「いつか この涙が」
(ITSUKA KONONAMMIDAGA)
Translated into English by SAKURAnoG
歌手 :Little Glee Monster
作詞 :いしわたり淳治
作曲 :KEN for 2SOUL MUSIC INC, PHILIP WOO, Kyte
誰にも負けないと誓ったあの日から
きっと戦っていた敵は自分で
“I will never be beaten”
On that day I made the vow
Now I’d say that
It was myself
That I’ve since been fighting against
限界まで努力できる才能だけ
ずっと胸の奥で信じてた
I trusted deep in my mind
That I was able to challenge
To my extreme limits
いつも一人じゃないから
そう何度も何度も立ち上がって
同じ夢を 追いかけた
As I was never alone
I got up again and again
To pursue the common dream we share
いつか この涙が この仲間と 過ごして
ぶつかり合った日々が 勲章に変わる 今は
この涙に 似合う言葉は ないから
何も 言わないで肩を 抱きしめていよう
Someday the tears I’m shedding now will
The days of fighting I spent with you will
Turn into a medal of honor for me
Now that there’re no well-matched words
To fit for the tears I’m shedding now
I’ll say nothing
And be hugging you
For as long as we’re done
高い場所からしか見えない景色は
いつも壁を登った先にあった
Scenes that could only be seen
From a higher position
Were there in front of me
Who’d gotten over the wall
想像できる未来には興味などなくて
ずっと熱い目で夢を見てた
Although I never cared about
Any imaginable futures at hand,
I’ve chased a dream
With a hot passion
やがて不可能が可能に
ほんの少しずつ変わってく
青すぎる時の中で
By and by and little by little
Impossible things are turning possible
In my life still too immature
いつか この涙が この仲間と 出会えて
信じ合えた日々が 勲章に変わる 今は
この涙に 似合う言葉はないから
何も 言わないで肩を 抱きしめていよう
Someday the tears I’m shedding now will
The days we shared trusting in each other will
Turn into a medal of honor for me
Now that there’re no well-matched words
To fit for the tears I’m shedding now
I’ll say nothing
And be hugging you
For as long as we’re done
世界で一番 悔しがることが出来たら
世界で(そう誰より君が)
一番(努力していたから)
君は 輝いている Wow wow
When you feel mortified the most in the world
I’ll bet you are (Yes, I’ll bet you are)
More than anyone else (as you’ve been making more efforts)
Shining brilliant in the world
いつか この涙が この仲間と 過ごして
ぶつかり合った日々が 勲章に変わる きっと
この涙に 似合う言葉は ないから
何も 言わないで肩を 抱きしめて
Someday the tears I’m shedding now will
The days of fighting I spent with you will
Turn into a medal of honor for me
Maybe as there’re no well-matched words
To fit for the tears I’m shedding now
I’ll say nothing
And be hugging・・・
ああ、この笑顔が この仲間と 出会って
信じ合えた日々が 勲章に変わる 今は
この終わりのない 自分への挑戦の
先に 眩しい未来が 待っているから
Ah, this smile of mine will
The days we shared trusting in each other will
Turn into a medal of honor for me
Now I know that
This never-ending challenge to myself
Is leading to a brilliant future for me
La la la la la la la la la la la la la la la
La la la la la la la la la la la la la la la
どうして、この単語なのか、この文章にしたのか、といった制作過程をお見せするコーナーです。
☆文節
文節の切り方に特徴のある歌詞となっています。おそらく、曲が出来上がった後に、曲調に合わせて文節を切り直したのではないかと思います。
一番特徴的なのは、「今は この涙に 似合う言葉は」で、「今は」が前の文の最後に「勲章に変わる 今は」と配置されて、これがメロディと相まって大サビの導入部としてのアクセントになっています。しかもサビの部分なので、各文節にストレスを置くかのように、「この涙に 似合う言葉は ないから」といったように分節されています。他の箇所、例えば「きっと戦っていた敵は自分で」は、「きっと」は普通に文頭に置かれています。しかも、ここはメロディがスッと流れていくところなので、それに合わせて文節に切れ目はありません。
他にも「何も 言わないで肩を 抱きしめていよう」は、曲のアクセントに合わせて文節されています。ここは、普通に書けば「何も言わないで 肩を 抱きしめていよう」などとなるところです。
☆「いつか この涙が」
この曲のタイトルともなっている歌詞で、含蓄のある表現となっています。読み進んでいくと、「この涙が」と「ぶつかり合った日々が」と「が」が2つ出てきます。「ぶつかり合った日々が」は「勲章に変わる」にかかっているのですが、「この涙が」の方はもっと余韻を引いていて、「・・・」といった感じで、「この涙が」の帰結は読者に委ねられているような気がします。
☆「I will never be beaten」
「誰にも負けないと誓ったあの日から」ですが、これを学校の英作文風にすると「Since that day when I made a vow that I would never be beaten by anyone」となります。これのどこがいけないかというと、文脈が逆さまになっているところです。つまり、この曲は「誰にも負けない」という強いインパクトを持った言葉で始まっており、これが、楽曲全体のバックグラウンドともなっています。日米の思考回路が逆なために、普通に英作文すると、「誰にも負けない」が最後になり、インパクトがなくなってしまうのです。
ここは英語でも日本語に合わせて「誰にも負けない」を最初に持ってきたい、ということでこのようにしました。細かいことですが、誓いの言葉が前出しているので「I made a vow」ではなくて「I made the vow」となります。
☆「きっと」
直訳すると「perhaps」とかになるんでしょうが、ここは「I’d say」にその思いを込めました。
☆「戦っていた敵は自分で」
「敵」は「foe」「enemy」あるいはこの場合「rival」ということでしょうが、ここは「戦っていた相手が自分自身だった」ということなので、敢えてこれらの単語は使わないこととしました。
☆「As I was never alone」
最初は「As I was always not alone」としていたのですが、ネイティブ・チェックが入りました。「いつも一人じゃない」で一つのイメージ⇒「never alone」です。日本語に惑わされて最適の言葉を見落としていました。
☆「勲章に変わる」
「勲章」は、「decoration」なのですが、英語でこの文脈でこの単語を使うのか、わからなかったので、「medal of honor」としました。「medal」も「honor(比喩的表現の場合)」も日本語の「勲章」に当たるようです。
☆「何も 言わないで肩を 抱きしめていよう」
ここは、MVで肩を抱き合う選手たちが写っているので、仲間全員に呼びかけているイメージなのですが、主語を「I」にするのか「We」にするのか、かなり迷いました。
文脈的には「We」な気がするのですが、「We」にすべき積極的な理由が文脈以外に見つからなかったので、ここまでずっと通してきた「I」で統一しました。
「抱きしめていよう」は「keep hugging」としたくなるのですが、「keep」にちょっと違和感があったので「(will) be hugging」としました。「肩を抱きしめて」は、「around the shoulder」とする必要はなくて、「肩を抱きしめる」で一つのイメージと捉えて「hug」にしました。
☆「高い場所からしか見えない景色は」
「高い場所」とは、どこでしょうか?自分達がいるこの場所より、高い場所ということですよね。「higher」と比較級にしました。日本語には比較を表す「もっと」とか「より」とか言う言葉は、あまり出番がありません。「どっちが好き?⇒Which do you like better?」「こっち⇒I like this better」日本語の何もないところに、英語では比較級が出てくることがあります。
☆「やがて不可能が可能に・・・」
「やがて」と「少しずつ」を「By and by and little by little」と重ねて使ってみました。とちらか一方だとちょっと足りない気がしたので。
「青すぎるときの中で」は「あまりにも未熟な人生の中で」と解釈させていただきました。「青すぎる」時間というのが、実感できなかったので。
☆「世界で一番・・・」
「悔しがることが出来たら」の「たら」は仮定なのですが、帰結(・・・だろう)がなく、肯定文で終わっています。(意味的にも「輝いている(だろう)」ではなく「(今、君は)輝いている」)ここはおそらく「世界で一番」が仮定で、「君は輝いている」は「悔しがることで努力したから、今、君は輝いている」ということだと思います。なので、「(もし世界で一番悔しがることができれば)その時に、=When you feel・・・君は輝いている」と、仮定表現を飛ばし「その時に」を補って訳しました。
この歌詞全体の特徴なのですが、ここでは掛り結びを敢えて壊すことで、含みをもたせた表現方法となっています。(サビの「いつかこの涙が」と「ぶつかりあった日々が」と二重主語になっている、等と同じ)
このブロックは、逐語的に訳しても、英語として文章が不自然になるので、ブロック全体を一つの意味グループとして、歌詞のイメージにあうように再構築しました。
つまり、2行目の「世界で」には「I’ll bet you are」が対応しており、意味としては最後に「in the world」が来るといった具合です。