続き~

右京『まず犯人は栗原さんに[浜崎さんが悪いうわさを流しているなどという嘘の情報を与え疑心暗鬼にさせました。これらは同僚の方からの証言で明らかになっています』

亀山『そして、犯人は栗原さんにある提案をした』

右京『何か間違っていますか?高橋さん』

高橋『言っている意味がわかりませんね、犯人が僕だというんですか?』

右京『ええ』

柳本『面白いな、聞かせてくださいよ、刑事さんたちの推理を』

右京『高橋さん、あなたはあの日栗原さんに死体の役を演じさせたんですよ。ナイフを床に置いて、おそらく心臓や腹のあたりを赤い絵の具で真っ赤にした』

亀山『そして浜崎さんを呼び出して気絶させた、栗原さんにとって本当はここまでで終わるお遊びのつもりだったんだな』

右京『しかし、あなたは気絶したのを確認し、栗原さんが着替え終わったところで今度は本当に殺害したんです』

高橋『…バカバカしい、そんな都合よく気絶したりしませんよ?』

  そこに神戸が登場

神戸『ところがそうでもないんですよ、心療内科医の先生に聞いた話によると浜崎さんは重度のストレスや異常な事態に陥った時すぐに気絶してしまうようです。コンサート中にも一度あったそうですし。しかも前後の記憶があいまいになってしまうのもこの症例の特徴らしいですね』

高橋『…』

右京『そのことをあなたは知っていて利用したんですよ』

亀山『浜崎さんにも栗原さんと同様に嘘の情報を与えて悪印象を与えておけば可能だからな』

高橋『仮にそうだったとして、なんで俺が犯人なんです?』

右京『先ほども言ったように、今回の犯行は二人の間に立って入る人間にのみ可能なものです』

高橋『だったら宝来にも』

亀山『残念ながら、犯人はあんたしかいないんだよ』

高橋『どういう意味だ』

右京『大山さんが襲われた事件は浜崎さんを事件から守るために宝来さんがやったものだと僕は思っていました、しかし現場にいなかった彼が大山さんを特定するのは非常に難しい。つまりこの犯人は写真を撮られたこと、それが誰なのかを知れた人物となります。おそらく大山さんの持っていた社名入りの封筒から身元を割り出したのでしょうが目の前にいなければできません』

神戸『大山さんの携帯をお借りしてきました』

右京『以上のことを考慮に入れてもう一度見てみるとここに写っているのは浜崎さんの車だけではありませんでした』

亀山『この車のドアミラーに写っている人物を拡大してみるとあんたにそっくりなんだ、どう説明してもらえます?』

高橋『…た、例え現場付近にいたからと言って俺が犯人だとなぜ言える』

右京『この写真の人物、つまりあなたが持っている紙袋。これです。和菓子専門店の鶴屋のものね。これは栗原さんの家から持ち出したものではありませんかね~彼女の家からは鶴屋の菓子折が発見されましたが、それを入れた紙袋が発見されていませんのでまず間違いないと思います。おそらく中身は赤い絵の具で真っ赤になった栗原さんの衣服です』

高橋『…』

亀山『相当な量で袋にまでにじんでるようだから調べれば出てくると思うよ~あんたの車のシートから事件現場にわずかに残された赤い絵の具がね』

高橋『…やはり悪い事は出来ないんだな、こんなに早くばれるなんて』

右京『一つわかりません、何故浜崎さんを犯人に仕立てようとしたのでしょう?あんなことをせずとも方法はいくらでもあったはずです』

神戸『それは、最近になって彼女(浜崎)と別れたからですよね』

高橋『なんでそれを?』

神戸『あなたの指に最近まではめていたような指輪の跡が極僅かにあったので、もしかしたらと』

右京『なるほど』

亀山『俺にも一つ分かんないんすけど、なんで栗原さんを殺したんだよ』

神戸『簡単ですよ、こちらは結婚を迫ってきたから邪魔になってってことじゃないですかね、奥さんに近じかお子さんが生まれるようですから』

高橋『…』

亀山『え?じゃあ結婚していて愛人が二人いて、一方に捨てられ犯人に仕立て、一方が迫ってきたから殺した??なんてやろーだ…』

右京『神戸君は随分と男女の機微に明るいようですね~』

神戸『いえ、最近では珍しくないですよ』

亀山『世も末ですね…』

右京『そのようですね~』
神戸『お二人とも恵まれた環境におられたんですよ』

右京『それにしても君、短時間でよくそこまで調べられましたね』

神戸『警部の的確な指示があったからですよ』

小声の亀山『なんだか難しい人でしょ?』

小声の神戸『亀山さんはもう何年も一緒にいるんですよね、いつもこんな感じなんですか?』

小声の亀山『前はこんなもんじゃなかったんですよ、いまではまるくなった方ですよ』

小声の神戸『そうですか?僕には到底思えませんが…』

右京『君たちはいつからそんなに仲が良くなったのですかね~』

亀山『そんなことないですよ』

神戸『特命係のことをいろいろ聞いていたんですよ』

右京『そうでしたか』

亀山『でも、早期解決でよかったですね』

右京『そうですね~僕がもう少し丸くなっていればもっと早く解決できたんでしょうね~』

神戸『・・・』

亀山『…』

亀山・神戸(聞こえてたのかよ…)

終~

  品川の事件現場に到着した右京と亀山

米沢『お待ちしておりました、残念ながら遺体は先ほど搬送されてしまいましたが』

右京『そうですか、ところでこの現場を見る限りそれほど出血していないようですが?』

米沢『おっしゃる通りです、凶器がそのままの状態であったためさほど現場に残された血痕は多くありません』

亀山『それで、凶器はなんなんです?』

米沢『一般的な刃渡り20センチの包丁です、おそらくこの家の台所にあったものでしょう』

伊丹『こるぁ~!特命係の亀』

亀山『って山を省くなよ!』

芹沢『また呼んでもないのに来たんですか?ついさっきもう一人の特命の人も来ましたよ』

亀山『神戸さんが?』

三浦『なにやら現場周辺をうろうろしてたから職質かけたんだけどな、いったい誰なんだあの刑事は?』

亀山『訳ありで俺達のとこで研修やってんだよ、そんで今神戸さんは?』

芹沢『なんか死体が運び出された時になって気分が悪くなったって帰りましたよ』

伊丹『ったく刑事のくせに死体にびくついてるようじゃダメだな…さすが特命係だ』

右京『被害者の身元は?』

芹沢『名前は栗原加奈(24)歌手の浜崎來未のバックダンサーをやっていたそうです』

伊丹『余計なことしゃべらなくていいんだよ!こら』

芹沢『聞かれたから答えただけっすよ~』

右京『やっていたということは今は辞めてしまったのですね?』

芹沢『ええ、関係者の話によると半年ほど前に突然辞めたそうです』

右京『しかし、疑問がひとつ』

亀山『なんで浜崎來未が現場で目撃されたかですね?』

右京『もちろんそれもありますが、半年間彼女はどこから収入を得ていたのでしょうね~これほどのマンションに今でも住んでいるということは必ずどこからか収入を得ていたと思いますよ』

芹沢『…』

伊丹『おい、さっさと調べろ』

芹沢『はい!』

  外に出る右京と亀山


亀山『やはり大山さんの携帯電話が気になりますよね?』

右京『ええ、米沢さんに解析してもらいましょう』

  鑑識にて


亀山『大山さんから携帯電話借りてきました』

米沢『ではさっそく調べてみましょう』

右京『事故現場の撮影の前後からお願いします』

米沢『承知しました』

亀山『見たところ浜崎來未なんてどこにも写ってませんね』

米沢『他人の空似ということも考えられませんか?私もよく芸能人だと思って近づいたところ全く違う人で、逆に警戒されてしまったことがありますが』

亀山『それはいかにも怪しい格好だったんじゃないっすか?』

米沢『まあ、そういう見方もありますな』

右京『そこの画像をもう一度お願いします』

米沢『こちらですね、おや?ここを拡大してみます』

右京『車が写っていますね、ナンバーまで分かりますか?』

米沢『やってみます、ついでに所有者の特定もお任せください』

右京『恐縮です』


  特命にて

神戸『二つの事件につながりがありましたか?』

右京『君は何故現場に行ったのですか?僕は君に大人しくしていてくださいと言ったはずですよ』

神戸『いえ、何かのお役にたてたらなあと思っただけですけど』

右京『とにかく余計な真似はしないでください』

亀山『どうしたんです?右京さん?なんかいつも俺達が刑事部長や一課に言われてるセリフみたいじゃないっすか』

右京『全く違いますよ』

神戸『お言葉ですが僕が捜査を邪魔したわけではありませんよ』

右京『しかし、君は現場で職務質問をされたそうではないですか、そのことによって本来の捜査が妨害されたという可能性もあります』

神戸『それは…あの一課の刑事達がしつこいからで…』

亀山『でも、話によると警察手帳を持ってなかったんですよね?』

神戸『たまたまこの部屋に忘れたいただけで…』

右京『つまり、かなり捜査の邪魔になっていた可能性が高いと思いますよ』

神戸『…』

米沢『お取り込み中のところ失礼します、先ほどの結果が出ました』

亀山『で、誰の車だったんです?』

米沢『浜崎みそのの物でした、ちなみに浜崎來未の本名がみそのです』

亀山『じゃあ、やっぱり事故現場で目撃されたのは本人だった…』

米沢『そう思われます』

神戸『僕もあの後調べてみましたが浜崎來未と栗原加奈は高校時代からの親友でデビュー当時から栗原加奈はバックダンサーをしていたそうです』

右京『君は聞き込みにも行ったのですか?』

神戸『ええ…』

亀山『と、とにかく浜崎さんに話を聞きに行きましょうか、ね、右京さん』

右京『ええ』

神戸『では、僕はここで大人しくしていますよ、邪魔にならないように』

  浜崎來未の事務所にて

社員の高橋寛『あいにく浜崎はスケジュールがいっぱいでして私がお答えします』

右京『では、栗原さんがお辞めになった理由はご存知ですか?』

高橋『いえ、突然のことでしたから。もちろん浜崎本人も知らなかったそうです』

亀山『二人の仲はどうだったんですかね?最近何かトラブルがあったとかありませんか?』

高橋『ないと思いますよ…詳しい事は分かりませんが』

亀山『実は事件の日に浜崎さんの車が現場のすぐ近くで目撃されているんですよ、それについて何か心当たりありませんか』

高橋『さあ…でも栗原とは辞めた日以来連絡が取れないって言ってましたから何かの間違いじゃないですかね?』

右京『栗原さんが亡くなったのが3月29日午後9時から11時にかけてと思われます。その浜崎さんのスケジュールを教えていただけませんか?』

高橋『でしたらマネージャーの宝来に確認してください、今なら都内のスタジオにいるはずですから』


  某スタジオにて

マネージャーの宝来雅夫『車が目撃された?何かの間違いでしょう』

亀山『それが、そうでもないんですよ。何かご存じありませんか?喋っていただけないなら令状とって本人に聞くしかないんですが』

宝来『止めてください!いま大事なコンサートを控えてるんですから!』

亀山『だったら教えてくださいよ』

宝来『実は…呼び出されたんですよ。栗原に』

右京『浜崎さんがですね?これは僕の想像ですが金品を要求されていたのではありませんか?』

宝来『…ええ、内容は言えませんが彼女には相当のお金を支払っていました…』

  外に出る二人

亀山『相当怪しいっすね』

右京『そうっすね~』

そこに現れた伊丹ら

伊丹『こら!また余計な真似をしてんじゃねーよ』

芹沢『目撃者の話教えてくれないなんてひどいじゃないですか~』

亀山『なんでそんなこと知ってんだよ!』

三浦『あの神戸ってのが何やら調べまわってたから聞きだしたんだよ』

亀山『また余計なことを・・・』

伊丹『それはお前らだろーが』

  特命にて

亀山『右京さん、こうは考えられませんか?浜崎來未は何らかの理由で栗原加奈を死なせてしまった。そしてそこから逃げるところを大山さんに目撃されたと思って彼を襲った』

右京『しかし大山さんを襲ったのは男性でしたね』

亀山『そうっか、じゃあマネージャーが大山さんを襲ったってのはどうです?』

右京『仮にそうだとしても、大山さんを襲う理由はありませんよ』

亀山『でも見られていたら…』

神戸『大山さん本人から接触がない限りそんなリスクは冒さないと思いますよ』

右京『ええ、確かにそうです。あくまで現場周辺での目撃証言であって殺害の証拠にはなりませんから』


  鑑識にて

米沢『被害者の衣服と爪の先から赤い絵の具の成分が検出されました、捜査一課の調べではその絵の具は本人が数日前に購入したようです』

亀山『赤い絵の具?』

右京『それにしても赤だけというのが引っ掛かりますね~栗原さんの自宅に絵画の類はありませんでしたね』

米沢『ええ、絵を描くためとは到底思えませんな、もう一つ、凶器に使われた包丁はやはりあの家にあったものでした。台所にあった一と思われる一本がないので間違いありませんな』

神戸『じゃあ、犯人に計画性はなかったということですか』

右京『そうとも言えません、凶器から購入者を特定されるのを恐れたとも考えられますよ』

亀山『でも凶器はそのままにして、指紋はきれいにふき取っているなんて妙ですよね』

右京『あるいは凶器を使用した者と、後始末をした者が違うかもしれませんね~』

神戸『それはちょっと飛躍しすぎてませんか?』

右京『僕はあくまで可能性を述べているだけですから』

神戸『なるほど、捜査の基本はあらゆる可能性を探るですか』

亀山『いずれにしてもただの殺しじゃなさそうですね』


  刑事部長室にて

内村『浜崎來未が容疑者というのは間違いないのか?』

伊丹『いまのところ重要参考人程度ですが、目撃証言や害者との関係から言って話を聞く必要はあると思います』

内村『方法にはくれぐれも気をつけろ、以前女優の小峰夕月への捜査でお前らが失態を演じたのは忘れてないだろうな』

芹沢『…』

中園『くれぐれも慎重に頼むぞ!』

伊丹・三浦『はい』


  某音楽事務所にて浜崎來未を事情聴取する捜査一課

伊丹『事件のあった29日から30日にかけてどちらにいらっしゃいました?』

浜崎『…』

芹沢『関係者全員にお聞きしてますから教えてもらえませんか』

マネージャーの宝来『弁護士を呼ぼうか』

浜崎『いえ、話します。私が殺しました…』

芹沢『え??』

伊丹『どういうことですか??』

宝来『何を言ってるんだ!!』

浜崎『もういいんです…私です…ほとんど覚えてませんが私がやったんだと思います』

三浦『では、詳しい事は署のほうでお伺いしますよ』

伊丹『絶対にマスコミにばれるなよ、決定的な証拠が出るまでな』

芹沢『はい』

  特命にて

亀山『大変です!右京さん!浜崎來未が出頭してきました…』

右京『はい~?』

神戸『殺害を自供したんですか??』

亀山『詳しくは解りませんが認めたそうです…』

右京『行きますよ』

  取り調べ室にて

伊丹『では改めて伺いますよ、何があったか詳しく教えてください』

浜崎『あの日は彼女に呼び出されたので10時頃にあの部屋に行きました。気がついたときには彼女は血だらけになって死んでいました…』

伊丹『は?それだけ??他には』

浜崎『本当に覚えていないんです…部屋に入ってから何があったのか…でも私が血だらけになっていたんで私が殺したんだと思います。そのあとマネージャーに連絡とって来てもらいました』

三浦『あのマネージャーがすべてを処理したんだな。しかし参ったな…何も覚えてないとなると』

  そこに右京が入ってくる

右京『30秒だけ』

伊丹『またか』

右京『家に来たのが10時頃でしたね、では気がついた時というのは何時だったのでしょう?』

浜崎『確か…0時前だったと思います』

右京『ということはあなたはあの部屋で2時間近くいたことになりますが、その間は何をなさっていましたか?』

浜崎『わかりません…もう呆然としてしまって』

右京『なぜ殺したとお思いになられましたか』

浜崎『目の前で死んでいたんですよ…あの場には私しかいなかったし』

伊丹『そろそろ30秒ですが』

右京『よくわかりました。失礼します』

  外に出る右京

神戸『どうでした?』

右京『気になります。衝動的に殺害に至ったとしてもあそこまで記憶を失うというのは考えにくいと思いますよ』

亀山『とんでもない体験で記憶をなくしたんじゃないっすかね』

神戸『もしくは心神喪失を狙ってるとかですかね』

右京『仮にそうだとしても赤い絵の具についても説明が付きません』

亀山『でも、どう調べるんです?』

右京『栗原さんが赤い絵の具を買った経緯を調べてみましょう』

  ダンサー仲間の一人、中田葉子に会いにきた特命係

中田『ああ~絵の具のことなら、なんか面白いことやるからって言ってたわ』

亀山『面白い事?』

中田『ええ、エイプリルフールにはまだ早いけどとも言ってたわね』

右京『誰かを騙すために用意したというわけですか』

中田『どうかしら、あの子そんなこと一度もやったことなかったけど…』

  外に出る特命係

右京『亀山君、ひとつお願いがあります。美和子さんにも協力してもらい浜崎來未に関する記事をすべて集めてください』

亀山『わかりました。雑誌とかスポーツ紙とか片っ端から調べてみます』

右京『神戸君、君にも調べてみらいたいことがあります』


  特命にて

亀山『一つ気になる記事がありましたよ!5年前の記事なんすけど大麻パーティーに参加してた噂があったようです』

右京『その記事を書いた記者にお会いできますか?』

美和子『頼んでみます』

神戸『栗原加奈の口座に不審な点があったので調べてみたところ事務所から多額の現金が振り込まれていました』

右京『なるほど、やはりそうでしたか』

  しばらくして 、所属事務所にて

社長の柳本『なんだね、君たちは』

右京『犯人の特定と事件解決のご報告に参りました』

柳本『くだらん!浜崎來未が犯人だというのか?バカバカしい』

亀山『いえ、そうじゃありませんよ。浜崎さんは言ってみれば被害者ですから、真犯人が別にいました』

柳本『誰なんだ一体!?』

右京『その前に、今回の事件に至った経緯を説明いただけませんか?』

柳本『そんなこと私は知らん』

亀山『5年前のこの記事、当然ご存知ですよね~まあよくあるゴシップ記事としか世間には認識されてないようですけど』

柳本『そんなものがなんだ』

右京『この事件の発端はここにあったんですよ。あなたの力で騒ぎには至らなかったもののこの記事は紛れもない事実です。そしてこのネタを提供したのが栗原加奈さんだったんですから』

柳本『…』

事務所の社員高橋『なんでそのことを?』

亀山『記事を書いた植田さんに直接伺ってきましたからね、ところがある日を境に彼女は証言を翻して勘違いだったと言ってきたそうですよ』

右京『その日からでしょうね~事務所から彼女へ多額の現金が振り込まれるようになったのは』

柳本『だったら何だというんだ、私はタレントを守るのも仕事なんだから当然だ。もっとも本人は知らずに参加してただけで大麻などには手を出しておらんよ』

右京『そしてあなたたちは栗原さんと浜崎さんを近づけないようにしましたね』

亀山『高校時代からの親友のはずの浜崎來未の携帯番号が登録されてないので調べてみたら、彼女は浜崎來未とは直接は一切連絡を取ってなかった、すべては高橋さんかマネージャーの宝来さんが間に入っていたんですよね』

柳本『当然だろ、脅してくるような女を近づけるわけがない』

右京『ところが、それが事件のきっかけになってしまいましたね』

続く~

真犯人は一体誰か・・・

 
神戸君初登場篇

 
  4月1日 午後9時。

  会社員の大山孝雄(56)は帰宅するため道を歩いていた。すると、何者かに襲われ、頭を強く殴れた。 そこに、花の里からの帰り道の特命係の二人が通りかかった

亀山『あいつら何やってんすかね』

右京『ただごとではなさそうですね』

亀山『ちょっとあんた!なにやってんの』

  その声に焦った犯人は逃げるように去って行った

右京『大丈夫ですか?亀山くん!すぐに救急に連絡をお願いします!』

亀山『わ、わかりました!』

右京『どうやら物取りの犯行ではないようですね~』

亀山『え?』

  ~オープニング画面~

  
  大山孝雄はすぐに救急車で病院に搬送された

担当医の大林『幸い命に別状はありません、一時的な脳震盪ですね。MR検査の結果待ちですがまず問題ないと思います』

亀山『そりゃよかった、事情聴取は出来ます?』

大林『ええ、あまり長い時間でなければ』

亀山『ところで右京さん、なんで物取りの犯行じゃないんです?』

右京『ひったくりや強盗の類ならばまずは現金目当てですよね~しかし彼の財布は無事でした』

亀山『それは俺達が来たから慌てて逃げたからとかじゃないんすかね』

右京『僕の見たところ彼は二度殴られていました。後ろから一発、さらに前からも一発。そんなことをする前に目の前の財布を持って逃げるのが普通ですからね~』

亀山『わざわざ何度も殴る必要はないですね、じゃあ怨恨ですかね』

右京『それはまだ何とも』

  病室に入る二人

亀山『失礼します、気分はどうですか?』

大山『いいとは言えませんね。まさか私がオヤジ狩りに合うとは思いませんでしたよ』

亀山『それがそうでもないんですよ』

大山『どういうことです?あれ?財布がここにあるってことは盗られてなかったのか…』

右京『ええ、他に何か盗まれたものはありませんか?』

大山『ええ、特には。いや、携帯電話がありません!』

亀山『え?』

大山『いや、今日は会社に忘れて来たんでした、他には別に盗まれるようなものもありませんでしたから』

右京『では、事件にあう心当たりはありませんか』

大山『わかりません。こっちが聞きたいくらいですよ』

  次の日、特命にて


亀山『結局、なんで殴られたりしたんすかね、これが刑事ドラマとかなら大山が何かの目撃者で誰かが口封じのために殺害を狙ったか、もしくは警告のために殴ったとかですよね』

角田『そんなのドラマの中だけだろ~』

亀山『でも、絶対ないとは言えないっすよね~右京さん』

右京『仮にそうだとしたならば、大山さんは事件後に我々にそのことを話しているはずですよ』

亀山『そっか、俺達がいなかったら殺されてたかもしれない状況ですもんね』

角田『もっとよくある話で、昔の女の犯行とか、奥さんが誰かを雇って保険金目当てに殺そうとしたとかはどうだ?』

亀山『課長~もっと真剣に考えてくださいよ』

角田『こっとの方がリアルだろ?』

右京『残念ながら大山さんの奥さんは5年前に亡くなっていますので保険金目当ての犯行はありません。さらに帰宅時間、帰宅ルートを調べてからの犯行でしょうから衝動的な犯行とも考えにくい』

神戸『失礼します!特命係はこちらですよね?』

右京『ええ、あなたは神戸君ですね?』

亀山『誰なんです?』

神戸『申し遅れました、インターポールから研修に参りました神戸尊です。警視庁での配属先は捜査一課と聞いていましたが、刑事部長のたっての希望で特命係にお世話になることになりました。よろしくお願いします。一応、階級は警部補ですので』

右京『そうでしたか。杉下です。先ほど刑事部長から書類をいただきました、机はあちらを使って下さい』

  小声で話す角田と亀山

角田『どうやらたらい回しにされたみたいだな』

亀山『なんだってうちなんすかね?』

角田『そりゃ一課も痛くもない腹を探られたくないだろ、いや正確には腹の内を見せたくないんだろう』

亀山『なるほどね』

神戸『お噂はかねがね。とても優秀な部署なようですね』

亀山『亀山です。階級は巡査部長なんであなたの部下になりますね』

神戸『よろしくお願いします』

  その頃、刑事部長室にて

中園『神戸は特命係でよろしいのですか?』

内村『ああ、警察庁からの依頼で仕方なく受け入れたが捜査一課には必要ない人物だからな。うちにはうちのやり方がある』

中園『しかし噂ではかなり優秀だとか。そんな人物が加わりさらに手柄を立てるなんてことになりませんか』

内村『そのときは今まで通りすべての手柄は捜査一課だから問題ない』

中園『なるほど、実にすばらしいお考えです』

  その頃、官房長室にて

携帯で話す小野田『あっそう、やはり彼を特命にやりましたか。すべてこちらの予想どおりだね』

  特命係に第4の男が出現。

  特命係にて

神戸『さっそくですが特命係というのは主にどういった仕事をなさっているのでしょうか』

亀山『特に決まった仕事はありませんよ』

右京『命じられればなんでもするのが特命係ですから』

角田『まあ命じられてないこともよくやってるけどな』

神戸『では、今はどういった事件を?』

亀山『今のところただの殴打事件ですかね?右京さん』

右京『ええ、そんなところです』

神戸『そうですか、では僕は何をしたらよろしいでしょうか』

右京『とりあえず、今君に出来ることはありませんから大人しくしていてください』

神戸『はい・・・』

  外に出る右京と亀山

亀山『いいんですか?新任早々放っておいて』

右京『僕らの捜査では研修の対象にはならないと思いますよ』

亀山『まあ、そうっすけど』

  大山の病室にて

大山『あっ刑事さん、どうなりましたか?』

亀山『残念ながら目撃者はいなかったんで犯人は見つかってないんですよ』

右京『ところで、何か思い出したことはありませんか?』

大山『今思い出してみると殴られた後犯人は何かを探していたようでした』

亀山『え?でも財布は地面に落ちてたんすよね』

右京『やはり目的は別にあったのでしょうかね~心当たりはありませんか?』

大山『さあ、この間も言ったように金目のものなんて持ってませんし』

右京『携帯電話はどうでしょう、確かあの日は会社に忘れてきていたのですよね』

大山『ええ、でもいくら新しい携帯だからってこんな携帯欲しがります?』

亀山『なにか思い出しませんか?例えば何かを見たとか、誰かの秘密を握ってるとか』

大山『さあ…身に覚えがないです』

右京『その携帯電話を拝見させてもらえませんか?』

大山『ええ、そういえばずっと電源切ったままでした。じゃあ屋上で電源入れてみます』

  屋上にて

大山『言われてみると、ここ数日は携帯を買ったばっかりだったんでいろんな写真を撮りました』

右京『そのようですね~』

亀山『何か写ってませんか?』

右京『これは、自動車事故の現場のようですが』

大山『ああ、3日前に偶然事故に遭遇して撮ったものですよ』

亀山『場所はどこなんです?』

大山『あれは、取引先から戻るとこだったんで品川駅の近くでした』

  管轄の警官とともに事故現場にやってきた特命の二人

警官『この角で事故は起きました。両方向から車がスピードを出して走行していたため避けきれなかったようです』

亀山『それで怪我人は出たんすか?』

警官『いえ、どちらの運転手も軽傷でしたね、同乗者もいなかったのでそれほど大きな事故ではありませんよ』

右京『この写真とも状況は一致しますね』

亀山『特に不審な点もなさそうですね、一応事故を起こした人に会ってみます?』

右京『ええ』

  事故を起こした一人である菅山かおり宅にて

亀山『事故のこともう一度教えてもらえませんか』

菅山『あれは向こうが悪いんです、保険会社通しの話し合いでももう決着が付いてますよ』

右京『いえ、事故そのものはあなたのおっしゃる通りだと思います、ですがその時何か変わったことありませんでしたか?』

菅山『そんな余裕なかったわよ』


  もう一人の木村芳江宅にて

木村『警察がまだ何か?』

右京『いえ、今日は事故とは別件です。事故のとき何かお気づきになった点はありませんでしたか』

木村『別に…特に何も』

亀山『誰かを見たとか、なんか事件が起こってたとかないですかね?』

木村『誰かって言われても…そういえば浜崎來未によく似た人ならそこで見たけど…まあ関係ないわよね』

亀山『まあ、関係ないだろうね…』

右京『浜崎來未さんというのは?』

亀山『え?日本を代表する歌手ですよ~』

右京『そうでしたか、何分そういう方面には疎いものですから』

  外に出る二人

亀山『結局、なんの収穫もなかったですね』

右京『いえ、そうとも言えませんよ。犯人の狙いが携帯電話だとしたら、本人の自覚がないということは必ず写真の中に何か写っているはずです、事故現場以外にも写真を分析してみましょう』

  その時、右京に電話が入る

右京『はい、杉下です。神戸君ですか、おそらく角田課長に番号を聞いたのでしょうね~』

神戸『ええ、おっしゃる通りです、実は品川である女性の刺殺体が見つかったようです。もしかしたらそちらの事件と関係あるかもしれないと思いましてね』

右京『何故僕らが品川にいるとわかったのでしょう?』

神戸『警部が使っているGPS携帯ですよ、そちらの現在地が事件現場の近くなんですよ』

右京『なるほど、もしやその被害者は浜崎來未さんの関係者ではないですか?』

神戸『え?確かにそうです!被害者は彼女のバックダンサーです』

亀山『思わぬところでつながりましたね』

右京『ええ…』

神戸の独り言『噂以上に鋭い人だ…もう事件を結び付けるとは』

  その頃、現場に向かう右京と亀山

亀山『どうしたんすか?右京さん』

右京『神戸君はどういった人物なのですかね~』

亀山『さあ、でも何か訳ありっぽいですよね』

右京『とにかく現場に急ぎましょう、運が良ければまだ遺体も残されているかもしれません』

亀山『了解!』

  続く~


  中野の自宅にて

右京『先日お会いした杉下です』

そこにいる男は新宿駅で亀山と安藤めぐみを見たと証言した男だった。似顔絵作成の際には高橋と名乗っていたのだが偽名だった。

中野『なんですか刑事さん…』

右京『昨夜、新宿公園で伊藤という人が何者かに殺害されました。その人の携帯電話の最後の発信履歴があなたの携帯電話でした。事件について何かご存じありませんか?』

中野『さあ…間違い電話じゃないですか?僕はそんな人知りませんよ』

右京『しかし通話時間は約1分です。間違い電話にしては不自然だと思いますがね~』

中野『…とにかくそんなホームレスのことなんか知りませんよ』

右京『妙ですね~なぜホームレスの男性だとご存じなのですか?』

中野『あっ…』

右京『あなたが目撃証言したときから引っかかっていました。ルポライターのあなたが夜の新宿駅で何をしていたのか、さらに次の日の聞き込みの際にも新宿にいた。そこで考えてみました。あなたは誰かに新宿駅を監視するように頼んだのではないか、そしてその人物からの連絡を受けて再び駅にやってきたのではないかと』

中野『なんで俺がそんなこと』

右京『おそらくあなたの目的は安藤めぐみさんだった。違いますか?』

中野『…』

右京『亀山君は安藤さんと会う前に何者かに拉致されたのだと思います。駅の防犯カメラには駅前で待っている亀山君の姿しか確認できなかったのでそれは間違いないでしょう。そしてあなたは亀山君が刑事であること、安藤さんの知り合いであることも知っていたのでしょう。そしてあなたは亀山君が拉致される瞬間を目撃してしまったのではないですかね~』

中野『なんでそんなことわかるんですか…』

右京『あなたは女性の顔を追いかけて鮮明に覚えていました、にもかかわらず離れたところで男たちと車に乗り込むシーンを見るというのは不自然です。どちらの存在も知っていなければ出来ませんよ。そしてあなたは警察に協力するフリをして、警察に安藤さんを発見させようとしたのではないでしょうか』

中野『確かにその通りです。その亀山という刑事が男たちに車に連れ込まれる所を見ました、安藤めぐみも連絡が取れなくなっていたので拉致されたのだとすぐにわかりましたよ。なんとかしてあいつらより早く安藤めぐみを探しださないといけない、そう思って…』

右京『あいつらというのは安藤さんのお店の常連客である政府関係者ですね』

中野『ええ…民自党の村主厚生労働大臣とその秘書の本田です。あいつらの闇献金の証拠を安藤めぐみは握っていたんです…それがどんなものかは分かりませんが間違いなくあいつらが破滅するようなものだと思いますよ、現にこうして彼女は狙われているんですから』

右京『なるほど、しかしあなたは伊藤さんを殺害していますね』

中野『俺は誰も殺しちゃいない…』

右京『いいえ、凶器となった石から検出された指紋や現場に落ちていた髪の毛、足跡痕などあらゆる証拠がすでに集められています。調べればすぐにわかるんですよ』

中野『…殺すつもりなんてなかったんだ』

右京『確かに計画性の感じられない短絡的な犯行だったのでしょう、しかし人の命を奪ったことには変わりありません。しかし一つ分かりません、殺害に至る動機はなんだったのでしょう』

中野『あの伊藤という男…ただのホームレスだと思って見張り役を頼んだのに…彼は元記者だったそうです…なのにさっきの話をしてしまい金を払わなければ雑誌社にネタをばらすと言ってきたのでカっとなってつい…』

右京『そうなる前に立ち止まって考えられませんでしたか、知ってのとおり殺人罪はあなたが特ダネを狙っていた政治資金規正法違反よりもはるかに罪が重いということを』

中野『…』

  特命にて

角田『それで亀山はどこ行ったんだよ?』

右京『村主議員の周辺で人目につかず、人の出入りが制限される場所です』

芹沢『別荘、地下室…あとは』

右京『今は考えている時間的余裕がありませんので、直接本人に聞きましょう』

伊丹『素直に言うわけないでしょうが!』

三浦『そうだな、相手は大臣だ。罪を認めるわけありませんよ』

米沢『不逮捕特権もありますからな』

右京『一つ方法があります』

  村主議員の自宅にて

  電話が鳴り、大臣自ら電話に出る


村主『はい、村主ですが』

相手『先日はどうも、俺はあなたの命令で拉致されて監禁された者ですよ、なんとか脱出できたんですけどね』

村主『何をばかなこと言っているんだ』

相手『このまま警察に行ってもいいんだけどそれじゃ一銭にもならないでしょ、いくらか都合付けてもらえませんかね~』

村主『いい加減にしたまえ!』電話を切る

  特命にて

  その電話の相手は声を変えていた角田課長だった


角田『こんなんでいいのか?あれで信用したのかね?』

右京『心にやましいことがあれば必ず動きますよ』

  2時間後

  神奈川県にある村主の別荘にて

  秘書の本田が部屋の中に入っていき、地下室へ入る


本田『バカな…どうやって出たんだ…』

右京『本田さん、亀山君と安藤さんなら先ほど病院に到着しました。二人ともかなり衰弱していましたが幸い意識もありましたよ』

本田『罠だったのか…しかしどうやって』

右京『あなたぐらいの人なら気付きそうな初歩的なものですがね~おそらくあなたに議員から連絡がいくと思いあなたをマークしていました。そしてあなたの車のルートからこの場所だとおおよその推測をつけ、県警や別荘の管理人さんに協力を願いすべての別荘を調べさせていただきました』

本田『もう終わりだな、遅かれ早かれこうなる予感はあったんだ』

右京『そうでしょうね~だからこそ亀山君たちを監禁するにとどめ殺害することをためらったのですね。なかなか賢い選択です。しかしそれでもあなたは拉致監禁の実行も加わりますので長い刑期になると思いますよ』

本田『これでやっとあのわがまま大臣からも解放される…いまはそっちの方が正直ほっとしてますよ』

  特命にて

角田『いや~お見事。村主も近々逮捕されるだろうし、亀ちゃんも無事だったしよかったよかった』

右京『今回は我々にツキがありました、本田が水だけは置いておいたので亀山君たちは救われましたからね~』
角田『しかも安藤めぐみが握っていたっていう闇献金の証拠も地検に採用されたようだな』

右京『そのようですね~』

  警察病院にて

亀山『右京さん、ありがとうございました。おれ今でも生きてるのが不思議なくらいなんです、急に何か嗅がされて何もわからずに地下室に閉じ込められて…』

美和子『右京さんいなかったら完全に死んでたね、一生感謝しなさいよ~』

亀山『そうだな…神様、仏様、右京様~ありがとうございます!』

右京『はい~?』

たまきさん『でも、なんで一人で相談に乗ろうとしたんですか?亀山さん』

亀山『俺、この話聞いたときすぐに右京さんを頼ろうとしたんです。でも、それじゃいけないなと思って今回は一人でやろうと思ったんすよ』

美和子『結果はこのざまだけどね』

亀山『面目ない、やはり右京さんにはかないませんよ』

右京『なによりこうして無事でいられる君の体力には僕はかないませんよ』

亀山『それじゃ俺が体力バカみたいじゃないですか~』

右京『そんなつもりはありませんよ』

美和子『でも、薫ちゃんにはピッタリな言葉ね、体力バカ』

亀山『なんだと!』


終わり~


  右京は駅の防犯カメラを確認しに駅事務所にきた

駅員『駅の外なのであまり鮮明には写っていないと思いますよ』

右京『それでも結構です、拝見させてください』

駅員『昨夜の9時すぎから12時までの映像はこれですね』

右京『どうもありがとう』

  映像を確認する右京

右京の独り言『…どこへ行ったんですかね~』

  特命にて

米沢『似顔絵が完成しました、この女性ですな』

右京『どうですか?』

美和子『わかりません…この人が薫ちゃんの失踪に絡んでるんですか?』

右京『いまのところはまだわかりません、しかし何らかの形でかかわっているのは確かなようです』

米沢『私の女房がいなくなった時もこんな感じでした…いや、これは失敬、亀山さんに限ってそんなことはありませんね』

美和子『薫ちゃん…』

右京『美和子さんが知らないということは、彼が美和子さんと知り合う前の知り合いという可能性が高いですね』

角田『じゃあ、探しようがないじゃないか』

右京『美和子さん、亀山君は最近どこかに行きませんでしたか?』

美和子『私も最近忙しくて帰るのが夜中だったので薫ちゃんが何処行ってたかまでは…』

右京『何か手掛かりがあるかもしれません、部屋を調べてみましょうか』

  亀山の家にて

美和子『散らかっていてすいません』

右京『おや?ホテルのパンフレットですね、美和子さんのものですか?』

美和子『いえ、知りません』

右京『どうやら亀山君が最近使ったようですね、クリーニングから戻ってきたスーツもありますから』

美和子『どういうことなんです?』

右京『彼は品川グランドホテルに行っていたようです、机の上にあるコンビニのレシートから2月18日だったということも推測できます』

美和子『でもなんで?』

右京『彼がホテルに行くということは結婚式、もしくは…同窓会の類ではないでしょうか』


  翌日  品川グランドホテルにて

支配人『2月18日に同窓会が行われたのは明訓高校ですね』

右京『主催者というか幹事の方の連絡先はわかりますか?』

支配人『少々お待ちください』

  幹事の浅田良治という男に会いにきた右京

右京『警視庁特命係の杉下と申します、先ほどお電話した件ですがこちらの女性に見覚えありませんか?』

浅田『よく似てるな~安藤にそっくりです』

右京『安藤さんとおっしゃるのですか』

浅田『ええ、俺達の同級生なんですけど、かなりの美人になってたんで同窓会では驚いたんですよ』

右京『ということは安藤さんも会には出席していたのですか』

浅田『ええ、今回は東京近郊にいるメンバーだけの集まりだったんです』

右京『そうでしたか、ちなみに安藤さんのお名前は』

浅田『安藤めぐみです、年は俺らと同じで37』

右京『同窓会ではどんな様子だったか覚えていませんか?』

浅田『さあ、そういえば安藤は亀山が来るのを待ってたみたいですよ』

右京『ということは亀山君に何か話があったか、もしくは彼が刑事と知って助けを求めようとしていたとも考えられますね』

浅田『どういうことです?安藤や亀山に何かあったんですか?』

右京『申し訳ない、まだお話しするわけにはいかないんですよ、大変参考になりました、失礼します』

  外に出て携帯電話連絡をとる右京

右京『米沢さんですか?一つ、いえ二つお願いがあります』

米沢『了解しました、それと関係あるかどうか分かりませんが新宿公園でホームレスの死体が見つかったそうです、今から現場に向かいますので後ほど』

右京『すぐに向かいます』

  現場にて

伊丹『害者は?』

芹沢『名前は伊藤三郎(58)、この公園で暮らしていたようです、気になることに遺体の衣服から携帯電話が出て来たんです』

伊丹『携帯?なんでホームレスが携帯なんてもってんだよ』

芹沢『さあ…どっかで拾ったんじゃないっすか?』

右京『その携帯電話、少し拝見させてもらえませんか?』

伊丹『警部殿~亀山は見つかったんですか?』

右京『鋭意捜査中です』

伊丹『いいんですかね~?こんな時によその事件に首突っ込んで』

右京『ご心配なく、すぐに立ち去りますよ』

芹沢『先輩なりに心配してんすよ』

伊丹『うるせーよ、誰が心配するか!どっかで事件に巻き込まれるような馬鹿をよ』

右京『至急持ち主に連絡を取っていつ無くしたのか確認してください、それと最後の発信番号に覚えがあるかもお願いします』

伊丹『あなたに指図は受けませんよ、芹沢、すぐに確認だ!』

米沢『この遺体はどうやら後ろから石で殴られ即死のようです、凶器はおそらくあの石でしょうな』

右京『なるほど、少しずつですが見えてきました』

芹沢『もう犯人わかったんですか?』

右京『あくまでも僕の推測ですが、調べてみる価値はありそうですよ』

  特命にて

芹沢『持ち主と連絡とって番号を聞きましたが、知らないそうです。で、念のため発信された番号を調べたところルポライターの中野俊夫という男でした』

右京『そうでしたか』

米沢『失礼します、お願いされた一つ目ですが、その中野俊夫という男はどうやら我々と一度面識があるようです』

右京『やはりそうでしたか』

米沢『ええ、二つ目の安藤めぐみについてですが、どうやら最近家には戻っていないようです。さらに政府関係者も出入りする六本木のクラブに勤めていたようですが先日突然辞めたそうです』

右京『安藤めぐみは何かを亀山君に相談しようとしたところ二人して突然姿を消した、そして中野という男の存在、とても気になりますね~』

角田『しかし亀山がいなくなってもう二日だろ?大丈夫なのかね?』

右京『監禁され飲まず食わずならばもはや限界です、仮に水だけあったとしても非常に厳しい状況に変わりありません…とにかく急ぎましょう』

  続く~