◎「キャロル」 (原題:Carol)
監督 :トッド・ヘインズ 2015年 アメリカ
キャスト:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、サラ・ポールソン
1950年代を舞台に、上流階級の夫人とデパートの店員の運命の関係を描いた
キャロルという映画、アカデミー賞で主演女優賞(ケイト・ブランシェット)、助演
女優賞(ルーニー・マーラ)ほか6部門候補にあがっている。
ほとんどの人が高評価なのだけど、ぼくにはピンとこない映画だった。デパート
店員テレーズが、人妻キャロルに恋してしまうその理由が今一つ伝わらなかった。
今まで同性愛とは無縁の人がそちらへ行ってしまうにはそれなりの理由があると
おもう。キャロルは毛皮の似合う上品な人妻だが、写真を撮ることが好きな芸術
家肌のテレーズの個性に、キャロルの個性が絡むとは思えなかった。
劇場では、ラストのシーンで涙ぐんでいる人もいたので、この映画にはまってしま
う人もいるのだろう。うちの奥さんもいっしょに観たので、「キャロルで泣けた?」
と、後で聞いてみると、「この映画では泣けなかった」と答えていた。夫婦そろって
一歩ひいて観てしまった。
と、ぼくは思っていたのだが、映画をみてから1週間後に奥さんはこんな事を言い
出した。
「ところで、あの映画の主人公の人、おおきかったわよねぇ」
キャロルを演じたケイト・ブランシェットの大きさにはぼくもあらためて気が付き、
ネットで既に身長は検索済みだった。
「174センチだってよ。」
「え?もっとあるわよ。180センチはあるみたい」
「相手役のデパートの女の人(ルーニー・マーラ)は、身長160センチだって。
既にそこで14センチの差があって、ちょっと『魔女に食べられる小さな女の子』
みたいに見えちゃったよ。」
「あの女の人、宝塚の男役みたいでステキ。キャロルの相手役の女の人には
何も感じなかったけど。男の人の方に人気があるのかな?」
『宝塚』のたとえには、同意するが、ステキとはぼくにはあまり思えなかった。
彼女はちょっとガタイがでかすぎて、女っぽさがそこで消されてしまうのだ。確か
に、ルーニー・マーラの方に男性のファンが多いのではないか。
「なんか、ケイトの今回の映画は、女の人のほうが絶賛しているよね」
「わかるわぁ。頼りがいがあって優しくて、それでいて脆いところもあって・・・・
あんな女の人とだったら、恋愛に落ちるというのもわからないではないわ」
『あれ?映画を観た直後の反応とは違ってきているぞ?』と、思いつつもまあ
ぼくよりは、映画「キャロル」から感じたものは大きかった事は確かなようだ。
ということで、ぼくの映画の評価は60点。
ちなみに、ケイト・ブランシェットはインタビューにて記者にこう聞かれた。
「レズ経験は今回が初めてですか?」
ケイトは「映画の役で? それとも実生活?」と聞き返した。驚いた記者が女性
との交際経験を尋ねたところ、「ええ。数多く」と答えた。だが、さすがに詳細に
ついては言及せず。
「あまりプライベートなことは公表しない主義なの」と説明、ツイッターなどのソー
シャルメディアもプライベートでは使わないと付け加えたとの事。
ファンの人はますますその秘密めいたムードに夢中になるのかも。
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