最初の事件から4日後
警視庁から外に出る特命の二人
亀山『でも、右京さん?なんで無差別じゃないと思ったんすか?もちろん万年筆のこともあるんでしょうけど…』
右京『爆破予告の位置と時間ですよ』
亀山『まあ人気のいない位置だからってはなんとなくわかりますけど…』
右京『今回の予告がラッシュ時を避けて10時を指定していたので単に警察への挑戦とは思えませんでしたからね~』
亀山『なるほど、ターゲットだけを確実に狙うためってことですか』
8年前の被害者・与田豪の両親宅(千葉)にて
与田の母・玉枝『警察の方が何かご用でしょうか?』
右京『実は8年前の事件について少々気になることがありまして』
玉枝『そのことですか…でももう終わったことですからどうか放っておいてください』
亀山『いや、でも今回の事件と…』
亀山を制止する右京『亀山君!…そうですか、では一つよろしいでしょうか?』
玉枝『はい?』
右京『ご主人の浩二さんがここ何日かお留守のようですがどちらに?』
玉枝『何故、そんなことをご存じなんです?』
右京『未開封の手紙が何通か机の上にありましたから。見たところこの部屋は大変良く整理されています。当然手紙もしっかりと保管されていますね。ところが消印が最近のものだけ無造作に置いてあったものですから。いや~細かいことが気になってしまうのが僕の悪い癖』
玉枝『主人は3日前に出て行ったきり帰ってきません…どこいったんだか私が聞きたいくらいですよ』
亀山『本当にご存じないんですか?』
玉枝『どういう意味です?』
亀山『いえ、深い意味はありませんよ、ところで旦那さんはどちらにお勤めなんです?』
玉枝『詳しくはわかりませんが電子部品の製造なんかをやってるそうです』
帰る二人
亀山『ビンゴでしたね』
右京『いえ、そうとも言えません』
亀山『え?』
右京『最初の電話がかかってきたのが4日前です、しかし家に戻らなくなったのは3日前から。妙だと思いませんか?計画を実行するときにわざわざ場所を移動する必要はなかったはずなのですがね~』
亀山『奥さんも嘘をついてるってのは?』
右京『ならば長期不在だということを我々に伝える必要はありませんよ』
特命にて
亀山『右京さん、与田浩二は3日前から会社を休んでますよ』
右京『やはりそうでしたか』
亀山『どこ行っちゃったんすかね』
そこに伊丹らが現れる
伊丹『こら、特亀~おまえらこそこそ動き回って何やってるんだ?』
三浦『警部殿~情報があるのならこちらにも教えてもらえませんか~』
亀山『別に隠してるわけじゃないですよね~右京さん』
右京『ええ、今回の被害者二人は8年前の事件でつながりがありました』
芹沢『じゃあ被疑者の目星もついたんすか』
亀山『ああ、8年前の事件の被害者の父親が3日前から行方不明だ、緊急手配したほうがいいぜ』
伊丹『おい、行くぞ、すぐ手配だ!』
捜査本部にて
内村『なに?復讐殺人だと?』
伊丹『ええ、無差別に見せかけた計画的な犯行のようです』
中園『どこからの情報だ?』
内村『おおかた杉下だろ、まあ無差別でないならなんでもいい、さっさと被疑者を連行して来い』
三浦『とりあえず与田浩二を重要参考人で指名手配します』
特命にて
右京『亀山君、少し調べてもらいたいことがあります』
亀山『了解』
亀山『了解』
最初の被害者江本の働いていた建設会社にて
江本の上司である桑田『どんな要件でしょうか?』
右京『実は、現場に残された万年筆のことが気になりまして、どうやら江本さんのものではないようですがどなたのものかご存じありませんか?』
桑田『さあ、見た事ありませんね、念のため他の作業員にも聞いてみますよ』
右京『恐縮です』
桑田『おい、みんな!例の爆発した場所にこの万年筆が落ちてたそうだ、誰か見覚えないか?』
しかし、全員知らない様子だった
桑田『すいませんね、ご協力できなくて』
右京『いいえ、おかげで手間が省けました。最後にもう一つだけよろしいでしょうか。岡田明憲さんをご存じありませんか?』
桑田『さあ、二人目の犠牲者ってことしか存じませんけど』
右京『そうですか、では失礼します』
外に出る右京、そこに亀山から電話がくる
亀山『右京さんの睨んだとおりでしたよ、8年前に堀内工業ではもう一つ事件があったようです』
右京『そうでしたか、では警察病院に向かってください』
警察病院にて 、岡田は意識を回復していた
右京『面会は短時間だけということなので、単刀直入にお伺いします』
岡田『なんですか?』
亀山『あんた、8年前に事件の目撃証言をしてるよな』
岡田『…ええ』
右京『しかし、その日は大阪にいらしてますよね、それも槙原紀子さんという女性と一緒に』
岡田『何言ってんだ、そんなわけないだろ…』
写真を見せる亀山『ところが、事件と同じ日、同じ時間にあんたとその女性が一緒に写っているんですよ』
右京『あるテーマパークではプロが写真撮影をしています。そしてそのなかから欲しいものだけを買い取るシステムの記念撮影用写真の中にこの写真がありました』
岡田『なんでそれを…』
右京『槙原さんから伺いました、あなたが証言者になっていたことは知らなかったそうですね~』
亀山『なんで虚偽の目撃証言なんかしたんだ?』
岡田『1000万出すといわれて…つい』
亀山『誰に言われたんだ?』
岡田『わからない…最初に100万円送られてきて、手紙に書いてある通り証言すればあと900万払うといわれただけで、電話の相手が男だってことしかわからないんだ』
胸ぐらをつかむ亀山『ったく何やってんだてめー』
止める右京『亀山君、その依頼人に会いに行きましょうか』
建設会社のとある現場にて
桑田『刑事さん、まだ何か?』
右京『一連の事件の犯人が明らかになりましたのでご報告に上がりました』
桑田『なぜ私に?』
右京『あなたがその犯人だからですよ、桑田さん』
桑田『何を言っているんですか?』
右京『最初の電話で[仕事をさぼっているからそういう目にあう]といっていたのがずっと引っかかっていました。身近にいなければわからないですからね~さらに、あなたは現場に万年筆が落ちていたこともご存じだった』
桑田『それは刑事さんが言ったんでしょう』
右京『いいえ、僕は現場に残されたと言っただけです。落ちていたとは言っていませんよ』
桑田『そんなの言葉のあやじゃないですか』
亀山『それだけじゃありませんよ、あんた7年前まで堀内工業に勤めていたよな』
桑田『それが何か…?』
右京『8年前に殺害された与田さんが勤めていた会社ですよ』
桑田『与田は酔っ払いに殺されたんだろ』
右京『いいえ、あなたの指示で江本が殺害したのだと思いますよ。偽の目撃証言まで用意したようですから』
桑田『なんのことだか』
亀山『8年前にはこの事件の前に横領事件まで起きてる、もちろん犯人は捕まってない。これもあんただろ』
桑田『さっきから聞いていればなんなんだ、君たちは!証拠はあるのか?』
右京『あなたにとって最大のミスは岡田が生き残ったことでしょうね~岡田に最初に送られた100万円と同封の手紙にあなたの指紋が出ると思いますよ』
桑田『そんなものがあるはずない』
手紙を取り出す亀山『ここにありますよ』
奪い取る桑田『…くっ。こっちによこせ!これで俺の指紋が付いたな、さあどうする?』
右京『おやおや、参りましたね~しかし今の行動であなたの犯行だということは明白になりました』
亀山『念のためコピーを取っておいてよかったですね~右京さん』
桑田『な…だからこんな真似を…し、しかし8年前に偽の目撃証言を要求しただけだ』
右京『あなたの自宅や職場を徹底的に捜索すれば必ず証拠は出ると思いますよ』
亀山『もう諦めろ、与田さんをどうしたんだ?』
桑田『しらないね…』
右京『桑田さん!与田さんを死なせてしまえばあなたは極刑を免れませんよ、幸いにも岡田さんは生きています。8年前の事件も江本が亡くなってしまった以上あなたが殺害に関与した証拠はありません。あとはあなたに任せます。あなた自身が死の恐怖を選択するのなら黙っていてもらって構いません、しかしまだ間に合うのであればすぐに言いなさい!』
桑田『…木更津の廃ビルの中だ』
携帯で電話する亀山『伊丹、木更津だ』
30分後、かなり衰弱していたものの与田浩二を無事保護。
特命にて
亀山『とんだ連続爆弾犯でしたね』
右京『そうですね~』
角田『横領事件もやはり奴の犯行だったようだな』
亀山『まったくいつから人の命は金より軽くなったんすかね』
右京『本来ならば比べられないものなのですがね~』
角田『まあ、俺たちには無縁な話だな』
亀山『なんでです?』
角田『だって俺たち公務員はそんなに金もらえないだろ~』
右京『しかし、我々は今最も人気のある公務員ですよ』
亀山『そうですよ、課長。あした妬みで突然事件に巻き込まれるかもしれませんよ~』
角田『おいおい、物騒なこと言うなよ~』
杉下右京は今日も高い位置から紅茶を注ぐのであった
(終わり)