雪国の冬は早い。
初めてのこの地での冬に、既に不安を覚える。
そんな事を彼に訴えたら、真夜中なのに私のアパートにやってきた。
私はどこかホッとしていた。ただ単に心細かった。
そしてまたいつものように、彼の愛撫に溺れる。
そこに溺れる事で、罪悪感とか自分の中の矛盾を払拭しようとしているかのようだ。
ずっと相手任せも悪いと思って、私も彼の体に唇を落とし、仕返しのように悪戯する。
彼が私の愛撫に反応する事で、悪戯心が癖になる。
でも実はそれは策略で。
相手からの仕返しで、自分が滅茶苦茶に快楽に溺れる事を期待している。
行為の最中、私は今までで一番素直になっているように思う。
要望も、どこが良いのかも、どこが嫌なのかも、全部。私は今まで素直に話さずに我慢するセックスをしていた。
何故、今は素直に話すのか、ふと考える。
そこで、一つの答えに行き着いた。
心で恋していないから、ではないかと。
嫌われるのが怖い、失いたくない……そんな気持ちがないから、何でも言えるのだ。
完全に体だけなのだろうか。
いっそ、その方が気が楽だ。
本気で恋できるから。
体の幸せと心の幸せなら、心の幸せが欲しい。