防犯カメラの映像を見る右京

警備『特に不審な人物は写っていませんが、何事でしょうか』

右京『悪戯の可能性もありますが警視庁内で何かが起こるというネット上の書き込みがありましたので念のため調べています』

警備『最近はそういうのばかりですね』

右京『失礼、このモニターに映っているのは…』

警備『ああ、ピーポー君ですよ。警視庁のマスコットキャラですよ』

右京『ええ、ですがこの着ぐるみの人物は何をしているのでしょう』

警備『イベントの帰りだと思いますが…確かに着ぐるみのまま移動するのは変ですね』

右京『どの部屋に入ったのか調べていただけますか?』

警備『了解しました』

  そのころ

亀山『しかし聞き込みって言ってもどう聞けばいいんだ』

  そこにトリオが登場

伊丹『おい、亀吉!今日は一人か?変人警部殿はどうした??』

亀山『おお、伊丹!不審な人物見なかったか?』

伊丹『何言ってんだ?おめー』

芹沢『何かあったんすか?先輩』

亀山『いや、だから何か起こらないために俺が調べてんだよ』

三浦『何言ってんだ?』

伊丹『お前の相手をするほど暇じゃねーンだよ、行くぞ』

亀山『…爆弾だ』

伊丹『あ?』

亀山『警視庁内に爆弾を仕掛けたという電話があったんだ』

芹沢『ええ~マジですか??じゃあ早く避難するなり、爆弾処理班呼ばないとまずいじゃないっすか』

伊丹『どうせガセネタだろ、なんでおめーが知ってて、俺らが知らねーンだよ』

亀山『警視庁内にスパイがいるから公にはなってないし避難も捜索もできない…すぐ爆発なんてことになるかもしれない』

三浦『どうやら本気みたいだな…』

伊丹『それで、何を調べてる…』

亀山『俺にもわかんねーンだよ…』

  右京と亀山が合流

亀山『すいません、こいつらにしゃべっちゃいました』

右京『彼らなら問題ないと思いますよ。ピーポー君の着ぐるみの人物の行方が分かりません。今日はイベントもありませんので爆弾事件と何か関係がある人物だと思います』

伊丹『そいつが犯人だな』

右京『いえ、まだわかりません。他にも仲間がいた場合爆弾を起動される恐れがあります』

芹沢『じゃあ、捕まったのがばれないように身柄を拘束しろってことですか』

右京『ええ』

  再び防犯カメラを調べる

右京『わかりましたか?』

警備『ええ、着ぐるみが入って2分後に出てきた人物が映っていました。拡大します』

右京『この部屋を調べてみましょう、そしてこの人物を調べていただけますか?』

伊丹『おお、なんで爆弾なんてことに…』

右京『僕にもわかりません。しかしただの金銭目的とも思えません』

  そのときジャックから連絡が入る

ジャック『何かわかったか?』

右京『不審人物を見つけました。端末に送ります、それとこの人物は着ぐるみに慣れています。おそらくどこかのイベント会社の社員、もしくはアルバイト経験があると思われます』

ジャック『了解した。他には何かないか?』

右京『着ぐるみの人物は爆弾などは持っていませんでした。おそらく仲間が持ち込んだ爆発物をセットしたのでしょう』

ジャック『仲間がいるわけか…』

右京『それともう一つ。テレビ局のイベント撮影用のピーポー君が先日盗難に遭っていることも判明しました。つまり、そのイベントの撮影スタッフで、かつ理系出身者を中心に調べてください』

ジャック『了解した!』

 その後、ジャックはその人物(桜井将太)を見つけ出し、尋問を始めた

桜井『俺はそんなこと知らない!』

ジャック『とぼけるな!お前の姿がカメラに写っているんだ』

桜井『…いいのか?俺が1時間ごとに連絡を入れないと仲間がすぐに爆発させるぞ』

ジャック『何を言ってる。はったりだろ!』

桜井『じゃあ、このまま待っていればいいさ。あと5分で次の連絡を入れないとタイムリミットだ』

ジャック『何でこんなことをする…警察に恨みでもあるのか?』

桜井『いいや、俺にはそんな主義主張はないさ。ただ大きなことをやりたかっただけだ。大学卒業してからなにも面白くなかったからな』

ジャック『ふざけるな!何人の人間が犠牲になると思ってるんだ!』

桜井『そんなことよりいいのか?あと3分だ』

ジャック『仲間の名前を言え!どっちみちこのままならお前は一生刑務所だ、だが、まだやり直すチャンスはある』

桜井『…あと1分だ』

ジャック『すぐ連絡しろ…』

桜井『ああ』

  携帯をいじる桜井

ジャック『おい、何をやってる!』

桜井『今、爆弾起動させたよ』

ジャック『何!』

  そのとき携帯が鳴るジャック

ジャック『俺だ!』

右京『たった今、警視庁のロビーで小規模な爆発が起きました。死傷者が多数出ています…』

ジャック『貴様!』

  その時、仲間に背後からスタンガンで襲われ気絶するジャック

桜井『遅かったな、さっさと移動するぞ』

仲間『こいつはどうする』

桜井『放っておけ、どうせもう間に合わないさ』

11:59:57 11:59:58 

11:59:59

12:00:00

続く~
  特命にて

亀山『ヒマですね~』

右京『そうですね~』

角田課長『ヒマか?って見るからに暇そうだね』

亀山『なんか事件すか?』

角田『ロビーにお客さんだよ、しかも外人。ありゃFBIとかCIAかもな』

亀山『なんすかそれ、海外ドラマの見すぎじゃないっすか?』

角田『そんなことないって』

右京『とにかく行ってみましょうか』

  ロビーにて

亀山『あのー俺らに何か用ですか?』

謎の外人『俺は杉下右京に会いたいと言ったはずだ。あなたは?』

亀山『右京さんならすぐ来ますよ、俺は右京さんの相棒の亀山です』

謎の外人『ここはまずい。人に聞かれては困る話なんだ』

右京『では、特命係でいかかでしょう』

亀山『でも、あそこはいっつも立ち聞きされてますよ』

右京『では、鑑識でいかかでしょう』

謎の外人『それはCSIみたいなものだな?』

亀山『まあ、そうっすね。米沢さんなら秘密は守れますよ』

謎の外人『よし、そこへ案内してくれ。時間があまりない』

右京・亀山『?』

  鑑識にて

米沢『杉下警部、どうかいたしましたか?』

右京『ちょっと部屋を貸してもらえますか?』

米沢『ええ、今は私一人ですので』

謎の外人『俺は、ジャックバウアー。元CTUロサンゼルスの連邦捜査官だ。』

亀山『課長の言ってた通りですね…』

右京『バウアーさん、警視庁内で何か事件ですか?』

ジャック『ああ、俺は訳あって警察庁の小野田官房長の下で働いている。今朝、警視庁内に爆弾を仕掛けたという電話が入った』

右京『それで、要求は何でしょう』

ジャック『ドル紙幣で5万ドル、日本円で約500億を支払えという指示だ』

亀山『だったらすぐにでも警視庁内を徹底捜索して爆弾を見つければいいじゃないですか』

ジャック『それはできない。警視庁内に内通者がいるようだ…大規模な避難措置や捜索が行われれば即時爆発させると…』

右京『僕らが内通者である可能性もあったはずですが』

ジャック『小野田官房長に唯一信頼できるのは杉下右京だけだと言われてきたんだ』

亀山『それで、俺たちは何をすればいいんすか』

米沢『ちなみにタイムリミットはあるのでしょうか』

ジャック『犯人の指示では今日の午後3時までに振り込みが完了しない場合は爆発、爆弾自体に時限装置が付いていて爆弾を発見できない場合も午後4時には爆発する』

亀山『そんな…すぐ美和子に言って避難させないと』

ジャック『それはできない!絶対に外部に漏らすわけにはいかない!』

右京『まず、内通者を炙り出してからでも遅くはありませんよ』

ジャック『俺は犯人の手掛かりを追う、あなたたちには内通者と爆弾発見をお願いしたい』

亀山『爆弾たってどんなものか、分からないのにどうやって探すんです?』

右京『とにかく時間がありません、急ぎましょう』

ジャック『助かる、じゃあ何か情報が上がり次第俺の端末に送ってくれ』

米沢『では、私は何をいたしましょう』

右京『内密に爆弾処理班を待機させてください。もちろん外部に偽の爆弾事件があったように見せかけてです』

米沢『了解しました、あと6時間しかありません』

ジャック『いいな、爆弾発見が最優先事項だ。それ以外は考えるな』

右京『爆弾を仕掛けるとなると換気ダクトなど。あるいは宅配便を装い爆発物を送るなどでしょうか。君は各部署で聞き込みをお願いします。僕は防犯カメラの映像を検証してみます』

亀山『了解!』

続く~


  しばらくして

  特命にて

亀山『右京さん、一人怪しい人物がいましたよ。名前は近藤はるか(48)松本の生まれで、大学は理系、そしてブラックリストに記載されているのはこの女だけです』

右京『そうですか、こちらでもわかりました』

亀山『3人目の女ですか?』

右京『おそらくそうでしょう。都内の金券ショップに問い合わせてみました。旅行券やら商品券を大量に売りに来た人物がいたかどうかをです。数名いましたが免許証以外で身元を確認したのが2件、そのどちらの名前も河本香織という女性のものでした』

亀山『でも、犯人なら自分のは使うわけないっすよね』

右京『もちろんそうです。本人に問い合わせたところ、昨日保険証が無くなっていることに気付いたようです、そして河本さんの掛かり付けの病院が福田総合病院でした』

亀山『じゃあ病院関係者が保険証を悪用したんですか?』

右京『調べたところ河本さんの通う内科では看護師3人、医師が2人です。そして、そのうちこのカード会社を利用していたのは一人だけでした。名前は井上芳子30)です』

亀山『これで3人が分かりましたね』

右京『しかし、証拠はありません、殺人事件との関わりも憶測にすぎませんからね~』

  その時、角田課長があわれる

角田『おいおい、ニュース見てみろ、徳井祥子が遺体で見つかったそうだ』

亀山『え?なんでまた…』

右京『松本市で亡くなったようですね、地元に帰って何をしていたのでしょうね~』

亀山『とにかく残りの二人を見つけたほうがよさそうですね』

右京『ええ』

  

 鑑識にて


米沢『松本の鑑識に問い合わせたところ後頭部を強打されての頭がい骨骨折でほぼ即死だそうです。遺体はビルからの投げ落とされて自殺に偽装されていましたが間違いなく他殺だそうです』

右京『そうでしたか。ところで例の指紋はどうなりましたか?』

米沢『バッチリ一致いたしました。レシートに残された指紋はカード会社の書類に残された近藤はるかの指紋と同じでした』

亀山『じゃあ少なくとも近藤はるかと徳井祥子は面識があったわけですね』

右京『そのようですね~』

  

 そのころ捜査一課では


内村『なんだと?松本の事件と関係があるのか?』

伊丹『偶然にしては出来すぎています』

中園『じゃあ被疑者は誰なんだ』

芹沢『近藤はるかという女です』

内村『何者だ?』

伊丹『カード会社のブラックリストに載っている人物で、徳井祥子と同じ故郷です』

中園『よく調べたじゃないか』

内村『おおかた杉下だろ、奴でなければこうすぐにはわからんだろうからな』

伊丹『…と、とにかく近藤はるかの家宅捜索令状をお願いします』

内村『バカモノ!それだけの証拠で令状なんて取れるわけないだろ』

伊丹『しかし…』

中園『部長のおっしゃる通りだ、確たる証拠を見つけ出すんだ』

芹沢『せめて合同捜査本部にしてください、県警は協力的とは言えませんよ、ねー先輩』

伊丹『ああ、今の段階では自供を得るしかありませんよ』

内村『そんな真似できるか、県警に協力は要請するが絶対に合同捜査などにはしない。逆に向こうの事件も解決したらどうだ』

伊丹『そんな無茶な!』

中園『とにかく証拠だ!』

  

 外に出る伊丹ら


伊丹『ったくどうすりゃいいんだよ』

芹沢『杉下警部の出方を待ちましょうか、そのほうが早そうですよ』

芹沢の頭をたたく伊丹『プライドを持て、ばか』

芹沢『痛いな~、僕に当たることないじゃないですか~』

  

 その後、福田総合病院にて


右京『井上芳子さんはいらっしゃいますか?』

受付『彼女なら今日は早退しましたよ』

亀山『具合悪いんですか?』

受付『さあ、最近多いんですよ。噂では男と会ってるって』

右京『男ですか』

受付『あくまで噂ですよ~患者さんが若い男と歩いてた彼女を見たって言ってたんですよ』

亀山『住所教えてもらえます?』

  井上芳子の自宅前にて、若い男と井上は車の中から出てきた


井上『待って、今持ってくるから』

男『うん』

  井上が紙袋を持って車に近づいてきた、次の瞬間、紙袋を奪い若い男は逃走してしまった


井上『…ちょっと!』

  そこに右京が現れる


右京『今のが奪い取ったお金ですか』

井上『なによあんた!』

右京『申し遅れました、警視庁特命係の杉下と申します』

井上『…何も知らないわよ』

右京『このままお金を取られたままでよろしいのですか?彼だけがおいしい思いをしてしましますよ』

井上『知らないって言ってるでしょ、彼は悪くないわよ、何か手違いが起こっただけよ』

右京『よろしい、では彼の家に行って事情を聞きましょうか』

井上『彼の家なんて知らないわよ…』

右京『おやおや、困りましたね~』

  そのとき右京の携帯に亀山から連絡が入る、若い男の身元が割れたようだった


井上『彼はここに住んでたの…』

亀山『ああ、しかも奥さんと子供までいるんだぞ、あんたそれでもあいつをかばうのか?』

井上『…』

  亀山が男を呼び出す


若い男『なんだよあんたら、俺が何したっていうんだよ』

井上『ねえ、嘘よね?私と結婚してくれるのよね?』

亀山『はっきりしろよ、お前』

若い男『ったく面倒くせーな、誰がおばさん相手に本気になると思ってんだよ、ただの(ホストの)仕事だ、勘違いしてんじゃねーよ』

井上『…っそんな…』

右京『あなたに人を非難する権利などありませんよ!もし胸を張って仕事だというのならば、お金をすぐに返しなさい!』

男『…』

亀山『じゃないと、今度は警察が黙ってないからな!』

 その後


井上『ごめんなさい…私がばかだったみたい…いい年して…恥ずかしい』

右京『人間ですから躓くことはあります、しかしそこから立ち上がろうとしないことが一番恥ずかしいのですよ』

井上『…お金は返します』

亀山『詐欺事件を認めるんだな?』

井上『すいませんでした』

亀山『それで、箕輪と徳井祥子を殺したのもあんたなのかよ』

井上『違います!箕輪を殺したのは祥子さんです…カード読み取り機に仕掛けたトリックを見破られて箕輪に脅された時、彼女ともみ合っているうちに彼が足を滑らせて…』

亀山『なんですぐに自首しなかったんですか』

井上『祥子さんが…私たちも共犯だから同罪だと逆に脅してきたんです』

右京『なるほど、では近藤さんもその場にいらしたのですね』

井上『なんで…私は誰にも言ってないのに何で知ってるんです?』

亀山『ダルマですよ、あれから3人に行きついたんですよ』

井上『祥子さんが何で死んだのかは分かりません…でもはるかさんに祥子さんの家に行ってもらったのは確かです…』

右京『おそらく、奪い取ったお金のほとんどを徳井さんが独占してしまったのでしょう、奪われた金額はあなたの貢いでいた金額の数十倍ですからね』

井上『ええ、もうお金でしか彼の心をとどめておくことができなかったのに…そのお金が無くなった上に…あんなことまでしたのにお金をもらえなったんです…』

右京『そこで近藤さんが徳井さんに会いに行ったのですか』

井上『ええ』



  近藤はるかの住むアパートにて


電話をする近藤『あっ兄さん、(娘の)葉子の進学資金の目途がつきましたよ。入学金には十分な額がそろったわ』


  そこに右京らが現れる


右京『近藤さん、このままでよろしいのですか?』

近藤『なによ…あななたち』

亀山『人を犠牲にしてまで入学金を工面する意味あるんですか』

近藤『…言いがかりよ』

右京『では、カード会社のブラックリストに名を連ねているあなたが何故そんなお金を持っているのです?』

近藤『…』

亀山『リストに載っていたからオークションに参加できずに51人目の女として紛れ込んだんでしょ?』

近藤『私はあきらめないわよ、あの子を入学させるまでは絶対に!』

右京『殺人事件に関してはこちらとしても確たる証拠があるわけではありません』

亀山『え?ちょっと右京さん?』

右京『しかし、証拠は必ず見つけます。もしも入学後に事件が明るみに出れば一番苦しむのは葉子さんだと思いますよ』

近藤『…』

亀山『いいのかよ、子供の将来を心配するのが親の仕事だろ!』

右京『あなたは、このまま逮捕におびえる生活を葉子さんと一緒にすごさなければならないのですよ』

近藤『…仕方ないじゃない、あんたらに私の気持ちなんてわからないわよ』

右京『ええ、もちろん僕らには到底理解できるものだとは思いません、しかし葉子さんは別です。おそらくあなたが犯罪に手を染める経緯をすべてご存じのはずですよ』

亀山『もう彼女を苦しませんなよ』

  そこにおじさんに引き取られていた葉子が戻ってきていた


葉子『お母さん…私負けないから、お母さんも負けないでね』

近藤『…ごめんなさい…殺すつもりなんてなかったけど…祥子が初めから私たちを利用するだけ利用して海外に逃亡しようとしてたのを知って我慢できませんでした…最初はお金持ちからちょっとお金をいただく程度のことだったのに何でこんなことに…』

右京『罪の大小はあっても、犯罪は犯罪ですよ、何故もっと早く気付けなかったのですか』


  特命にて


角田『それで、借金の原因はパチンコ依存症だってな』

亀山『ええ、旦那が死んだときに始めたパチンコがすべての始まりだったみたいっすよ』

角田『まったく怖いね~依存症ってやつは』

右京『ええ、そうなってしまっては前後の見境も、事の善悪も無くなり依存の対象にのめり込んでいくそうです』

亀山『俺らは特になくてよかったすね』

角田『いや、亀ちゃんはコーヒー依存症だろ、そんであんたは紅茶依存症だろ』

亀山『そういう課長は特命依存症じゃないんですか~?』

右京『ちなみに僕のは依存症ではありませんよ、多少中毒気味なだけですから』

角田『どっちだって同じだよ、ためしに一週間紅茶抜いてみなよ』

亀山『面白そうっすね、途端にいらいらし始めたりしてね』

右京『結構、やってみましょうか、この一杯を最後にして』

亀山『って言ってるそばからもう飲んじゃったよこの人は』

 終り~


  鑑識にて

右京『どうも』

米沢『どうも。そろそろいらっしゃるころだと思いました』

右京『何か見つかりましたか』

米沢『現場は被害者の住んでいるマンションです、血痕が残されていました。他にはこれといって特にありませんな』

亀山『じゃあ、遺体を移動したわけか』

米沢『まあそう考えて間違いありませんな』

亀山『一課では目撃者を探してるそうですね』

米沢『ええ、しかし死亡推定時刻の午後11時頃にはあの辺は人通りが少なくなるそうです』

右京『そうですか、では我々も主催者の徳井さんにお話を伺ってみましょうか』

亀山『やっぱり詐欺事件と関係あるんすかね』

右京『それを調べに行くんですよ』

  徳井の住むマンションでは既に捜査一課が来ていたが何日も留守にしているようだった


伊丹『重要参考人として家宅捜索令状とるぞ』

三浦『しかし、まだ確たる証拠はないぞ』

右京『では、安否確認のためというのはどうでしょう』

亀山『早く管理人に鍵借りてきたほうがいいぞ』

伊丹『またのこのこと捜査に首突っ込みやがって』

三浦『まあ、いい、芹沢、管理人に借りてこいよ』

芹沢『はい』

  部屋に入る捜査一課と特命係

伊丹『やっぱり留守か、しかし随分広い部屋だな~』

芹沢『そうっすね、カード会社ってこんなにもうかるんすかね』

右京『…』

管理人『実はこのところ家賃が遅れ気味だったんですよ』

亀山『家賃はいくらなんです?』

管理人『月、15万です。他に管理費などで3万円、計18万ですね、先日3カ月分をまとめてお支払いいただきました』

亀山『やはり金を手に入れてたんですね、右京さん』

右京『ええ…』

  右京はサイドボードの上に置かれたダルマに注目した。

右京『この部屋にダルマは不釣り合いだと思いませんか?』

亀山『言われてみれば周りのインテリアは洋風なのに、何でダルマが…』

管理人『徳井さんは長野県の松本の生まれなんで、おそらく地元のものだと思いますよ』

右京『徳井さんは普段からこのようなものをお持ちだったのでしょうか』

管理人『いいえ何度かこの部屋に来ましたが見たことありませんね。どちらかというと都会派で、こういうものを自分で買うってのは意外ですね』

亀山『最近地元に帰ったんすかね』

右京『気になりますね~』

  その時、右京は部屋のごみ箱からあるレシートを見つけだした

右京『亀山君、至急松本市に問い合わせてこのサイズのダルマの値段を調べてください』

亀山『?』

  特命にて

亀山『わかりましたよ。店によって様々でしたけど平均的には3000円だそうです』

右京『やはりそうでしたか。このレシートの3000円というのはあのダルマだったようです。そしてレシートには3000x3。つまり同じものを3体買ったことになります』

亀山『3個も?でもあの部屋には1体しかありませんでしたよ、それに同じもの三つも買いませんよ』

右京『誰かのために買ったとは考えられませんか、自分を除く2人分も一緒に買ったというのはどうでしょう』

亀山『じゃあ徳井さんが何らかの理由で普段興味を持たないダルマを買ったんですか~?』

  そこに米沢さんが登場

米沢『どうやらそうでもないようです。杉下警部から頂いたレシートの指紋と、徳井祥子の車のドアから検出された指紋は別物でした』

右京『つまり、松本市にゆかりのある人物があの部屋に3人集まった。そこでダルマを買った人物と、徳井祥子、さらにもう一人いたのでしょう。ダルマには目が二つ書き込まれていたので何か目標を達成したようです』

亀山『目標?まさか今回の詐欺事件ですか?』

右京『そう考えれば51人目の女の正体とも重なります。おそらく51人目の女が、カード読み取り機から無線で飛ばしたカード情報を手に入れる機械を持っていたのでしょう』

米沢『しかし、そういったものは工学系の知識を要しますな、つまり犯人の中に理系の人物がいると思われますな』

右京『ええ、松本の出身、お金に困っての犯行ということはカード会社のブラックリストに記載されている可能性が高い、そして理系出身の人物。それでカード会社のリストと合わせれば51人目の女は絞られてきます』

亀山『さっそく問い合わせてみます!』

続く~

  高輪ロイヤルホテルにて

美和子『たまきさん、早く早く、始まっちゃいますよ』

たまきさん『美和子さん、待って下さい』

美和子『じゃあ、私たち先に行くからね、薫ちゃん』

亀山『ったく、しょうがねーな』

たまきさん『すいませんね~右京さんまで連れてきてしまって』

右京『僕なら構いませんよ、一度こういったものを見学したかったものですから』

  会場にて

司会者『それではまず最初の商品のご紹介です』

亀山『ところで何のオークションなんだよ?』

美和子『カード会社のオークションよ、会員特典でいいものがより安くってやつよ』

亀山『それにしては人数少ないな』

たまきさん『実は抽選で当たった50人限定なんですよ、亀山さん』

亀山『なるほど、運よく二人とも当たったわけですか』

美和子『そうよ、会場内は女性限定だから外で待っててね』

たまきさん『一階で美味しい紅茶のお店もあるみたいですよ、右京さん』

右京『そうですか、では我々はそちらに行ってましょうか、亀山君』

亀山『そうっすね』

右京『おや?』

亀山『どうかしたんすか?右京さん』

右京『いえ、少し細かいことが気になりましてね~僕の悪い癖です』

  翌日  特命にて

亀山『右京さん、大変です!』

右京『どうかしましたか?』

亀山『例のオークション、どうやら詐欺だったみたいですよ』

右京『偽物ブランドですか』

亀山『いえ、どうやら会場内の会計で使われたクレジットカードが不正利用されたようです』

角田『高輪ロイヤルの事件だろ、参加者全員が限度額いっぱいまで使われたそうだ』

右京『では、美和子さんやたまきさんも被害者ですか』

亀山『まあ、幸いたいした被害じゃないそうですけど』

角田『カード会社はオークションがあったのは確かだが落ち度はないと言っているんだ。それで、あんたら現場にいたんだよな、なんか気付かなかったのか?』

亀山『そんなこと言っても俺らは中まで入ってませんからね』

右京『一つ気になることがありました、参加者は抽選で選ばれた50人のはずですが、会場内には司会者の男性と主催者らしき女性を除くと51名いました』

角田『本当か?じゃあ、そいつが今回の犯人か』

亀山『しかし、よく中の人数なんて分かりましたね』

右京『簡単な掛け算ですよ、座席は横に7列、縦に7列、これで49名。さらに後ろに席が二つ。スタッフにはそれぞれ椅子が用意されていたので妙だと思っていました』

亀山『じゃあ、最初っからその1名は招待されていたってことですか?』

右京『ええ、正規に選ばれた50名とは別に、主催者側に呼ばれた一名がいたのでしょう』

亀山『で、主催者って誰だったんです?』

角田『徳井祥子という女だ。だが、本人は知らぬ存ぜぬ、カード読み取り機にも特に不審な点はなかったそうだ』

右京『事件発覚後となれば当然証拠は残しませんよね~』

亀山『まあ、そりゃそうっすね、でも犯人はどうやってそれを現金に換えるんです?』

右京『商品券や旅行券を大量に買い、金券ショップに売るのでしょう』

亀山『でも、ショップなら身元が調べられますよね』

角田『いや、いい加減なところなら名前くらいしか確認しないからな…』

右京『都内の金券ショップを調べれば名前くらい分かるかもしれません。もっとも偽名でしょうが』

角田『さっそく調べてみるか』

  そこに伊丹らが登場

伊丹『おっと、その一件なら捜査一課が引き継ぎますよ』

角田『何でお前らが出張ってくるんだよ』

三浦『そのオークションの司会をやっていた箕輪治夫という男が今朝東京湾で死体で発見されたんですよ』

右京『なるほど、詐欺事件から一転殺人事件にまで発展してしまったようですね~』

亀山『何で司会者が…今回の首謀者なんすかね?』

右京『それならば死ぬ必要はありませんよ、とにかく調べてみる必要はあるようですね~』

伊丹『もしもし?俺ら無視してんじゃねーよ』

亀山『お前らはもういいって、これは俺たちの事件だから』

伊丹『何言ってんだ、こら!』

三浦『警部殿~何か知ってる情報あるなら教えてもらえませんか』

右京『・・・』

伊丹『無視かよ』

続く~