蓮見圭一さんのデビュー作です。
2001年11月に刊行されて以来、順調に売り上げている作品ですが、私は不覚にも気が付きませんでした。このたび文庫本化されて本屋の店頭に平積みされているのを見て、初めて知ったのです。まずタイトルに目を奪われ、手に取ったしだいです。
「 水曜の朝、午前3時 」・・・・・・・"Wednesday morning, 3:00 a.m."
はサイモンとガーファンクルの曲のタイトルですし、
デビューアルバムのタイトルでもあります。(1964年)
小説の内容をと裏表紙を見てみると、
四十五歳の若さで逝った女性翻訳家で詩人の四条直美が、娘のために遺した四巻のテープ。そこに語られているのは大阪万博のホステスとして働いていた23歳の直美と外交官として将来を嘱望されていたれ理想の恋人・臼井礼との燃えるような恋物語だった。
「もし、あのとき、あの人との人生を選んでいたら・・・」。失われたものはあまりにも大きい。愛のせつなさと歓びが心にしみるラブストーリー。
とあったので、1970年が舞台なんだと買い求めました。
1970年の大阪万博のホステスには我が友人も一人採用され、半年間大学を休んでいたということがありました。
私自身は誰よりも身近にありながら、何の興味も示さなかった大阪万博ですが、世代が共通する何かを感じられるかなという思いで読んでみようと思ったのです。
そして、今、物語の中に効果的に散りばめられている音楽にワクワクしながら読んでいます。
まず、冒頭からポール・ウィリアムスの名曲オールド・ファションド・ラブ・ソング
が・・・・・
ジョニ・ミッチェル、ボブ・ディラン、デビッド・ボウイ、モンキーズ、CCR「雨をみたかい」は読んでいて聴こえてきました。
私の愛するジャニス・ジョプリン、そしてジョン・レノンなど・・・・・・・・
しかし、タイトルまで付けているのに、いつまでたってもサイモンとガーファンクルは出てきません
これってベストセラーになってるそうですが、きっと若い人たちに受けている小説なんでしょう。
若い人たちにはピンとこないであろうミュージシャン・アーティストたち。
私自身は、時代背景といい、自分自身と重なり合う部分もあったりして、ちょっと楽しめた小説でした。
多恵子