日曜日朝からおでかけ
土曜日はボランティアで街のお掃除をしたKIKI、
夕方からは、お友だちアニーの誕生日パーティーで、またまたあの豪邸にお呼ばれ。
ずーっとマイクを離さず独り占めして、
鼻うたカラオケしたり、
MCを気取ったり。
自分のお誕生日でもないのに、アニーのバースデイケーキのキャンドルを
吹き消しちゃったり、と好き勝手放題。
ちやほやされて、調子にのりました。
日曜日はスペシャルオリンピックス、スイミングチームの練習会、
だけど、
この日は、めずらしくその前に朝からおでかけ。
パールハーバーに繰り出します。
アリゾナ記念館のゲートはくぐったけど、
向かったのは、その西側に隣接するミュージアムです。
おおきなアークを描くアーチの向うには、
太平洋艦隊潜水艦ミュージアム。
実は、何回かパールハーバーのヒストリックサイトを見に来たことがあったのに、
この一角はゲート前で、回れ右。
みたいー!って、KIKIは言わないし、
入場料も必要だから、いつもスキップです。
PACIFIC FLEET SUBMARINE MUSEUMのFacebookより
潜水艦ミュージアム、無料開放
そこに良いお知らせ。
なんでも潜水艦隊発足125年に因んで、
ミュージアム、それに潜水艦の乗船見学が、この日はタダ!
ホノルルの観光名所の一つ、
一度は見ておかなくちゃ、にもってこいの機会です。
この”カマアイナサンデイ”の特典、
見学と乗船の入場の時間枠は3回設けられていて、事前登録制。
KIKIファミリーと同じようなことを企んでいる家族はいっぱいいるらしく、
あっという間に枠は満員御礼です。
ひと気がなく、がらーんとしたミュージアム。
あまりに人が出入りしないので、
開いてるの?
不安なまま扉を押し開けると、
「どうぞー こちらから順にみてください」
お嬢さんが、促してくれた順路のサインををたどります。
潜水艦ミュージアムなので、
潜水艦の構造だの、使われていた機器だの、
およそ見ることのない展示は興味深いものです。
内部構造も良く分かる模型は圧巻。
実物に忠実に、精緻に作りこまれたスケールモデルで、
モデラ―の端くれの目線だから、そのすごさにぽかーん。
ちょっと複雑な気持ちになる展示内容
正直に言うと、
乗り物としての潜水艦の展示品には引き込まれた一方で、
多くの日本の船を葬った戦績の展示は、日本人にはちょっと辛い内容。
特に、沈めた日本の船舶の多くは商船で、軍艦の何倍もの民間の船が狙われました。
多くの疎開児童が犠牲になった貨物船”対馬丸”を撃沈したのが、
まさに係留されている展示潜水艦”USS Bowfin”。
ミュージアムではその事実もちゃんと展示されています。
アメリカの良心かな。
80年前のそんな歴史を抱いている潜水艦、
いまは穏やかなパールハーバーの水面にぷかぷか。
テーマパークのアトラクションの一つだよ、みたいな、
屈託のない様子をみせます。
潜水艦なんて、まず縁のない存在。
日本で見たことはないし、
というか、見に行ったことはないし、
アメリカでもミリタリーのミュージアムで数回、遠目に見たことがあるくらい。
任務からしても、
隠密行動に徹している潜水艦、
みんなから丸見えじゃ困るから、見慣れないもの当たり前です。
初めての潜水艦内ツアー
いよいよその潜水艦の内部に潜入。
下りの階段がからっきし苦手のKIKIは、
半分泣きべそ。
急なステップを、思いっきり腰を引いて、おばあちゃんにみたいに下ります。
目の前に現れたのは、
ぴっかぴかに磨き上げられた真鍮製の物体。
きれい、なんてノーテンキな印象だけど、
ブツは魚雷。
時空を超えて、この装填室はアクティブのままに見えます。
船には水密のために頑丈なハッチはつきものだけど、
潜水艦はそれぞれの区画のハッチは生命線。
ある区画を犠牲にしても、ほかの区画を守るために、
時に非情にこのハッチががちゃん、と閉じられます。
それにしても、
強度を保つためなのか、
ハッチの狭いこと。
KIKIったら、アタマを先に突き出しちゃったら、
こんどは足がハッチを越えられず、悪戦苦闘。
潜水艦乗りにはなれそうにありません。
潜水艦艦内はどこも独特
通路の両側には、
乗員たちのための居室が左右に続きます。
ベッド、というにはあまりに簡素な折りたたみ式のコットが蚕棚みたい。
「KIKI 上がいい下がいい
ママは、下がいいな」
なんて悠長なおしゃべりしている女子たち、
上でも下でも過酷な環境です。
それぞれのハッチの向うには、
ぜんぜん違う性格の区画。
指令室の主役は潜望鏡で、想像していたより武骨。
それにしても、その指令室でさえ、
数名が勤務するとしたら、ぎゅうぎゅう。
映画で見るような清々とした空間とはぜんぜん違います。
ここは操舵室?
かつて商船や航空機のナビゲーションシステムの会社で勤務していたから、
操舵室だの、操縦席だの、は見慣れているけど、
大きな水深計は、潜水艦独特。
潜水艦ならではの区画がバッテリー室。
巨大な容量のバッテリーが壁から足下から、にびっしり。
流れる電流も桁ハズレだから、
電原線路もケーブルではなく、銅地金のバスバー。
そう言えば、かつての局用電子交換機でもバスバーが活躍していたのを思い出しました。
機関室の様子もちょっと風変わり。
迫力ある舶用ディーゼルエンジンのかわりに、
音がなるべく出ない機器を使うのがお約束なので
厳めしいモーター。
想像が難しい艦内での心持
艦内は細かいジグゾーパズルみたいに
無駄なく、機能的に、限られた空間に、必要十分な装置がびっしり。
人間の生活空間はおまけ。
1ピース分だけ、絞り出した、っていう感じ。
まるまる一日閉じ込められたって、深い海中にいるというだけで
すごく苦しい閉塞感なのに、
まさかその上、命がけで何日も物音ひとつ立てずに息を潜めたり。
想像するだけで気が遠くなりそうな過酷さです。
たった数十分潜り込んでいた艦内、
どうにもこうにも狭く、
身動きもままならなくて、
だんだん息苦しくなってきたKIKIは、船尾に見えたタラップににっこり。
海上をわたる風が気持ち良いこと。
きっと潜水艦乗りたちの心持も一緒だったはずです。
大昔の潜水艦とは言え、
機能性の極致を追い、
それも部品ひとつまでぴかぴかで、
芸術作品みたい。
一たび、戦争の武器として牙をむけば、
恐怖の対象です。
あえてパールハーバー見学
”USS Bowfin”は、もうその出番はなく
ぷかぷかひねもす港に浮かんで、
みんなを感嘆させる役柄を演じ続けます。
幸せな余生を送る潜水艦です。
パールハーバーで見ておくべき戦争遺産の一つに来てみれば、感慨は色々。
予想していたこともあり、
意外だったこともあり、
です。
世界中からツーリストが訪れるこのミュージアムは、
日本人にとってだけはすごく特別で、
他の国のツーリストの感じ方と、たぶんぜんぜん違います。
太平洋艦隊が打倒を目指した相手は日本、で
それもアメリカ軍側からの目線での展示です。
パールハーバー来訪は、ちょっと気が引けます。
でも来てみれば、行きかうアメリカ人から非難の視線を受けた、なんて聞くことはありません。
KIKIにとっても、
ママとパパにとっても、やっぱり大切な社会学習の機会です。
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