「四つの不」理論による敗因分析の例 | 営業は科学だ!  Welcome to the Science of Sales

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1年以上前に購買の阻害要因について「四つの不」の考えを紹介しました。
私の営業理論の根幹をなすものと言ってよいでしょう。
(参照:2014-02-02 「負けに不思議の負けなし」 なぜ買っていただけないかを考えよう

最近の話題をこの理論で敗因分析をしてみましょう。
前回にも書いた大阪都構想の住民投票での否決です。

「大阪都構想」というアイデアを市民のみなさんに買っていただけなかったということで分析をします。
以前に書いたように、買って頂けない阻害要因は大きく「四つの不」に分類されます。
すなわち、「不信」、「不要」、「不適」、「不急」です。

橋下市長や維新の会は二重行政の解消を主に訴えていました。
これは必要性を訴える、すなわち「不要」の解消にあたります。

しかし、その他の三つの不については十分な活動がなされていたのでしょうか。

まず「不信」です。これは信頼を得ることですが、事前の世論調査などでは反対の理由の一つに「橋下市長の政策だから」という意見が少なからずありました。これに対して橋下市長は「私が嫌いなら仕方がない」と開き直った発言をしていました。とても「不信」を解消する努力は見受けられませんでした。

次に「不適」ですが、自民党などの反対派はこの部分を攻撃していたように見受けました。
それに対して維新の会はまず都構想ありきといった主張を繰り返していて、「不適」という阻害要因を解消する説得はなかったように見受けられます。

最後に「不急」ですが、これは「なぜ今?」という疑問にこたえなくてはいけないのですが、これにも強い説得はありませんでした。

このように見ていくと都構想が受け入れられなかったのは必然であると私には映っていました。

もちろん「勝ちに不思議の勝ちあり」ということで、これでも勝てたかもしれませんが、「負けに不思議の負けなし」というとおり、負けても全くおかしくない状況だったと思います。

逆に自民党をはじめとする反対派も充分に自分たちの意見を市民に納得頂けたとは言えないでしょう。阻害要因を克服したとは言えません。
そういう点では感情的な非常にレベルの低い戦いだっとの印象を持ちました。
自民党も負けてもおかしくなかった状況です。「勝ちに不思議の勝ちあり」のとおり、ラッキーで勝てたと肝に銘じて謙虚に今後を進めるべきだと思います。
それにしてはその後の市議会や府議会で議長選出での主導権争いなど、どうも「不思議の勝ち」の自覚はないようです。

敗因分析はもちろん、勝っても「不思議の勝ち」の分析を行わないと今後の進歩はありません。
大阪の政治はまだまだ暗いのではないでしょうか。

そして最近のもう一つの話題は安保法制の問題です。
これに関する安倍首相の言動もいつ足元をすくわれるか分からない危うさを感じます。
政治家というのは自分の考えをおしつけるのではなく、考えを国民が納得してもらうことに力を注がなくてはならないのに、その阻害要因を省みることなく進めるのは如何なものでしょうか。