杢出し | ヴァイオリン製作家 大久保 治のブログ

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自作弦楽器製作について、楽器、工房での仕事中心に書いています。

 

 スカランペラ モデルとメディチ モデルの2本同時にニス塗りに入りました。

まずは 杢出しを塗ります。 上は1回杢出しを塗った所です。 杢出しは メイプルの杢が際立つようにするのと 早く任意の濃さに到達するために塗りますが、 杢出し自体を全く塗らない製作者も多くいらっしゃいますので 必須ではありません。

 

 何かクリアなのどの コーテッドになるニスなどを塗る前に わずかに杢に染み込ませて杢を際立たせますので あまりこの杢出し自体濃い物を塗ってしまうと 取り返しがききません。 染み込んでしまうと このギラっと反転する杢が そのまま ただの 縞模様になって 全く反転せず 動きのない つまらない楽器になってしまいます。 この杢出しに塗っているのは 普通のシェラックニスで クリアーに少し茶色系の色を混ぜただけのニスです。

 

 

 表板(スプルース)には色の付いた物はまだ塗りません、同じ杢出しを塗ってしまうと むらむらのシミになってしまいます。

スカランペラモデルの表板にはハーゼが出ています。

 

 

 側板と 裏板、同じメイプル材で、杢出しを塗りましたが、 材料の違いで 側板の方が濃い感じになりました。

 

 

 1回では不十分なので 2回目を塗りました。 1回目で、コーティングされているので濃くしても染み込みません。

 

 

 メディチ モデル の方も少しハーゼが出ています。 軽く色の付いたアルコールニスをタンポ塗りで着けています。

この後はクリアーを少し塗ってから いよいよ 下地の黄色ニスに入ります。