こんな風にロールプレイを行っています | 営業は科学だ!  Welcome to the Science of Sales

営業は科学だ!  Welcome to the Science of Sales

3K(勘、経験、気合)で語られる営業ではなく理論的に体系だった手法により、第一線のセールスのスキル向上とともに適切な部下の指導や業績管理を行い会社に貢献できる管理職、経営者の一助となる。

実際にどのようにロールプレイを行っているかをご紹介します。

まず目的ですが、お客様に色々と質問や相槌をすることによって、お客様のことを知ることです。
説明や話しが上手になるのが目的でしたら、スピーチやプレゼンテーションとして練習する方が効果的です。ロールプレイで行う必要はありません。

それではどういった情報を得るのかということですが、それは今までお話した阻害要因(四つの不)購買性向、そしてキーパーソンです。どういう段階にあるのかは自分でわかっていると思います。

お客様役と営業役に別れてロールプレイを行うわけですが、このお客様役が非常に重要です。
営業役には今どういう段階にあって、どこまで分かっているかの設定を伝えておきます。
お客様役はそれに加えて、阻害要因や購買性向やキーパーソンについての設定も伝えておきます。

たとえばこのような感じです。
XXXの商品をお客様のYYY課長に提案したが、その後特にご連絡が頂けない。これまでのYYY課長へのコンタクトでは気に入って頂けている様子であった。そこでこのYYY課長を訪問し、キーパーソンを把握し、できれば購買性向や阻害要因も把握する。
ここまでを営業役に設定として伝えます。その他商品の提案内容やお客様の会社については実情に合ったものを設定しておいてください。
もちろん全てを一度に把握できればベストですが、基本練習ですので少なくともキーパーソンだけは聞き出すこととします。
これに加えてお客様役には次のようなことも伝えておきます。
YYY課長はレコメンダーであって、デシジョンメーカーは上司の部長、ユーザーは自部門、インフルエンサーは経理課長。
YYY課長は気に入っており阻害要因はないが、部長は予算的に問題があり「不要」と思っている。しかし部長の購買性向は「金銭的価値」ではなく「信頼できるサプライヤー」。

このような設定でお客様役と営業役で話を進めます。最初の内はお客様役は管理職かベテラン営業が行うといいでしょう。しかし慣れてきたら若手、新人も含め皆が両方をこなせるようにしましょう。また行う時は二人以外にも同僚も見学するのが望ましいですね。
営業役は以前にお話ししたオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを上手く組み合わせて話を進めるように心がけてください。
お客様役は、あまり簡単に情報を出してはいけませんが、不自然なほど抵抗をしてもいけません。
これを10分程度行います。

終了後、営業役が把握した情報を発表します。
次に他の出席者(聴衆)も何が分かったかを発表します。
最後にお客様役からどのような設定だったかを明かします。

営業役や他の出席者が如何に設定を把握できていないかに最初は驚かされると思います。
どうすれば良かったかを5分から10分程皆で議論してください。
特に、お客様役から「こういう風に聞かれたら答えたのに」といった意見を出してもらいましょう。

この練習は営業役はもちろんですが、お客様役を演じることが非常に勉強になります。この練習を積み重ねることによって「相手の立場になって考える」訓練となるからです。「こういう風に聞かれたら答えたのに」と感じることが今後とても役にたちます。

これまでにも書いたことがありますが、多くの営業が合い見積もりを沢山取りたいお客様を上顧客と思い時間をかけて足元をすくわれます。(参照: 多くの営業が犯す間違いと愚痴
本人は自分の努力で見積もりまでこぎつけたと思いこみ、売れないのは商品が高い、会社が値引きをさせてくれないからだと愚痴を言います。このような営業には口を酸っぱくして注意しても、思い込みが強くてなかなか改善しません。そこでそういったお客様役を演じさせてみると、ようやく実感することが出来ます。

また、私の部下でベテランの優秀な営業二人でロールプレイを行わせたことがありますが、それはそれは見事なものでした。
社長役の営業が自分の経験から、「経営者は自社の商品に対しての生の声を非常に聞きたがっている。社内で上がっている情報だけでは判断を誤るかもしれないと思うから。」というような演技をしました。それに対して営業役もそれを察知し話題を上手く持っていき会話をはずませました。
こういうのを若手が見ると、口では教えられないベテラン営業のノウハウを盗みとることができます。

以上が基本練習です。
もどかしいようですが、これをみっちり行うことが今後につながります。
説明や切り返しトークなどを行わないようにし、ひたすら情報を探り出すことに専念し、その力をつけてください。

何度も言いますが、まず聞き出すことです。
お客様の情報が得られれば、会社に帰ってから上司や先輩や同僚の知恵を借りて対策が立てられます。
その経験を積めば、だんだんとその場で対応ができるようになっていきます。

正しく聞き出せるようになったら、次のステップに進みます。