアオイ
 、ツリフネソウ、ナズナ、ヒシモドキ、フタリシズカ、ホトケノザ、ミドリハコベ、ヤブマメ、ワスレ
 ナグサ、ワダソウなどです。               
 さらに、「植物なんでも事典」で、もっと詳しく解説されていますが、        
 「植物は通常、近交弱勢を避けるため他家受粉しようと努めている。ところが、受粉できない
 ときに備えて、種類によっては自分から積極的に同科受粉する。
 これが自発的同花受粉である。これには次の3つのタイプが知られているそうです。
 ①自動的同花受粉                  
 ②雌雄接近型同花受粉                
 ③閉鎖花

 

 

 ツユクサはこの①のタイプです。
 この①の自動的同科花受粉にも①「雌しべが動く」、②「雄しべが動く」、③「雌しべと雄しべ
 がともにに動いて同花受粉する』というのがあります。
 ツユクサたちはこの③のともに動く・・というタイプです。

 
         
 
  今回、いろいろ資料を見ていると、長く突き出る雄しべが2本と一緒に長い「雌しべ」があ
 ります。そして、長い雌しべがあるのが、ふつうの「両性花」です。
 出来る果実は蒴果です。初めは白ですが、次第に褐色になっていきます。        
 
 先日図書館の植物のコーナーに立ち寄ると、こんな本に手が伸びました。      
 「雑草は軽やかに進化する」  著者は藤島弘純さん、築地書館。      
 この本の中で、雑草の代表が紹介されていて、そのひとつにツユクサがありま した。    
 面白そうな内容なので、メモしました。
 
     
 『両性花と雄花(雌しべがない)の2種が1つの個体に同居していることがある。種子を実ら      
 せることなく、花粉だけを作っている。雄花が花序(花の集合体)の中に同居している。      
 ところが、この雄花をつける花軸(第1花軸)に、時には両性花をつけ、またある枝では全く
 花をつけない花軸も見つかる。このめんどうなことをツユクサは日常的にやっている。
 
     
                   
             
 以下は本ではちゃんと図解になっていますけど、文だけメモりました。
 
 花の各部の名称                
 花弁①は3個、うち1つは細くて白色。 萼片②は3個、花(花序)全体を包む苞(苞葉)④とい
い、この苞葉から上へ伸びた花軸③の先に花が開く。
 花の変異                
 3つの花(花序)を選んで、どれも苞葉の中から1個の花を出している。野外で最も普通に見ら
 れるもの。そしてA、B、Cを比べるとBとCでは花の後方(基部)に棒状のものが突出ている。
 ところがAでは棒状突起が見当たらない。
 ツユクサの花を見ると、Aの形が最も多い。さらに、Bは棒状突起のみだが、Cは棒状の先端
 にツボミ状のものがついている。
                 
 花軸の分化                
 苞葉の中(内側)では花軸は2又(第1花軸と第2花軸)し、第二花軸の頂端には必ず花序が
 形成されて花を開く。
 花序とは花軸への花の付方のことで、花軸の先端から下へと花が順次咲き進むものを有限
 花序、下から上へと咲くものを無限花序という。
 ツユクサの両性花では、花は下側に小さなツボミが見える。花は花軸の上から下へと咲く進
 んでいる(有限花序)。
               
 
 棒状の第一花軸の棒状突起には花がない。それでも花軸と呼んでいいのか。この棒状突起
 の下方を見ると、この突起物は花茎から苞葉を貫いて直上し、上方へと伸びている。形態的
 には、この棒状のものを花軸と呼んでよい。しかし、この第一花軸には花序(花)が見られな
 い。野外で探すとこの棒状の先端に「ツボミ」らしいものを付けた花軸を見付けることが出来る    
 。ツユクサの花を探していて752個目の花に予見した通りに1つの苞葉の中に2つの花を付
 けているツユクサを見つけることが出来た。
 第1花軸と第2花軸の両方に花が咲いている。この事実から第1花軸は「花軸」であると証明
 出来た。(第1花軸と第2花軸の両方に花を開いた写真を並べて) それぞれを確認して、1つ
 の花には雌しべが見当たらない。この花は雄花だ、このこと(雄花をつけた花軸と両性花をつ
 けた花軸の2通りがあること)はツユクサの花の進化を考える上で重要。
     
  雄花
 
     
 
   
 
 まだまだ続きそうです。