南海遊 永劫館 超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした | 花の本棚

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南海遊 「永劫館 超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした」
あらすじを読んで面白そうだったので買ってみました。

 


 
主人公の貴族男性は母が危篤と知らされて屋敷に戻るが死に目にはあえず、残すは葬儀と遺言状の公開だけであった。次の日の朝、妹が密室状態の自室で首を刎ねられて死亡しているのが見つかり、その直後に母と同郷で遺言状の内容を聞きに来た女性が殺害されると、気が付けば24時間前の彼女が屋敷に現れた時まで戻されていた。
彼女には呪いがあり、死亡すると最後に目が合った人とともに24時間前に強制的に戻ってしまうとのこと。妹が殺害されるとその直後に自分も殺害されてしまい、母の遺言状を聞くまで生き延びられずタイムループし続けているので、妹と自分の殺人犯を一緒に探してほしいと言われる、というお話。
 
クローズドの館の中でタイムリープしながら事件の真相を探っていくSF系のミステリー作品となります。
SF設定の使い方が上手くて、ミステリーとして非常に良く出来ています。ミステリーとしてみると伏線がそこらじゅうに引いてあり、それらをSF設定を使いながら繋いでいくという流れが上手くて読んでいて面白い。物的証拠を見つけるよりは各人物たちがどういった考えで行動しているかを探る部分が多いのでそういったジャンルのミステリーが好きな方には楽しめる内容になっています。
一方で自分で推理をしようとすると非常に難解になっています。殺害されることを前提に情報を集める、など特殊設定な舞台であることもあって他のミステリー作品とはかなり毛色が違うこともあって推理するのは難しいです。もしかしたら下手に推理しようとするよりも物語を楽しむように読んだ方が良いかもしれません。
ミステリーとしては難解ではありますが、作品の雰囲気はライトノベルのような軽いものになっています。登場キャラもそれぞれ個性のある人物像になっているのでこちらも楽しめる見所になるのではないでしょうか。
 
難解ではありますが読みやすい雰囲気の作品ですので、気になる方はチェックしてみてください。