11月末のDance to the Future  演目が出ました。


 

去年3月のDttFに登場するはずでしたが、木村優里さんがケガで出演できず、そのまま幻になってしまったら残念すぎだった「禁じられた遊び」が復活☺️ キャストが出ていないのですが渡邊峻郁木村優里コンビのままだと良いのですが💦  優里さんの振付で踊る峻郁さん、どんななのでしょう😊


渡邊峻郁さんの「Seul et unique」も復活、この作品は2020年のDttFに出るはずだったのですが、コロナの最初の混乱の時期で、公演は中止、無観客の劇場で作品は上演されて、その中から集団制作の2作品だけが生配信されたのでした。劇場から生中継はバレエ団初めてだったのかな、この時は確か、一日だけですが見逃し配信もあったはず。


恩田陸さんの対談で、峻郁さんがこの作品のケータイの映像を恩田さんに見せていたのですよね、幻のデビュー作になってしまってご本人にも思い入れがあるのかしらと。弟渡邊拓朗さんと中島瑞生さんの男デュエット、4年たったら今が旬のお2人です。キャスト、そのままですよね?


福田圭吾さんと木下嘉人さんと常連のお2人に加えて、西川慶さんと橋本真央さんが振付デビュー。西川さんはフォトグラファーのイメージが強いです、視覚がきらめく作品でしょうか。橋本さんは入団間もなく、最年少振付デビュー?天才現るなのでしょうか。


演目だけでキャスト発表がないという異例の展開で少々ざわつく界隈です。とりあえず峻郁さんは参加のようでよかった😅


篠宮佑一さんの総合演出・構成・振付による「Jewels Story プッチーニの奏でた世界」の、7月14日の公演を、渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール で見てきました。

 

 

プッチーニの創作の苦悩と、妻エルヴィーラとの愛の絆というテーマでしたので、前半はお話がシンプルに進みましたが、後半になったらバレエシーンも増えて、物語も意外な方向に動きました。プッチーニ夫妻の宮原浩暢さんと珠城りょうさんはおふたりともほぼ180センチの長身で台詞まわしも含めスケールが大きくて、シンプルな舞台でもヴォリュームは十分。真面目な夫婦のお話と思っていたら、妻のほうが実は他に夫がいたことが後半に明かされて、その場面の珠城さんの裏のあるお芝居がとてもよかったのでした。

 

宮原さんは朗読劇ということで美声を楽しみました。最後に「誰も寝てはならぬ」を、バリトンで強行?して聞かせてくれました。前半にももう一曲くらい歌ってほしかったかも、ダメかな。プッチーニはテノールは名アリアぞろいですが、バリトン用ってあんまりないのですよね。

 

お目当てのバレエシーンは、奥田花純さん、益田裕子さん、吉田朱里さん、内田美聡さんの4人に、14日は蝶々夫人が木村優里さん、ピンカートンが渡邊峻郁さんのペアでした。

 

奥田さんの粋なテクニック、益田さんの表現力、吉田さんのフォルムの美しさ、内田さんの長さのあるバネ感と、初台の新国立の舞台では見られない組み合わせでそれぞれのお姿をじっくり鑑賞。男性と違って、女性のバレエ団員さんはゲスト出演も限られますし、こういう機会で見られるのは嬉しいです。

 

ゆりたかは1幕の終わりに登場して、2幕はデュエットもたっぷり。蝶々夫人とピンカートンですが、悲劇の描写はナシ、ひたすら幸せなふたり、アクロバットリフトは全部入り、というこれまた初台では見られないショウピースなお楽しみモードでした。パンフレットのコンビの紹介記事に「誰も入り込むことができないほど濃密」なんて書かれていましたけど、まあ、そうでしたね。

 

プッチーニの危機の場面に、峻郁さんの「星は光りぬ」のソロが続いて、ご馳走というか、とてもよかったです。海軍士官なピンカートンの軍服姿のままでしたが、あの曲想と峻郁さんが似合っていて、白ブラウスにしてカヴァラドッシも見てみたいです。

 

この日の峻郁さん、最初に登場したとき、ジャンプの着地で大きめな音がして珍しいなと思ったのですが、出番のたびに着地音が小さくなっていって、一番最後は無音着地になっていたのがさすがといいますか、踊りの調子が整ってくるのか、劇場の床の使いかたを踊りながら探っていくのか。この夏もお忙しそうですし、巧の技で乗り切ってほしいです。

 

二日目にして千秋楽ということで、マイクを持ってご挨拶もありまして、前日の舞台を客席で見たこと、今日も袖でずっと見ていたこと、あいにくのお天気ですが、と、親しみ深くご挨拶する峻郁さんでした。優里さんが珍しく、あまりまとまらないお話だったので、いつもと逆というか、おふたりあわせてちょうどいいバランスだったかも。

 

客席の雰囲気は宝塚に行ったときと似ている感じで、昨年のラフマニノフの旋律のときともまた違っていました。異種格闘技みたいな、格闘はしてませんけど、こういう舞台は観客もそれぞれの分野から集まって、面白い効果がありそうです。ゆりたかは舞台が明るく現代的なので、どこに入っても違和感ないし、その上華やかだし、やっぱりいいコンビですよね🥰

 

NDT、ネザーランド・ダンス・シアターの来日公演は、7月5日の神奈川県民ホールの回を見に行きました。演目は5つ、そのうち3つを色々な組み合わせで上演するというツアーで、5日はガブリエラ・カリーソの「ラ・ルータ」と、マルコ・ゲッケの「アイラブユー、ゴースト」と、クリスタル・パイトの「ソロ エコー」というプログラムでした。

 

最初の「ラ・ルータ」はバス停留所につどい、すれ違う人々のスケッチというか、マイム劇な30分もの、展開は異常。大きな事故音のあと、ねじれたように横たわる人が登場したり、動物から取り出した心臓を自分に埋め込もうとする人がいたり。その特殊な感じが、凄い身体能力のダンスで表現されて行くのでした。

 

山岸凉子さんの作品に、命を失ったけれど自覚がなく、現実の世界で普通に振舞おうとするけれど、当然ずれていくというような内容を扱ったものがいくつかあるのですが、公演が終わって家に帰ってきてから、この作品はそういうものだったのかもと思って、色々と腑に落ちるというか、見ているあいだに気がつきたかった。逢魔が辻なルータ、照明づかい、歪んで聞こえるショスタコーヴィチと、舞台づくりがさすがでした。

 

「アイラブユー・ゴースト」はマルコ・ゲッケ。ハリー・ベラフォンテの歌う「トライ・トゥ・リメンバー」と「ダニー・ボーイ」にはさまれて、ヒナステラ、ヴァインベルク、ラウタヴァーラの音楽が使われていました。思い出してごらん、という歌詞とダンスの内容は呼応していたのでしょうか。途中のオーケストラ曲は20世紀の作曲家たちで、その現代でもなく王道クラシックの時代でもなく、な微妙な音楽のノスタルジーとゲッケの振付のギャップも面白かったです。

 

新国立劇場の「バレエ・アステラス」で、2022年に、刈谷円香さんとルカ=アンドレア・テッサリーニさんが出演して、ゲッケの「Walk the Demon」を踊ったのですよね。おふたりとも今回のゲッケにも出ていて、思えば贅沢なことでした。

 

この作品も、次のパイトの作品も、衣装は男女共通で、動きの役割も同等。現代ものだとデュエットで女性の持ち上げパターンのバラエティを競うような作品も多いのですが、そうすると男性は持ち上げ係だけで終わってしまうことも多いのですよね。今回のプログラムみたいに、男性の踊りがたくさん楽しめる傾向に移っているのだったらそっちがいいなあ。

 

最後のクリスタル・パイトの「ソロ エコー」は、ブラームスのふたつのチェロ・ソナタから、冒頭楽章と緩徐楽章を組み合わせた作品でした。

 

これ、1番の第1楽章の部分が凄かったでした。惜しげなく出てくる動機を2人ずつ、次々に出てきて担当するのですが、どの音も余すことなく使いきって、動機と動機のつなぎ目の、次の組の出てきかた、とか絶妙で、音楽とダンスというか、ブラームスがこうなのか、というか。パイトホントに天才だわと震えました。

 

7人が群舞になって踊る次のパートは普通でした。最初が凄すぎて普通に見えるというか、わかりやすく切ないのですけども。

 

ふつうカンパニーに1人が2人いるかな、な能力のダンサーが27人そろっているNDT1で、どの一瞬も異次元の動きが満載で、感覚がバグってしまいそうでした。今まではひとりの振付家がカンパニーを育てて大きくする例が多かったのですが、今の阿蘭陀舞踊団(というTシャツが売ってました)のような、振付家に依頼していくスタイルで、凄腕ダンサーが世界中から集結しているというのは贅沢ですよね。日本で、こういう舞台が見られてよかったでした。

 

 

 

7月13日と14日に、渋谷で「Jewels Story プッチーニの奏でた世界」という公演があります。去年の5月に見た「ラフマニノフの旋律」と連なるシリーズの最新作。

 

 

バレエシーンの蝶々夫人とピンカートン役はダブルキャストで、13日が足立真里亜さんと森脇崇行さん、14日が木村優里さんと渡邊峻郁さんです。

 

こちらの舞台、昨年のラフマニノフは朗読劇とバレエはどう組み合わせるのか謎に思いつつ見に行ったのですが、台本を手にしてセリフを読む方式と、ことばのないバレエの相性が意外によくて、出演者も美男美女ぞろいですし、よく知らなかったラフマニノフの生涯も興味深いものでした。

 

 

この夏はプッチーニなのだそうですが、2021年にやはり、Jewels Storyとして「プッチーニの描いた世界」があったようで、上演形態は違うとしても再演に近い形になるのかも? HPにギャラリーがありますが、ホテルニューグランドのお部屋が素敵です…。

 

珠城りょうさんは月組トップスター時代の舞台は何度か見てます。伊吹有喜さんの小説「カンパニー」の宝塚化、も見たのでしたそういえば。珠城さんは派遣されるサラリーマンの役だったんですよね、よくこんな話を宝塚でやったものですが、バレエ団の雰囲気とか、さすが巧く作ってありました。劇中劇の白鳥の湖もレアな曲を選んで使ったり、男役が演じる男性バレエダンサーという微妙な一件も耽美で乗り越えていたのでした。珠城さん、本来の美女ぶりを舞台で見るのははじめてなので、楽しみです。

 

奥田花純さん、益田裕子さん、吉田朱里さん、内田美総さんと、新国からの4人も艶やかでしょうね~ こういう形で活躍の場があるのは、バレリーナさんにとっても見る側にとってもとても良いと思います。

 

木村優里さんと渡邊峻郁さんの蝶々夫人とピンカートン、バレエシーンがどれくらいあるのかわかりませんけど、お2人だったらちゃんとドラマを作ってくれそうです。お二人揃って外部出演は、今年はシェヘラザードとEdenに続いて3作目で、全部全然傾向が違っていてさすがというか。

 

全然違うといえば、ダブルキャストの足立真里亜さんと森脇崇行さんの初々しいコンビとゆりたかと、似てるところがあまりないかも。

 

宮原浩暢さんは歌ってくださるのかな、バリトンですとピンカートンとかはナシなのか。

 

バレエ夏の陣?のまずひとつめ、美男美女の華やかな世界が楽しみです。

 

 

6月30日の午後、新国立劇場の中劇場で「新版・NINJA」を見ました。

 

 

森山開次さんと新国立劇場の「NINJA」は、2019年に小劇場の公演でスタート。おととしに、中劇場で「新版」として登場しました。そのときの感想↓

 

 

私がNINJAを見たのはこのときが初めて、忍者もかっこよかったのですが、お姫さまがチャーミングで、すっかり魅了されました。この役は旧版にはなかったようなので、創作のイメージは2022年に踊った中川奈奈さんだったのでしょうか。かわいいお姫さまが、最後は道成寺の鐘入りのように、舞台中央の大きな「升」に入って、鬼の角をつけて変身して再登場するという大役です。

 

もともとこの役は、川上環さんの代役として、当時バレエ研修所生だった中川さんが抜擢されたものでした。中川さんはそのあと、新国には入らずにチェコのバレエ団へ。今回の再演では一時期お姫さまのダンサーを公募していたようなのですが、結局はまた、研修所の若いバレリーナさんが出演しました。

 

お姫さまは歌舞伎でいう「赤姫」のイメージな衣装で出てくるのですが、赤と金の色合いの鮮やかさやスカートの形とか、バレエで違和感なく、あの豪華さも十分で、ホントに鮮やかなデザインです。長身の中川さんに似合っていましたが、新しいお姫さまの府川萌南さんも手足が長くて、衣装のヴォリュームに負けていませんでした。府川さんは表情も華やかで豊かですし、鬼女になってからの迫力も十分。中川さん以外に考えられない、と思った役に、ちゃんとふさわしい、素敵なバレリーナが現れるものなのですね🥰

 

古典の引用でいうと、歌舞伎舞踊「浮世風呂」には美女なめくじが出てきて踊るのですが、小袖にひらがなで「なめくじ」と書いてある衣装が定番なんですよね。NINJAのなめくじもそこをちゃんと踏襲していて、ラメで「な め く じ」と。こういうところ、いいなあと思いました。

 

夏休みの前の6月ですが、会場はお子さんがいっぱい。小さい人たちが凄い集中力で舞台を見ている雰囲気が素晴らしかったです。稚気と残酷が同居している世界、「怖さ」の魅力もしっかり味わえる傑作舞台なのでした。大盛況でした。ダンスの場合公演数はそうそう増やせないかもですが、せめて週末が2回あったらよいのですが、金土日だけ、だとチャンスを逃してしまいます、見てもらいたい人もいたのですが。