飛鳥部勝則 「堕天使拷問刑」
以前読んだ飛鳥部さんの「封鎖館の魔」が面白かったので、他の作品も買ってみました。

主人公の男子中学生は、母方の実家がある村に引き取られる。その村は古臭い風習が残っているだけでなく、彼の祖父は魔術崇拝が行き過ぎて奇妙な死に方をしたばかりであった。そのことが原因で主人公は忌み嫌われる存在として、転校初日から学内で攻撃され疎まれる状況であった。しかしそんな中でもオカルト研究会の部員や月に行きたいという不思議な少女など、少ないながらも仲良く出来る人々とも出会う。
ある時、主人公の母親が部屋で首を斬られて殺害されているのが発見される。過去にも女三人が斬首される事件があり祖父が召喚した悪魔の仕業と囁かれたことから、主人公が来たことで再び悪魔が現れたのではと言われはじめる、というお話。
怪奇系のミステリーになります。この作品は2008年刊行で、私が買ったのは昨年新装となった文庫本になります。
本作の見所は文庫本で900ページという長さに対して、間延び感が少ない点です。分厚い印象の作品は何度も見てきましたが、文庫本で900ページ越えは中々ありません。上のあらすじに書いたのは事件の一つであり、他にもいくつも事件が発生するという構成になっているため、次々と謎が発生して飽きずに読めます。また事件とは別に主人公が村の人々から攻撃されるシーンや学生生活をしているシーンが間に入ってきます。これらがあることでミステリーとして間延びしている感じが無くなっているとしたら、構成の仕方が非常に上手いと思いました。
ただミステリー作品としてみると、推理するのには向いていない印象です。最初の事件を含めすべての真相が分かるのは最終盤であり、さすがにそこまで全事件のことを把握しておくことはできません。また真相が怪異なのか、人間の犯行なのかという区別もしないといけない点も考えると、推理せずに物語として読むのに注力した方が楽しめるという印象でした。
ボリュームのある作品なので、気長に読んでみたい方は是非チェックしてみてください。