暑い夏の夜、浅草の夜。
雷門をくぐると
ほおずき市がやっていた。
広い境内に連なる屋台一面が橙色に染まる。
大昔から続く浅草の風物詩だ。
ひらがなのほおずきもいいが、
漢字の鬼灯も風流で
由来は分からないが
分からなくともなんともしっくりとくる。
今はとんと見なくなったが
昔は夏になると、あちこちの庭先に成っていたものだ。
この町は古いものが似合う。
いや、ただ古いというだけでは駄目なのだ。
料亭の土鍋や大工の道具は
使い込むほどに輝きを増す。
人もまた同じだ。
二十歳ではまだパイプが似合わないように
歳を重ねてこそ初めて出せる味があり
浅草にはそういった古き良き文化が息づいている。
ほおずきを一房買って
浅草寺からの帰りに空を見上げると
新しい下町の顔が少し気まずそうに
浅草の町を見下ろしていた。
どんな古いものでも
始まりはみんな新しい。
きっとあと50年も経てば
スカイツリーも立派な
浅草の風物詩になるだろう。

