『私立探偵 濱マイク』30周年記念 『遙かな時代の階段を』 | Blog ばったもんのめっけもん

 

『私立探偵 濱マイク』30周年記念 映画3作&テレビシリーズ上映。今は無き「横浜日劇」2階がマイクの探偵事務所という設定。今も私が黄金町に入り浸ってるきっかけな作品。当時はまだ、女性のみならず一般人が歩くのも憚られる治安だった90年代~00年ごろの黄金町。今は打って変わってアートで町おこしするような・・変な言い方だけども裏暗さが骨抜きにされた場。治安として勿論善いことなんだけども、あの頃の独特の濡れた「色」は失われつつある。とはいえ、横浜日劇に隣接していた映画館=現在のジャックアンドベティは、旧き良きミニシアターという文化を護り続けている。濱マイクの「聖地」として、貴重品の展示やテレビドラマ版の全話上映も。

2018年に映画版がCS放送されたとき、永瀬さんが投稿為さってた写真。3作通じて野良犬み溢れてたマイクちゃんが色っぽくなってる。永瀬さんご自身が折々マイク愛を発信されてるのが嬉しい

 

濱マイク映画のうち、2作目が断トツ大好きで。 
今は無き「横浜日劇」2階がマイクの探偵事務所。マイク映画1作目が上映されているシアターの真上で2作めが始まる、メタ構造からして最高の候。
 

↑これは現在の大岡川。

戦後混乱期から大岡川という「川」で成立してきた社会が、一人の男の死で象徴的に終焉する。95年当時すでにランドマークタワーをはじめとしたみなとみらいが形成されてたものの、劇中ほぼそちらは映らず黄金町界隈の暗黒街が舞台。最後の最後にバンと、観覧車とインターコンチが映されるという。。。
実際には2005年の一斉摘発が黄金町の大転機になるのだけど、90年代前半においてこの「川」の文化はある種の死を迎えたのかもしれない。90年代半ばにおける黄金町の「記憶」を記録した映画でもある。クリフサイドの内部が使われてるのも貴重。

一作めでは可愛い&”野良犬”だったマイクが、二作めにして色気燻らす一年間の変化。素晴らしいのは、さらに一年後に3作めがあるということ・・(恋愛とサイコパスの両方ですありがとうございます)

何が良いって、本編映像0での次作予告編(撮了してないからキーショットだけわざわざ撮ってる)

4Kリマスター版、映像だけでなく音もクリア。二作め冒頭は探偵事務所階下で『我が人生最悪の時』が上映されてるのだけど、その音が邪魔にならない状態でしっかり聴こえてるのすごい

大岡川沿いに咲く昼間の淡い桜、その桜の夜の色合いと「白い男」のアジトなど、ピンクがビビットに効いている。同じピンクでも前者と後者で全く違う


この3作リマスター上映と同じタイミングで濱マイクテーマがサブスク解禁。1~3作めまでのアレンジ違いが聴き比べできる 

大岡川でのジェットボード・チェイスが見どころなんだけども、そのシーン限定でのアレンジも聴けるようになった!! これが一番好き!! 大岡川でSUPすると、このチェイスと全く同じルート。転覆しても「マイクも落ちたし」と思える(まだ落ちたこと無いけど)

ジェットボードから撃墜されたマイクは一命をとりとめる。たどり着いた大岡川の最下流=観覧車のあるみなとみらい地区 であって、既にそこは「川」を掌握してきた「白い男」の範疇から外れつつあったことを示唆する。終戦直後から大岡川を物流や取引のルートとして掌握し続けてきた利権が綻びだしてきたという。港が見える丘公園からの眺望は既に「観光地」に変貌した横浜。大岡川の先に聳えるランドマークタワーは『濱マイク』と同じく30周年。黄金町からぽつんと見える出来立てのタワーは変わりゆく横浜を予見させるけど、実は下流は観覧車もインターコンチネンタルホテルもある「みなとみらい」になっていて、この時点で既に”暗黒街”は川沿いにしか遺っていなかったともいえる。下流=川を基盤に反映してきた暗黒街の終焉 になっていて、それでああいう葬送シーンなんだろうなと。


宍戸錠さんが完全に『紅の豚』ポルコスタイルで愛らしい・・ 星野くんも可愛い。
あと、お尋ね者になったマイク、なんであんなお洒落スーツ繰り出してきたのだ・・・(最期の決闘に臨む一張羅)