高野結史 臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体 | 花の本棚

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本を選ぶときの参考になれば幸いです

高野結史 「臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体」
高野さんの「奇岩館の殺人」が面白かったので他の作品も買ってみました。
本作が発売された当時はこのミス 大賞・隠し玉作品と紹介されていました

 


 
主人公である法医学者の男性は児童虐待を鑑定する臨床法医の仕事を依頼される。本人は前向きではなかったが彼の観察力と知見によって良親を演じて虐待を隠す親たちの行為を見破り子供たちを救うことに成功する。
あるとき、彼に虐待を見破られた親の一人が首を吊って死んでいるのが発見される。現場の状況は主人公が幼いころに遭遇した首吊り事件と似ており、当時の犯人が自分を追ってきたのではないかと考え始めるというお話。
 
児童虐待をテーマにした社会問題系ミステリー作品となります。
本作の見所は社会問題系、ミステリーのどちらの面も内容が面白い点となります。
社会問題系の部分を見ると虐待が起きる家庭の状況についての描写が非常にリアルなものとなっています。子供にどんな影響があるかという点だけでなく、虐待をする親側はどういった心境なのかという点も多く描かれているのでためになりました。自分の自尊心や承認欲求を満たすために子供を利用する、というシーンも描かれていて読んでいて心苦しいところもありました。
ミステリー部分は主人公の幼少期に起きた事件とどうつながっているかという点になります。至る所に細かな伏線があり、それらのつなげ方が上手いのでミステリー好きな人は楽しめる内容になっています。
 
ミステリーとしても社会問題系としても面白い作品でしたので、気になる方はチェックしてみてください。