花の本棚

花の本棚

読んだ本についての感想を載せています。
本を選ぶときの参考になれば幸いです

潮谷験 「山上のフェイク」
潮谷さんの新しめの作品が面白そうだったので買ってみました。

 


 
ある大学の文学サークルのメンバーたちが山上のコテージに集まることになった。コテージに到着すると、コテージの持ち主であるメンバーがこの山の中で妹の遺体を発見し、状況を見るに事故ではなく他殺であったと告発し始める。犯人は妹と交際していただけでなく口座から金を持ち出しているなど許せない行為を重ねており、犯人は今集まっているメンバーの中にいると言い始める。その場では誰も名乗り出なかったのだが、翌朝になると告発していたメンバーが刺殺されているのが発見される。
一方で、山岳救助隊員たちは入山したまま戻ってこない客がいると通報を受けてコテージに向かう。コテージの中には誰もおらず刺殺体があるだけであったが、中を捜索すると客の書き残した手記が見つかる。二人が書いた手記には事件が起きるまでの経緯が同じように記録されているが刺殺した犯人の名前が異なるという奇妙な内容であった、というお話。
 
登山を題材にしたミステリー作品となります。
本作の登山という題材がミステリー部分に上手く使われていて面白い点です。同窓会メンバーの視点と山岳救助隊の視点の二つを行き来しながら進み、同窓会メンバー側は犯人から逃げつつ生還を目指し、救助隊側は犯人を推理しつつも全員の救助を目指すという流れになります。なぜ妹の殺害の告発をコテージで決行したのか、なぜ二つの手記で犯人が違うのか?を始めとした様々な謎がありつつも、中には登山にまつわる話がカギとなる謎もあるのが本作の面白いところでした。知識が無くとも分かるように説明もちゃんと書かれていいますので登山をまったく知らなくても問題ありません(私は知識0でした)。
一方自力で推理するには登山に関する知識は必須になるのでそこだけ注意しましょう。
登山にまつわる面白い話や解説があるのも本作の見所です。低体温症や登山装備についての解説など登山しない身としても読んでいて興味深い話が多くあって面白かったです。その中の一つとして「下山路。500m先で整備中」といった立札がある道と何もない道があったときどっちに進むのが正しいか?というのがあり、正解の考え方を知ったときには衝撃を受けました。ちなみに私は不正解の道を見事に選んでしまったので、登山は控えようと思います。
 
登山のことも色々知れて面白い内容ですので、気になる方はチェックしてみてください。