品川の事件現場に到着した右京と亀山
米沢『お待ちしておりました、残念ながら遺体は先ほど搬送されてしまいましたが』
右京『そうですか、ところでこの現場を見る限りそれほど出血していないようですが?』
米沢『おっしゃる通りです、凶器がそのままの状態であったためさほど現場に残された血痕は多くありません』
亀山『それで、凶器はなんなんです?』
米沢『一般的な刃渡り20センチの包丁です、おそらくこの家の台所にあったものでしょう』
伊丹『こるぁ~!特命係の亀』
亀山『って山を省くなよ!』
芹沢『また呼んでもないのに来たんですか?ついさっきもう一人の特命の人も来ましたよ』
亀山『神戸さんが?』
三浦『なにやら現場周辺をうろうろしてたから職質かけたんだけどな、いったい誰なんだあの刑事は?』
亀山『訳ありで俺達のとこで研修やってんだよ、そんで今神戸さんは?』
芹沢『なんか死体が運び出された時になって気分が悪くなったって帰りましたよ』
伊丹『ったく刑事のくせに死体にびくついてるようじゃダメだな…さすが特命係だ』
右京『被害者の身元は?』
芹沢『名前は栗原加奈(24)歌手の浜崎來未のバックダンサーをやっていたそうです』
伊丹『余計なことしゃべらなくていいんだよ!こら』
芹沢『聞かれたから答えただけっすよ~』
右京『やっていたということは今は辞めてしまったのですね?』
芹沢『ええ、関係者の話によると半年ほど前に突然辞めたそうです』
右京『しかし、疑問がひとつ』
亀山『なんで浜崎來未が現場で目撃されたかですね?』
右京『もちろんそれもありますが、半年間彼女はどこから収入を得ていたのでしょうね~これほどのマンションに今でも住んでいるということは必ずどこからか収入を得ていたと思いますよ』
芹沢『…』
伊丹『おい、さっさと調べろ』
芹沢『はい!』
外に出る右京と亀山
亀山『やはり大山さんの携帯電話が気になりますよね?』
右京『ええ、米沢さんに解析してもらいましょう』
鑑識にて
亀山『大山さんから携帯電話借りてきました』
米沢『ではさっそく調べてみましょう』
右京『事故現場の撮影の前後からお願いします』
米沢『承知しました』
亀山『見たところ浜崎來未なんてどこにも写ってませんね』
米沢『他人の空似ということも考えられませんか?私もよく芸能人だと思って近づいたところ全く違う人で、逆に警戒されてしまったことがありますが』
亀山『それはいかにも怪しい格好だったんじゃないっすか?』
米沢『まあ、そういう見方もありますな』
右京『そこの画像をもう一度お願いします』
米沢『こちらですね、おや?ここを拡大してみます』
右京『車が写っていますね、ナンバーまで分かりますか?』
米沢『やってみます、ついでに所有者の特定もお任せください』
右京『恐縮です』
特命にて
神戸『二つの事件につながりがありましたか?』
右京『君は何故現場に行ったのですか?僕は君に大人しくしていてくださいと言ったはずですよ』
神戸『いえ、何かのお役にたてたらなあと思っただけですけど』
右京『とにかく余計な真似はしないでください』
亀山『どうしたんです?右京さん?なんかいつも俺達が刑事部長や一課に言われてるセリフみたいじゃないっすか』
右京『全く違いますよ』
神戸『お言葉ですが僕が捜査を邪魔したわけではありませんよ』
右京『しかし、君は現場で職務質問をされたそうではないですか、そのことによって本来の捜査が妨害されたという可能性もあります』
神戸『それは…あの一課の刑事達がしつこいからで…』
亀山『でも、話によると警察手帳を持ってなかったんですよね?』
神戸『たまたまこの部屋に忘れたいただけで…』
右京『つまり、かなり捜査の邪魔になっていた可能性が高いと思いますよ』
神戸『…』
米沢『お取り込み中のところ失礼します、先ほどの結果が出ました』
亀山『で、誰の車だったんです?』
米沢『浜崎みそのの物でした、ちなみに浜崎來未の本名がみそのです』
亀山『じゃあ、やっぱり事故現場で目撃されたのは本人だった…』
米沢『そう思われます』
神戸『僕もあの後調べてみましたが浜崎來未と栗原加奈は高校時代からの親友でデビュー当時から栗原加奈はバックダンサーをしていたそうです』
右京『君は聞き込みにも行ったのですか?』
神戸『ええ…』
亀山『と、とにかく浜崎さんに話を聞きに行きましょうか、ね、右京さん』
右京『ええ』
神戸『では、僕はここで大人しくしていますよ、邪魔にならないように』
浜崎來未の事務所にて
社員の高橋寛『あいにく浜崎はスケジュールがいっぱいでして私がお答えします』
右京『では、栗原さんがお辞めになった理由はご存知ですか?』
高橋『いえ、突然のことでしたから。もちろん浜崎本人も知らなかったそうです』
亀山『二人の仲はどうだったんですかね?最近何かトラブルがあったとかありませんか?』
高橋『ないと思いますよ…詳しい事は分かりませんが』
亀山『実は事件の日に浜崎さんの車が現場のすぐ近くで目撃されているんですよ、それについて何か心当たりありませんか』
高橋『さあ…でも栗原とは辞めた日以来連絡が取れないって言ってましたから何かの間違いじゃないですかね?』
右京『栗原さんが亡くなったのが3月29日午後9時から11時にかけてと思われます。その浜崎さんのスケジュールを教えていただけませんか?』
高橋『でしたらマネージャーの宝来に確認してください、今なら都内のスタジオにいるはずですから』
某スタジオにて
マネージャーの宝来雅夫『車が目撃された?何かの間違いでしょう』
亀山『それが、そうでもないんですよ。何かご存じありませんか?喋っていただけないなら令状とって本人に聞くしかないんですが』
宝来『止めてください!いま大事なコンサートを控えてるんですから!』
亀山『だったら教えてくださいよ』
宝来『実は…呼び出されたんですよ。栗原に』
右京『浜崎さんがですね?これは僕の想像ですが金品を要求されていたのではありませんか?』
宝来『…ええ、内容は言えませんが彼女には相当のお金を支払っていました…』
外に出る二人
亀山『相当怪しいっすね』
右京『そうっすね~』
そこに現れた伊丹ら
伊丹『こら!また余計な真似をしてんじゃねーよ』
芹沢『目撃者の話教えてくれないなんてひどいじゃないですか~』
亀山『なんでそんなこと知ってんだよ!』
三浦『あの神戸ってのが何やら調べまわってたから聞きだしたんだよ』
亀山『また余計なことを・・・』
伊丹『それはお前らだろーが』
特命にて
亀山『右京さん、こうは考えられませんか?浜崎來未は何らかの理由で栗原加奈を死なせてしまった。そしてそこから逃げるところを大山さんに目撃されたと思って彼を襲った』
右京『しかし大山さんを襲ったのは男性でしたね』
亀山『そうっか、じゃあマネージャーが大山さんを襲ったってのはどうです?』
右京『仮にそうだとしても、大山さんを襲う理由はありませんよ』
亀山『でも見られていたら…』
神戸『大山さん本人から接触がない限りそんなリスクは冒さないと思いますよ』
右京『ええ、確かにそうです。あくまで現場周辺での目撃証言であって殺害の証拠にはなりませんから』
鑑識にて
米沢『被害者の衣服と爪の先から赤い絵の具の成分が検出されました、捜査一課の調べではその絵の具は本人が数日前に購入したようです』
亀山『赤い絵の具?』
右京『それにしても赤だけというのが引っ掛かりますね~栗原さんの自宅に絵画の類はありませんでしたね』
米沢『ええ、絵を描くためとは到底思えませんな、もう一つ、凶器に使われた包丁はやはりあの家にあったものでした。台所にあった一と思われる一本がないので間違いありませんな』
神戸『じゃあ、犯人に計画性はなかったということですか』
右京『そうとも言えません、凶器から購入者を特定されるのを恐れたとも考えられますよ』
亀山『でも凶器はそのままにして、指紋はきれいにふき取っているなんて妙ですよね』
右京『あるいは凶器を使用した者と、後始末をした者が違うかもしれませんね~』
神戸『それはちょっと飛躍しすぎてませんか?』
右京『僕はあくまで可能性を述べているだけですから』
神戸『なるほど、捜査の基本はあらゆる可能性を探るですか』
亀山『いずれにしてもただの殺しじゃなさそうですね』
刑事部長室にて
内村『浜崎來未が容疑者というのは間違いないのか?』
伊丹『いまのところ重要参考人程度ですが、目撃証言や害者との関係から言って話を聞く必要はあると思います』
内村『方法にはくれぐれも気をつけろ、以前女優の小峰夕月への捜査でお前らが失態を演じたのは忘れてないだろうな』
芹沢『…』
中園『くれぐれも慎重に頼むぞ!』
伊丹・三浦『はい』
某音楽事務所にて浜崎來未を事情聴取する捜査一課
伊丹『事件のあった29日から30日にかけてどちらにいらっしゃいました?』
浜崎『…』
芹沢『関係者全員にお聞きしてますから教えてもらえませんか』
マネージャーの宝来『弁護士を呼ぼうか』
浜崎『いえ、話します。私が殺しました…』
芹沢『え??』
伊丹『どういうことですか??』
宝来『何を言ってるんだ!!』
浜崎『もういいんです…私です…ほとんど覚えてませんが私がやったんだと思います』
三浦『では、詳しい事は署のほうでお伺いしますよ』
伊丹『絶対にマスコミにばれるなよ、決定的な証拠が出るまでな』
芹沢『はい』
特命にて
亀山『大変です!右京さん!浜崎來未が出頭してきました…』
右京『はい~?』
神戸『殺害を自供したんですか??』
亀山『詳しくは解りませんが認めたそうです…』
右京『行きますよ』
取り調べ室にて
伊丹『では改めて伺いますよ、何があったか詳しく教えてください』
浜崎『あの日は彼女に呼び出されたので10時頃にあの部屋に行きました。気がついたときには彼女は血だらけになって死んでいました…』
伊丹『は?それだけ??他には』
浜崎『本当に覚えていないんです…部屋に入ってから何があったのか…でも私が血だらけになっていたんで私が殺したんだと思います。そのあとマネージャーに連絡とって来てもらいました』
三浦『あのマネージャーがすべてを処理したんだな。しかし参ったな…何も覚えてないとなると』
そこに右京が入ってくる
右京『30秒だけ』
伊丹『またか』
右京『家に来たのが10時頃でしたね、では気がついた時というのは何時だったのでしょう?』
浜崎『確か…0時前だったと思います』
右京『ということはあなたはあの部屋で2時間近くいたことになりますが、その間は何をなさっていましたか?』
浜崎『わかりません…もう呆然としてしまって』
右京『なぜ殺したとお思いになられましたか』
浜崎『目の前で死んでいたんですよ…あの場には私しかいなかったし』
伊丹『そろそろ30秒ですが』
右京『よくわかりました。失礼します』
外に出る右京
神戸『どうでした?』
右京『気になります。衝動的に殺害に至ったとしてもあそこまで記憶を失うというのは考えにくいと思いますよ』
亀山『とんでもない体験で記憶をなくしたんじゃないっすかね』
神戸『もしくは心神喪失を狙ってるとかですかね』
右京『仮にそうだとしても赤い絵の具についても説明が付きません』
亀山『でも、どう調べるんです?』
右京『栗原さんが赤い絵の具を買った経緯を調べてみましょう』
ダンサー仲間の一人、中田葉子に会いにきた特命係
中田『ああ~絵の具のことなら、なんか面白いことやるからって言ってたわ』
亀山『面白い事?』
中田『ええ、エイプリルフールにはまだ早いけどとも言ってたわね』
右京『誰かを騙すために用意したというわけですか』
中田『どうかしら、あの子そんなこと一度もやったことなかったけど…』
外に出る特命係
右京『亀山君、ひとつお願いがあります。美和子さんにも協力してもらい浜崎來未に関する記事をすべて集めてください』
亀山『わかりました。雑誌とかスポーツ紙とか片っ端から調べてみます』
右京『神戸君、君にも調べてみらいたいことがあります』
特命にて
亀山『一つ気になる記事がありましたよ!5年前の記事なんすけど大麻パーティーに参加してた噂があったようです』
右京『その記事を書いた記者にお会いできますか?』
美和子『頼んでみます』
神戸『栗原加奈の口座に不審な点があったので調べてみたところ事務所から多額の現金が振り込まれていました』
右京『なるほど、やはりそうでしたか』
しばらくして 、所属事務所にて
社長の柳本『なんだね、君たちは』
右京『犯人の特定と事件解決のご報告に参りました』
柳本『くだらん!浜崎來未が犯人だというのか?バカバカしい』
亀山『いえ、そうじゃありませんよ。浜崎さんは言ってみれば被害者ですから、真犯人が別にいました』
柳本『誰なんだ一体!?』
右京『その前に、今回の事件に至った経緯を説明いただけませんか?』
柳本『そんなこと私は知らん』
亀山『5年前のこの記事、当然ご存知ですよね~まあよくあるゴシップ記事としか世間には認識されてないようですけど』
柳本『そんなものがなんだ』
右京『この事件の発端はここにあったんですよ。あなたの力で騒ぎには至らなかったもののこの記事は紛れもない事実です。そしてこのネタを提供したのが栗原加奈さんだったんですから』
柳本『…』
事務所の社員高橋『なんでそのことを?』
亀山『記事を書いた植田さんに直接伺ってきましたからね、ところがある日を境に彼女は証言を翻して勘違いだったと言ってきたそうですよ』
右京『その日からでしょうね~事務所から彼女へ多額の現金が振り込まれるようになったのは』
柳本『だったら何だというんだ、私はタレントを守るのも仕事なんだから当然だ。もっとも本人は知らずに参加してただけで大麻などには手を出しておらんよ』
右京『そしてあなたたちは栗原さんと浜崎さんを近づけないようにしましたね』
亀山『高校時代からの親友のはずの浜崎來未の携帯番号が登録されてないので調べてみたら、彼女は浜崎來未とは直接は一切連絡を取ってなかった、すべては高橋さんかマネージャーの宝来さんが間に入っていたんですよね』
柳本『当然だろ、脅してくるような女を近づけるわけがない』
右京『ところが、それが事件のきっかけになってしまいましたね』
続く~
真犯人は一体誰か・・・