資本移動が自由化された環境下では、トリクルダウンは不成立。富裕層に求められる公の見識 | 産経新聞を応援する会

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 『三橋貴明の「新」日本経済新聞』        2014/03/03 

From 三橋貴明 

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【今週のNewsピックアップ】

●当たり前の政策

http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11780286766.html 

●所得格差は経済成長を鈍化させる

http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11783611802.html 

現在の世界経済における主問題の一つは、グローバリゼーション、特に「資本移動の自由の拡大」だと思います。結局のところ、ニクソンショック前のブレトンウッズ体制下の西側諸国と、ニクソンショック後のグローバリズムの世界で何が違うかといえば、資本移動の自由の是非になるのです。 

ブレトンウッズ体制下においても、西側諸国は普通に貿易をしていました。特に、当時のアメリカの経済力は圧倒的で、同国はソ連と対抗するために西側同盟国の経済を成長させる必要もあり、日本や西欧諸国からの輸入を大いに受け入れました。結果的に、アメリカの貿易赤字が拡大し、一部の産業が衰退。ドルの信認が揺らいだ結果、ニクソンショックに結び付くことになったわけですが。 

さて、ブレトンウッズ体制下で資本移動の自由が制限(禁止ではありません)されていたため、各国の企業や家計は外国への投機目的の融資や、為替取引を勝手にすることはできませんでした。すなわち、各国の企業、国民は、自国で働き、稼いだ所得を自国で消費するか、投資するか、あるいは貯蓄するかの選択しかなかったのです。 

何を言いたいかといえば、現在のように自国で稼いだ所得を外貨に両替し、外国に直接投資(工場建設など)や証券投資(株式購入など)することが容易にできる状況にはなかったという話です。 

ところが、現在は資本移動や為替取引が自由化され、自国で稼いだ所得を外国に再投資することが簡単にできます。個人ですら、外貨預金を持てる時代なのです。 

別に、自国で稼いだ所得を「外国に投資するべからず!」などと言いたいわけではありません。とはいえ、「政府の政策」により増えた所得を、外国に投資し、国内の雇用改善とは無関係に使うのはいかがなものか、と言う話です。 

すなわち、富裕層減税(累進課税の最高税率の引き下げなど)や法人税減税で家計や企業に残った所得の使い道です。当たり前ですが、富裕層減税や法人税減税で富裕層や企業が「得」をした反対側で、国民が「損」をしています。減税により減った税収を、政府は国民から別の税金(消費増税など)で徴収するか、あるいは政府支出(=国民の所得)を切り詰めることでカバーしなければなりません。 

そもそも、政府は外国の雇用を増やしたいために、富裕層減税や法人税減税を実施するわけではありません。富裕層や企業に余裕を持たせ、国内に投資してもらい、国民の雇用改善や所得拡大を実現したいからこそ、減税をするわけです。 

いわゆる、トリクルダウン政策ですが、残念なが資本移動が自由化された環境下では、トリクルダウンは成立しません。さらに言えば、資本移動が自由化されていなかった場合も、正直、成立するかどうか疑問に思っているわけです。何しろ、旧西側先進国は、累進課税の税率や法人税率が高かった時期の方が、経済パフォーマンスは良かったのです。すなわち、経済成長率が高かったわけでございます。 

今回、IMFが所得格差は経済成長を鈍化させる 「可能性がある」調査結果を公表しました。今のところ、前期はあくまで「可能性」を認めたに過ぎないわけですが、IMFの公式見解として「所得格差は経済成長を鈍化させる 」が発表される時期は近いのではないかと思います。というより、期待しています。 

無論、富裕層税率や法人税率が高い場合、富裕層や企業の反発を受けるでしょう。さらに、再分配政策が強化される結果、国民の所得が増え、人件費が上がり、グローバル市場における企業の「国際競争力」とやらは下がります。それを由としない価値観を持つ人もいるわけです。 

結局は「価値観の問題」に行き着くわけですが、三橋は所得格差が開いていく経済ではなく、分厚い中間層が大いに消費することで成長していく「国民経済」を望みます。中間層中心の経済成長路線か、あるいはグローバリズムに基づき、格差拡大型の経済成長を目指すのか 

最終的に世界の「民主主義国」の国民が選択をしなければならない時期が近づいているように思えるわけです。    以上  転載終わり

   

 
 ぶれとんうっずたいせい
 Bretton Woods system
 
 ブレトンウッズ体制は、第2次世界大戦後に設立された国際通貨基金(IMF)を中心にした国際通貨・金融制度のことです。大戦末期の1944年7月に、アメリカ・ニューハンプシャー州北部のブレトンウッズで開かれた連合国通貨金融会議(45か国参加)にちなんでこの名が付けられました。IMF体制とも呼ばれます。
 ブレトンウッズ体制の骨格は、(1)加盟各国が金または「1ドル=35分の1トロイ・オンスの金」と等しい価値を有するドルで表示された平価に基づく固定為替相場制を採用し、為替相場の変動を平価の上下各1%以内に抑える、(2)平価は基礎的不均衡がある場合にしか変更が認められない、というものです。
 この制度は、IMFが加盟国に短期的国際収支赤字のファイナンス資金を貸し出すこと、米国がドルを公定価格でいつでも金と交換することを約束すること、によって支えられていました。しかし、1971年にニクソン大統領がドルの金交換性を停止したため維持できなくなりました。(いわゆる「ニクソン・ショック」)。

 

ニクソン・ショック

1971年8月15日(日曜日)、米国大統領リチャード・ニクソンが金とドルの兌換停止を宣言した。当時、世界各国の通貨は兌換紙幣であるドル(1オンス=35ドルの固定レートで金との兌換が可能であった)を基準に固定レートでリンクしていたため、突然の兌換停止宣言に世界は大きな衝撃を受けた。また、各国との事前調整どころか、米国議会にも知らせていなかったことによるインパクトも大きく、「ニクソン・ショック」と呼ばれる。
ニクソン・ショック以降、ドルの価値は切り下げられ、1ドル=360円だった為替レートは71年12月18日(土曜日)にワシントンのスミソニアン博物館で開かれた10カ国蔵相会議におけるスミソニアン協定により1ドル=308円になり、さらに73年2月14日(水曜日)からの変動相場制移行(移行時のレートは1ドル=277円)に伴い急激に円高が進み、7月には1ドル=260円を割り込んだ。


そもそも、政府は外国の雇用を増やしたいために、富裕層減税や法人税減税を実施するわけではありません。富裕層や企業に余裕を持たせ、国内に投資してもらい、国民の雇用改善や所得拡大を実現したいからこそ、減税をする

一国に限った民主主義社会では、投票率が100%になれば、この問題は数の論理で、実現することになるのでしょう。

日本における 格差社会が

富裕層、企業   VS   国民    

のような、対立の社会に移行しない事を、心より祈念します。 

国民の多くが尊敬の念を抱くような、公に関する高い見識が 富裕層、企業には求められています。