なぜ、いじめ防止対策推進法が有効に機能しないのか。
これを考えるときに法の成り立ちを知ることは大事です。
この法制定にきっかけとなったのは、滋賀県大津市で発生した「陰惨ないじめ」による自死事案があったことです。
この事案の第三者委員会の報告書を全て読みましたが、読み進めると涙が出るくらい、苦しみを一人で抱え、命を絶ったんだな。悔しく悲しかっただろうなと思います。残念ながら先生もいじめを認識がありながら充分対応しなかった。いじめの現場を見ても担任は「やり過ぎんなよ」と言って通り過ぎていきました。
この事案が報道されると、いじめへのきちんとした対応や加害者への指導や措置党が必要だと言う世論が一気に高まりました。
この社会の声を受け、与野党6党が共同提案してこの法律ができました。いわゆる議員立法です。
「被害者に寄り添い、守り抜くと言う姿勢」「重大事態の認定」「加害者への出席停止や別室での指導」などが盛り込まれた、
画期的な法律だと私は思いました。
しかし、つぶさに見ていくと、「学校では物理的、立場的に不可能」と思われる点がいくつかありました。
このことは10年経っても問題視されず、機能しないまま放置されています。
この結果、いじめは増える一方、重大事態も過去最高、被害に寄り添って守り抜くと言いながら、実際は被害者は名誉回復されないままに不登校になったり、転校を余儀なくされたりしています。心に傷も残ったままです。
そして、やった方はその学校で普通に生活しています。
「出席停止」や「別室指導」をして、加害者を一時的に切り離して被害者を守っていくのではなかったのですか?
と言いたくなります。
有効に機能しない根幹はここになります。
まず、法律の制定の際に、学校の実情が充分反映されていないこと。が一番大きな問題だと思います。
それゆえ、制度はあるけど、実際にやるには問題がある、今の学校の現状ではできない。ことがいくつかあるのです。
理念や考え方は素晴らしいです。しかし、実効性が伴ったもので無いといじめも減らないし,被害者が泣き寝入りするような状況が続くのです。法の改正に尽力されておられる方もいて、頭が下がります。
しかし、改正させたとしてもそれが実際に学校でできるのか、できなならばできるようにするための施策が必要です。
いじめ問題は日本が抱える大きな社会問題です。
現在の法律の運用では、「法律にあるのだから、やれ!」と学校に言われても実際にはできないことがあるのです。