(3)搾取は「企業競争力の強化」という大義名分で行われる  その2/5 | 産経新聞を応援する会

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(3)  その2/5

安倍総理が経団連の首脳を集めて、給与を上げるよう要請したなどというニュースがありました。政府は、景気を回復させて人手不足状態を作り、それによって、企業に人件費の上昇を余儀なくさせるという政策を行わなければならないのに、総理が企業に要望するとは、一体、何の冗談だと思っていましたが、やはり、これは茶番にすぎませんでした。企業に人件費の上昇を要望するパフォーマンスの影で、
産業競争力強化法案」によってそれと逆の解雇の推進を企業に指導しようというのですから、全く、ふざけていると言うほかありません。人件費を上げる政策は、立法によって労働者の権利を拡大するか、景気回復政策によって完全雇用を達成し、人手不足状態を作り出し労働者を有利にする以外にあり得ません。政府がその決意を示さずに、口先だけで企業に人件費を上げろと言っても、企業側の嘲笑を買うだけです。

これまでも、企業は、政府に解雇に関する規制緩和を行なわせ、正社員の多数を派遣労働と取り替えるなどによって、人件費を嫌というほど下げてきました。企業はとっくの昔に、搾取の強化に舵を切っています。そして、現在もまだまだ、企業は一貫して人件費を下げたいのであり、現に人件費を下げています。要するに、政府に言われなくても、企業は人件費を下げて来たし、これからも下げ続けるのです。企業側は、派遣労働者のスキルの向上とか、派遣労働者の待遇の改善とか言い訳をしながら、派遣労働を拡大し、定着させようとします。ましてや、なぜか安倍総理が重用する竹中氏が協力しているのですから、それはもう絶対にそうします。

なぜ、企業がひたすら人件費を下げようとするかの理由は、企業が生き延びるためということもありますが、現在、日本の大企業の内部留保金が三百兆円近くにも積み上がっていることを見れば、企業が生き延びるという段階は超えています。現在においては、もはや、企業が純資産を増やし、株主に出来るだけ多くのものを配当し、株価を上げることが目的です。株価は企業の純資産によって構成され、純資産は利益によって累積されますから、企業競争力の強化の最大の目標である株価の上昇は、第一義的に利益を出すということで実現されます。手っ取り早く利益を出す方法は経費節減です。売上を伸ばすことはもちろんですが、売上が増えようと減ろうと、経費節減をやればやるだけ利益が出るのですから、企業競争力の強化とは売上の問題以前に経費節減のことに外なりません。残念がらここ15年日本企業がやって来た経費節減とは人件費の節減のことです。今日の大企業の内部留保金の三百兆円は人件費削減によって積み上がったと言って過言ではありません。

→続