沢渡あまね なぜ日本の職場は世界一ギスギスしているのか | 花の本棚

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沢渡あまね 「なぜ日本の職場は世界一ギスギスしているのか」
マネージャーの方々がエンゲージメントサーベイを見て対策に乗り出そうとしているので、職場環境系の書籍を読んでみようと思い立ったときにこちらが目についたので読んでみました。

 


 
世界各国のエンゲージメントと職場環境満足度を調査した結果(2021年9月 時点)によると日本は調査対象37カ国の中で「エンゲージメント、職場環境満足度ともに最下位」だったとのこと。という点からなぜ日本の職場は世界一ギスギスしているのかを書いているのが本書となります。
大項目と一言でのまとめは以下となります。
①日本の職場がギスギスする要因3つ
3つと紹介していますが、まとめると「価値観を刷新していない」という意味。
・旧態依然のマネジメントや働き方
・旧態依然の職場環境
・ジェネレーションギャップ
②環境によるギスギス
 情報が共有されない/する仕組みがない、コミュニケーションが取れない、部門間で連携が取れない、といった職場環境に関する良くない点を挙げている
③スキル・メンタリティによるギスギス
 雑用が多い、チャレンジできない、といった社員個人がやりたいことと会社の求めるものが合っていない点を挙げている
④制度によるギスギス
 リモートワーク、組織の体制といった働き方の体制が現代社会にあっていない点を挙げている

と言った内容です。端的に感想を言うと「日本の職場の良くない点を指摘しているけど、改善策や代案は自分で考えてね」というのが本書を読んだ印象で、参考になる内容ではありませんでした。
上に書いたように「日本の職場ってこういう良くない点ありがちだよね」という点が色々と紹介されていて、それ自体には共感できるところはありました。ですがそれをどう改善していったらいいのか?という次のアクションは特に描かれていないので、共感だけして終わってしまった感じです。近々エンゲージメントで特にスコアが悪かった部分のヒアリング会をするというのでそれに役立てばと思ったのですが、こういった内容なので参考にはなりませんでした。
 
全体としてはイマイチでしたが、一つだけ面白い情報がありました。
組織の形態として統制型と自律型どちらになりたいのか、という話です。今の時代の流れでいったら自律型を目指すでしょう、と私は思ったのですが本当に自律型組織が社員のマインドに合っているかを考えた方が良いそうです。
というのも、自律型組織には「自己管理能力が低い人にはしんどい」という弱点があると本書に書かれていたからです。「自己管理能力」の意味を調べてみると自分の思考や感情、行動をコントロールする能力のことを指しています。仕事の中で動きに当てはめると、目標を自分で決めたり、自分で解決策を考えたりそのための勉強をしたり、と「自分はどうしたいか、そのために何をするか」を自分で決められる能力のことを言っています。
こうして考えると統制型から自律型組織になると明らかに仕事の難易度が上がるので、変わって嬉しい人って少数派なのだろうと思います。自分の考えをもっと出したい、やってみたいことがたくさんある人はうれしいでしょうけど、私が見た限りそこまで気力と体力に満ちている社会人は1割もいないという印象です。
 
私にとっては参考になる情報があまりなかったのでおススメしません。職場あるあるを楽しみたい人であれば読んでみるといいかもしれません。