またまた、忘れた頃に書いてます。
 まぁ、だいたい基本的にことは書いてたような気もしますが、時折、テレビや新聞でライチョウのニュースがあると、ああ、書かなくちゃ・・と思い出すのです。
 今回も7月1日のNHK「首都圏ニュース」での報道で触発されたのでした。

 見た方もおられると思いますが、あの中央アルプスで見つかったメスのライチョウのその後のニュースです。
 昨年の春(本当はその前らしい)に見つかって、たった1羽でこの冬を越して、春に無精卵を産卵しました。環境省でずっと追跡調査をしていますが、木曽駒ヶ岳の山頂近くで営巣して、その無精卵を乗鞍岳から採卵した6個の有精卵と交換し、このメスに抱卵して貰ったのです。そして、5羽がふ化して親(なんかちょっと可哀そうな・・)と一緒にいる所を確認し、報道されました。
 このメス親はどうやら、乗鞍岳か御嶽山から飛来してたった1羽で定住したようです。そして、今は子育てで超多忙になってます。
 でも、木曽駒山頂近くには確かに隠れ場、巣になるハイマツ帯がありますし、餌となる高山植物もあります。しかし、山頂の山小屋やテント場も近くにあり、7~8月には結構混雑します・・
 また、絶滅して50年もライチョウのいない環境です。天敵もいます。無事にヒナの生育が出来ることを願うばかりです。
 そして、この中央アルプスで、今後ライチョウの生息場所の復活を計画して、来年度から20羽ほどを他の生息地から「引越し」させる計画だそうです。

 今年も平場で人工繁殖に取り組んでいる各地の動物園(大町山岳博物館、上野動物園、那須どうぶつ王国、富山ファミリーパーク、いしかわ動物園)などから、ヒナのふ化のニュースも届いています。

 さて、前回のライチョウから学ぶことでは、ニホンライチョウの遺伝子の多様性が全体的にはかなり低く、白馬岳周辺、頚城山塊、乗鞍岳のライチョウ以外は多様性の低さの要因はいろいろあるにしても、かなり心配ということも言えるようです。
 ニホンライチョウの生息域を8つのエリアで分けて調べています。「火打山周辺の頚城山塊」「白馬岳周辺」「立山」「常念岳周辺」「乗鞍岳」「御嶽山」「南アルプス北部」「南アルプス南部」です。それぞれのエリアの間の距離からすると、ライチョウが移動できる可能性からすると、南アルプスにいるライチョウは他のエリアとは交流ができない「個別」の集団のようです。従って、南アルプスのライチョウの多様度が北部で0.063、南部では0.000となっています。中村先生の研究では。ニホンライチョウは「南アルプスの集団」と「南アルプス以外の集団」に大きく分かれるそうです。その南アルプスの個体数が大きく減少しているのが喫緊の課題・心配です。
 北岳周辺ではヒナがある程度一人前になるまで「ゲージ」を設置して、メス親とヒナを夜間はゲージで守るという取り組みがされています。

 今回はここまでです。