旅の余韻 | 佐野光来

佐野光来

佐野光来

  引きずっている。
  猛烈な咳を引きずっている。
  旅先で私、なにを吸い込んでしまったのだろう。咳が止まらないうえに鼻が詰まって呼吸が苦しい。というか、咳ってほんとに体力を奪われますね。お腹の周りの筋肉も、なんかへとへとにくたばっている感じがする。喉風邪→副鼻腔炎、さっき三度目の耳鼻咽喉科にて、もはや喘息、という診断をされました。総力戦の薬をだしてもらい、もう良くなるしかない。やっと食べ物の味もするようになってきたし、頑張らないと。
  私が通う耳鼻咽喉科は、地元の戸越にあるのだけれど、地元をでた今でも、皮膚科も耳鼻咽喉科も、結局地元のお医者さんに戻ってきてしまう。それが絶対に効くのだ(現に、一度目に出先で寄った耳鼻咽喉科ではなにも良くならなかった)。この信頼はなんにも変えがたい。それで病院ついでに、家から通っていた小学校までの道のりを一度必ず歩いてから帰ることにしている。遠い記憶がばたばたと引き出されては毎度当たり前のように、全てが小さくみえる。そして小さい自分がまだ生きて、その辺をうろうろ歩いているのではないかと思えてくる。もし見つけたら幸せになるんだよって声をかけよう、と他人事みたいに思いながら、そういえば最近みた舞台でもこんな台詞、あったなあ。オーストラマコンドーの「空と東京タワーと隣と隣」。これとても良かったです。今の私の状況に、非常に刺さるものがあった。幸せになるってほんとはすごく怖いことなんじゃないかという不安を、優しくすくいあげてくれる作品だった。年内にあとみたい舞台がいくつかあったけれど、この調子だともうみられないかしら。いやはや健康が一番だと思い知る年の瀬です。身体が異変起こすまでぐうーっと力入れすぎちゃう癖、そろそろ直したい。
  おやすみなさい。