令和4年度、全国の小中高校、特別支援学校での「いじめの認知件数」は約62万件(前年度より19%増)、
1000人あたりの発生率47,7件、いじめの「重大事態」705件(前年度は519件)、
ネット上でのいじめ2万件。
いじめ防止対策推進法成立から10年、いじめの抑止になるどこか、年々増加しています。
このような増加傾向を文科省などの教育行政機関は「先生方がいじめを認知できている証拠」「きちんと把握できていてすばらしい」「認知件数というより教師の発見率であり高いことはいいことだ」と今まで言われてきました。
私のそう信じたいと思いますが、毎年文科省が行っているいじめの調査によると、
学級担任がいじめを発見した割合は、わずか9.6%です。
スクールカウンセラーに話して発見されたのは0.1%、その他の相談機関からの情報で発見されたのも0.1%です。
養護教諭の発見も0.3%にとどまります。
ではなぜ、認知件数が多いのか。
それは学校がいじめを認知した大部分は、「本人がアンケートに書いた場合」と「本人、保護者からの訴え」がほとんどなのです。つまり、本人が言えなかったらほぼいじめは誰かが見つけてくれるわけではないのです。
近くで見ていた「心配した友人やクラスメイトからの情報により発見された割合」は、3.6%と残念ながらわずかです。
また、対応についてもいじめ法で、警察と積極的に連携するように記されていますが、警察へ通報や相談した割合は0.2%です。驚きで声もでません。
重大事態は700件もあるのに、あまり警察へつながっていないことが推察されます。
また、いじめた加害者が出席停止になった件数はこれまた驚きの6件です。全体の0.0000009%程度です。
もちろん、冷やかしやからかいなどが多く、出席停止までいくことはあまりないとは思いますが、重大事態の加害者はどんなに少なく700人はいるはずです。実際にはもっといるはずです。
以上のことから、「いじめの認知件数が多いこと」はよく見えているわけではなく、先生方が見つけているわけではなく、友達が気づいてくれたわけでもなく、しかたなく勇気を出して自分で訴えた事案しか数えていないこととなります。
つまり、実際はもっと多いということです。
このような驚愕のデータをみて、いじめ防止対策推進法が機能し、子どもたちを守る砦として、また、先生方のいじめ指導の指針として、有効であるのかどうか。私は疑問ですし、そうであれば、このような数字はあがらないと思います。
あたりまえですが、子どもの人生は1回限りで命も1つです。やりなおしはききません。
その子どもの人生に大きな苦痛と傷跡を残す「いじめ」がなぜ、減らないのか、なぜ、法律が機能しないのか、
じっくり考えていきたいと思います。