L・デビッド・マルケ 最後は言い方 | 花の本棚

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本を選ぶときの参考になれば幸いです

L・デビッド・マルケ 「最後は言い方」
仕事で役立ちそうな書籍を見つけたので読んでみました。

 


 
現代社会においては「指示した通りに動いてくれるだけでいい社員」は組織にはおらず、誰もが考えて意見し行動できる組織づくりの鍵はリーダーの「言い方」にある、というコンセプトのもとに書かれた書籍となります。仕事の改善施策や方針を決めることを「青ワーク」、実際に作業をすることを「赤ワーク」と分類して、それぞれでどんな言い方をするとパフォーマンスが上がる/下がるのかを紹介しています。
本書の大項目と一言のまとめは以下になります。
①なぜ赤ワークと青ワークで言い方を変える必要があるのか
 両者で促したいことが違うから。かつては青/赤ワークに従事する人が明確に別れていた。しかし現代では誰もが両方をやらないといけなくなったため、今どちらのワークをしているのかを意識して言い方を変える必要がある
 青ワーク:
 考えたり、決断を下したりする
 そのために、幅広い情報や意見を集め、個の価値観から出る意見も歓迎する
 赤ワーク:
 目の前の仕事を実行する
 そのために、余計な情報は極力省き、作業に個の価値観は極力介入させない
②言い方を間違えると何が起きるか
 言い方を間違えているときに起きる現象ごとに各章がまとめられている
 言い方といえば「心理的安全性」を思い浮かべるがそれ以外にも例えば以下のようなことが起きる
 時間に追われて方針転換ができない、問題に対して他人事になる、仕事の課題が挙がらない
③どういった言い方をすればいいのか
 各章ごとにケーススタディとして言い方をどう改めるかが紹介されている
 ケースごとの細かな違いはあれど、①を理解して言い方を考えるというのが共通している
といった内容になります。
本書では言い方を間違えるケーススタディが色々ありましたが、その多くは上でいう「青ワークにおいて赤ワークで使う言い方をしている」が大半でした。入社するとまず赤ワークに従事し、昇格して青ワークに携わるようになるのが一般的なキャリアなのでそうなりやすいのは当然なのでしょう。
アジャイル活動など現代でトレンドになっている業務体制では青ワークを全員でやる機会が増えているので、上記のような切り替えは出来るようになった方が良いという点で非常に役立つ内容だと思いました。
 
「新卒じゃないんだから管理くらいちゃんとやれ、当たり前のことを当たり前にやれ」と去年度に私が言われて「当たり前」というフレーズを嫌悪していました。その後キックオフでも頻繁に出てくるようになり「こんなゴミワードを流行らせようとしてるマネージャーたち正気か?」と思っていたのですが、よくよく考えたら言い方が悪いだけじゃないか?と思い至って本書を手に取ったという次第です。
揺るぎようのない事実なので何百回でも言いますが、私の職種の人たちは人間性の傾向的にコミュニケーションが致命的に下手です。なので言い方以外にもコミュニケーションの勉強をしないとダメな点は無数にありますが、その中でも何から勉強するのが良いかと考えると言い方からが手軽だろうと考えました。
コミュニケーションの勉強をしたいけど具体的に何からやればいいのか、と悩む方はまず本書から入るのが良いかもしれません。
 
言い方を間違えているパターンの中で、以下は特によく見かけるので自分も気を付けようと思いました
1. べき論を青ワークで使わない
べき論は赤ワークにおいて思考の範囲を制限して作業に集中するために使う言い方だと紹介されていました。青ワークで使うと「思考が狭まる」「この考えに従わない人の意見は価値がないとみなされる」といった悪い影響が出るので、「私は~~を大事にしたい。これをどう思うか聞かせて欲しい」といった他の言い方をする

2. 煽りを青ワークで使わない
新卒じゃないんだから管理くらいちゃんとやれ
派遣社員に出来てなんで社員に出来ないの?
のように余計な煽り文句を付与する言い方は自部署に限らず他の部署でもこれまで無数に見てきました。これも赤ワークにおいて作業者を煽り立てるために使うものであり、青ワークには適しません。煽りを付けることで意見の納得度があがることはまずないでしょう。
私も日頃の鬱憤を晴らしたくなってつい出そうになることがあるので気を付けようと改めて思いました。