遠くロンドンでは、
暑い夏をさらに熱くするドラマが
今日も繰り広げられている。
オリンピックになるといつも思い出す苦い思い出がある。
私は昭和39年、東京オリンピックの年に生まれた。
だから初めて日本で行なわれた
オリンピックの年に生まれたことを祝福して
両親が私にもメダルをくれたのだ。

1000円のオリンピック記念硬貨だ。
しかし子どもの頃の私にとっては
立派な金メダルだった。
強く輝いていた。
16歳で家を出たとき
そのメダルも持って出た。
そして18歳で東京に出て劇団を立ち上げ
大きな借金を作り、どん底の生活になったとき
魔がさしてしまった。
当時その記念硬貨は1万円の価値まで上がっていた。
家賃も払えず電気もガスも止められ
どこにも借金もできず
パンすら買うお金がなくなったとき
とうとう金メダルを売ってしまったのだ。
キズが付いていた硬貨だったが
コイン屋は8000円で買い取ってくれた。
空腹に耐えきれずに手放したメダル。
失って初めて何かとんでもないことを
してしまったような気がした。
この世にはお金には変えられないものがある。
私の誕生を祝ってくれた両親の気持ちを考えると
自分の不甲斐なさに泣けてきた。
その夜に食べた牛丼は
しょっぱくて苦い味がした。
後悔だらけの人生だけど
だからこそ未来にしっかり生きて行こうと思えるのかもしれない。

