10月7日の午後、中央会館ホールこと銀座ブロッサムで「第五十三回 新橋なでしこ会 大会」を見てきました。

 

新橋演舞場の「東をどり」は見たことがありますが、なでしこ会ははじめて。新橋の若手芸者さんの勉強会だそうで、番組は六つ、立方11人、地方20人の2時間半あまりの舞台でした。

 

ロビーには目のさめるような着物姿の方がたくさんいらして、小粋な紳士も見かけましたが、チケットはカンフェティでも扱っていて、古典芸能ファン?の方もたくさん客席をうめていました。自由席3,500円。

 

松廻羽衣、潮来出島、東都獅子、樋の酒、子守、正札附。羽衣ネタから曽我五郎ネタまで、古典のエッセンスも楽しく、芸者さんたちのきっちり清潔な踊りが心地よかったです。女性の舞台姿が美しいなと思いました、ふだん歌舞伎だと男性ですもんね、やっぱりホントの女性は華奢できれい。

 

樋の酒は狂言、ちゃんと太郎冠者と次郎冠者がハメをはずして怒られていました。女性が演じるのに違和感がなくて、お酒を飲んでゴキゲンになっているのが幸せそうで大変よかったでした。色々とお稽古されているんですね。

 

2019年の「東をどり」のとき、ひときわ踊りのうまい新人さんがいて、そのとき初舞台で話題だった小夏さんでした。今回五郎時政で登場、荒事の力感がちゃんと出ていてカッコよかったでした。ほかにも、というか若い魅力がみなさん素敵でした。

 

優美な都をどりとひと味違って、キビキビして楽しい新橋の踊り。どちらも、男性はいないので、立役も女性。日本舞踊の性別不明っぷりは、着物という特性のせいなのでしょうか。動きの基本は同じなのですが、男性の踊りのほうが、上手な人がまわることが多いのかな。

 

古典のものはどこも後継者に困っているのでしょうし、花柳界というのも、どれくらい保たれていくのかがアヤしいのではないでしょうか。どんな方がこういう世界を支えているのか、と思いましたが、終演後道路に出たら、黒塗りの車がさっと止まって、背広の紳士が素早く乗り込んでいきました。なんか垣間見た、という気分で帰ってきました。

 

新橋なでしこ会のチラシ

 

 

 

 

9月27日の日曜日にK-BALLET TOKYOの「クレオパトラ」を見ました。千秋楽、若手キャストの公演でした。

 

熊川哲也さんの「クレオパトラ」ははじめて見ました。キャラクターが多いのですが交通整理も巧みで、踊りもエジプト風からローマ宴会風まで、変化があって楽しかったです。

 

冒頭、クレオパトラが男娼と濡れ場を演じていて、これがウワサの…ちょっと長い…でしたが、こちら、フォーキンの振付、アレンスキーの作曲によるバレエ「エジプトの夜」へのオマージュではないでしょうか。クレオパトラが美青年と一夜を過ごして、青年は捨てられて殺されてしまう、というシェヘラザード系の作品。アスィルムラートワとルジマートフが、スタジオで撮影したらしい映像がありまして、若いルジさまが美しいです🥰 ロシアでは時々上演していたのではないでしょうか、最近はさすがにやっていないようですが。

 

前田文子さんの衣装がよかったです~ 役柄に合わせたチュニックの丈とか絶妙で、事故物件の多いローマ男がみんなかっこよくてさすが。女性もスリットからの足の見えぐあいとかステキ。華美になりすぎず、装置とあいまって豪華でした。

 

音楽はカール・ニールセン、デンマークの作曲家でシベリウスと同い年なのだそうですね。井田勝大さんの編曲・指揮でした。全然北欧の曲に聞こえなかった、のはよかったのかどうか、なんか素直にオーソドックスな響きで、トガった和音とかないんですね。バレエ音楽としてはおさまり抜群でした。

 

熊川哲也さんの舞台づくりがやっぱり巧くて、劇場のエンタテインメントとして一流なんですよねー、ダレるシーンがないし、意味不明な主張もないし、多くのダンサーさんに見せ場があって、最後の演出は超かっこよかったです。

 

熊川さんは振付はやっぱりオーソドックスで、はっとする新しい言語、とかはなかったです。あと、男性のソロが沢山あるのはいいんですが、やっぱり振付が面白くないかも~ 女性のヴァリエーションの見ごたえと比べると、男子は跳んで回るだけになりがちなのはなぜなんでしょうか。

 

クレオパトラは木下乃泉さん、「パリの炎」のマリー・アントワネットが素敵で、クレオパトラならぜひ見たいと思ったのですが、ハリとのびのある動きが強くて、手足が長くてとても映えて、表現も強烈。踊りのセンスがすごく好きなのですよね、たっぷり見られて大変シアワセでした。

 

男性陣は超新人からベテランまで、な組み合わせだったのでしょうか?みなさん安定した踊りぶりで、アピールポイントを作るのも巧いんですよね。若い世代は長身な方も増えてきているようですよね。

 

カーテンコールに熊川哲也さんが出てきて、大型新人のデビューが一層盛り上がっていました。熊川さん、ひさしぶりに舞台で見ました~

 

オーチャードホールはこれでお別れかも、と思いつつ渋谷の街を帰りました。

 

当日の配役

 

クレオパトラ:木下乃泉 

アントニウス:石橋奨也
オクタヴィアヌス:鴻野寛太 

オクタヴィア:加瀬 栞
プトレマイオス:岡庭伊吹 

ブルータス:金 瑛揮
ガイド:本元 光 

ポンペイウス:ニコライ・ヴィユウジャーニン
ジュリアス・シーザー:西野隼人

選ばれた神殿男娼:中井皓己

 

 

新国立劇場の小劇場で「UNIQUE MOTION JAPAN」9月22日18:00開演の公演を見ました。

 

チューリッヒ・ダンス・アカデミーとバーゼル劇場バレエ団からゲストダンサーを招いて、日本からも工夫のあるプログラムでつづった、2時間弱のコンテンポラリーのガラ公演です。アーティスティック・ディレクターは西島勇人さん。

 

西島さんは、海外で活躍するダンサーのガラとしては草分け的な「ブライト・ステップ」を主催しているイメージなのですが、幕あけにご挨拶があって、古典だけではなくてコンテンポラリーの分野でも、というようなことなのだそうです。

 

イーサン・ルステム振付の「After Glass」からスタート。チューリヒ・ダンス・アカデミーのニコラス・アダームズとバーナビー・ジェンセンによる男性デュエット。ふたりの動き、持ち上げかた、回し方、身体の方向転換とか、よく見た感じが離れなくてなんというか、コンテンポラリーダンスも基本の動きパターン集みたいでした。斬新な動きが月並みになる過程といいましょうか。

 

次のパートは日本のジュニアの登場で、私が見た部は、木原浩太振付で、塚本花梨さんのソロナンバーでした。まだジュニアの年齢なはずですが、かっこよかったです。

 

続いては福田圭吾振付の「Afte the show」を、福田圭吾さんと西島勇人さんが踊りました。これ、新国立劇場バレエ団の2023年の「Dance to the Future」で発表された作品で、福田圭吾さんと石山蓮さんが踊りましたよね。若造な蓮さんが圭吾さんに勝とうとする、みたいな展開がよかったんですが、西島さんだと対等な感じで、作品のイメージが変わって見えました。

 

休憩をはさんでから、「SHIKI」これも福田圭吾振付で、2024年の「Dance to the Future」で発表された作品。吉田早織さんと澤村亮さんが踊りました。飯島望未さんが踊るはずだったのですが、ケガのため吉田さんが代役。日本の四季、ワビサビ的な作品なのですが、難しいバランスがポイントになっていて、急な代役のせいかおお?というところも。ですがふたりの表現のバランスはよかったです~

 

Rikubouzさんの「Martia"ARTS"Tricking」は、無音でマーシャル・アーツの妙技から空間が生まれてくるような作品。さすがな動きでしたが、日本の武道の味わいとは違う感じなんですね。

 

ラストふたつはマルコ・ゲッケ振付の作品。「Äffi」は宝満直也さんが踊りました。

 

宝満さんは振付家として活動していて、ダンサーとしては久々に見たかも、肉体再改造なすごい上半身で、ジョニー・キャッシュ3曲ぶんを踊りきりました。2005年の作品で、これがゲッケだ、の初期ナンバーなのだそうです。動くのだけでも大変そうなのですが、音楽のすごく微妙なポイントを、つかんで拡大するようなのがさすが宝満さんでした。

 

ラストが「薔薇の精」 2009年のゲッケの作品で、初演がモンテカルロ・バレエ。バーゼル劇場バレエ団のアナ・パウロ・カマルゴとパーカー・ギャンブルで、もちろんあの、「薔薇の精」へのオマージュ作品で、これは面白かったでした~、カマルゴさんとかよかったです🌹 ふたりともゲッケと一緒にバレエ団も移動した方なんですね、ゲッケダンサーというか。

 

というか、今調べてみたら、このゲッケの「薔薇の精」、アーキタンツが2020年に企画した記念公演で踊られるはずだったんですね。酒井はなさんと小尻健太さん、そして本来は6人の男性アンサンブルがついていて、そのうちのおひとりが西島勇人さんだったんですね。コロナの完全ロックダウンの時期にあたってしまって、そのままお蔵入り?になったのでしょうか。

 

 

コンテのガラとはいえ、福田圭吾さんの作品はところも同じ小劇場ですでに発表されていたもの、それと並んでモトデがかかっていそうなゲッケ、とちょっと不思議なバランスの公演ではありました。というか、この企画、インスタなどの表示がすごくわかりにくかったのですよね~、何時から、どこで、誰が出るのかよくわからない。見た目はおしゃれなんですが。

 

当日券を劇場で買って見たのですが、発売があるとわかったのは、宝満直也さんのインスタのストーリーのコメントでした。当日券を劇場で販売します、と、公式ページでひとこと、教えてくれてもよかったのでは。薔薇の精が超気に入ったのでまあいいか。





 

9月20日の日曜日、ウェスタ川越で日本バレエ協会関東支部埼玉ブロックの公演「第33回 バレエファンタジー」を見てきました。埼玉ブロックの公演は2年に1度の開催らしく、4年前の第31回も見ていました。渡邊峻郁さんが「くるみ割り人形」の王子でゲスト出演でした。

 

前半は、各スタジオの作品によるバレエコンサート、後半は古典のひと幕を合同で上演するスタイル。バレエコンサートの部分は創作ものが6本で、古典のオケイコ的なものではなく、振付家それぞれの指向がはっきりわかるものが多かったです。生徒さんもみなさんよく動けていて、この先もうひとつ、曲の選択と衣装のセンスを気を付けてくれたら…と思うものも。

 

新村純一さんの振付作品があって、新村さんはスターダンサーズ・バレエ団の「ドラゴン・クエスト」の、初代の黒の勇者の方ですよね。素敵だったのを覚えています~ グラズノフの曲でクラシカルな作品でしたが、きゅっと動きがつまって忙しいアクセントなどあって面白かったです。

 

後半は「オーロラ姫の結婚」で、眠れる森の美女の第3幕の踊りをメインに、プロローグの妖精の踊りも加えたひと幕ものでした。オーロラ姫が木村優里さん、デジレ王子が渡邊峻郁さん。おふたりのゲスト出演は春ごろに発表だったのですが、公演が近づいた夏にご結婚、という話題がプラス、なんだかおめでたい舞台でした🥰

 

出演者は埼玉にゆかりの?プロのダンサーさんも多く、実力派ぞろいで見応えありました。リラの精が横山柊子さんで、新国を退団されてから、古典を踊っているのを見たのははじめてでしたが、ひとまわりほっそりして、踊りはクセがなく美しく、バランスとか強いんですよねやっぱり、素晴らしかったです。

 

青い鳥に根岸茉矢さんと新井悠汰さん、猫が中島玲奈さんと坂爪智来さん、赤ずきんが新谷梨紗さんと岡本尚之さん、3組とも水準高く、女性は美女ぞろい、新井さんの超絶ブルーバードは期待どおりでしたし、坂爪さんと岡本さん、おふたりとも牧阿佐美バレエ団所属だそうですが、動きが軽く、キャラクターづくりがしっかりしていて目をひきました。牧の伝統がさすがといいますか。

 

ゆりたか、はポロネーズの入場から大拍手で迎えられて最初から盛り上がる展開。グラン・パ・ド・ドゥはそのわりに淡々とスタートしましたが、途中でふたりがぶつかりあうようなアクセントをつけてそこからドライヴがかかりました。デジレ王子がオーロラ姫の手をとって立たせる、あの見つめ合いがなんともごちそうさまでした🥰 峻郁さんのヴァリエーションは舞台がせまく見えるくらい、優里さんは上半身の動きがものすごく雄弁になりましたね~

 

コーダの部分は、先日の「SWAN」でも見せていましたよね。峻郁さんの片手あげの回転のラインがより美しくなって、着地のつま先も美しい~ ふたりそろって踊ると目に見えない糸でつながっているようで輪郭が大きいです。バレエも大向こうがあったら、ご両人!てかかってほしいかも。

 

こちらの公演、広報の担当者の方がきめ細かく熱心で、チケット完売になったのはインスタの連日の煽り作戦がものを言ったのでは、あと〇枚!とか言われると買っちゃいますよね。お願いしたチケットに関する連絡も素早く丁寧でありがたかったです。会場のウェスタ川越も素敵でした。ヤオコーがスポンサーになっていて、ホールの隣に憧れのヤオコーのお店があったのですが、立ち寄れなくて残念でした。

 

色々なタイミングが絶妙で、こんなにおめでたい空気に包まれた「眠れる森の美女」はなかなかないのでは。渡邊峻郁さんと木村優里さんがこれから見せてくれる世界も楽しみです🥰




 

 

新国立劇場バレエ団ファンの風物詩、公演の配役発表が続きまして、こういうところにメモしておくと、あとで便利ではあります。前回2025年の「精確さによる目眩めくスリル」の配役が発表になったのが、初日の10日前だったのとか、すぐにわかるし。ついでに今年2月のドウソンの「A Million Kisses to my Skin」は初日の2週間前に発表でした。

 

スリルもミリオンも、振付側から指導者が来てリハーサルを重ねて、その結果?で配役が決まるらしいのですよね。バレエ団側からこの人をここに、みたいなのはどれくらい希望が入るのかはわかりませんが、結局うまいもんねな常連ダンサーが並ぶような。

 

 

というわけでラ・シルフィードの配役が出ました。ジェームスは井澤駿さん以外は初役の3人で、木下嘉人さんは正直いってびっくり。木下さんの古典全幕の主演はぜひ、いちど見たかったので、主役としてどういう物語を作って、舞台をドライヴしていくのかが楽しみ。

 

中島瑞生さんは、「人魚姫」の王子さまに配役がなくてあれ?だったのですが、その上夏にかけてケガをされたようで、予定の舞台をキャンセルしたりもあったので心配だったんですよね。「SWAN」の完全復調からの主役ジェームスデビューで、シルフィードが木村優里さん。おふたりとも表現をよく考えて、美形なのにマニアックなタイプなので、期待するのは病んだロマンチック・バレエです。

 

李明賢さんは去年のヤングガラでもう、ラ・シルフィードを踊ったんですが、ハダカ舞台でも森と小鳥が見えましたよね。

 

それでこの6回公演で、スリル…の配役はどこにどうなるのか、すぐにアトレ会員の予約も受け付けが始まるんですが、困ります~。だいたい前回のパターンとしても、2キャストか3キャストになるのか。フォーサイス作品のリハーサルは本当に大変なのだそうですが、さらに充実な再演でありますように。

 

8月中に「くるみ割り人形」も発表でした。

 

 

デビューが小田那奈さん、森本亮介さん、直塚美穂さん。小田さんは大抜擢、研修所時代もかわいらしかったですが、バレエ団に入ったらもうひとつ花開いた印象です。森本さんは中堅以上ポジションで活躍していますし、海外でつちかった実力はやっぱり強い。直塚さんは相手が李明賢さんで、これは絶対面白いやつかも。外部では何度か組んでいるおふたりとかで、安心かも、いやでもやっぱり面白いかも。

 

 

くるみ割り人形は、米沢唯さんと渡邊峻郁さんの主演の映像が配信中です、今年いっぱい。峻郁さんが登場する映像なのが嬉しいです、真紅と紫紺の軍服がどちらもお似合い🥰

ちょっとヌルい「くるみ」なのですが(すいません)、新国ダンサーさんも全体の色彩も、たいへん美しい映像です。男女とも、だれがアップになってもうっとりです。

 

米沢唯さんと渡邊峻郁さんのくるみ割り人形のグラン・パ・ド・ドゥがキリっとして、さすがな完璧さ。くるみといえば吉田都さんとイレク・ムハメドフの映像をこれでもかと見てきましたが、それ以来のときめく踊りぶりです。おおむねオーソドックスなパ・ド・ドゥですが、王子さまのバリエーションだけが、音楽を倍速にして、振付も音の入れ方などかなり変奏になっていて、峻郁さんが小粋に踊っています。

 

「DANCE to the Future」と、小尻健太さんが創作する「The 3rd Position」も発表に。DttFは新顔登場と、招待作品と。前回素敵だった橋本真央さんの作品があるのが嬉しい。

 

小尻さんの作品には新国から奥村康介さん、五月女遥さん、渡邊拓朗さんが。2月のダブル・ビル公演が2月23日まで、こちらの公演が2月26日からなんですよね。楽しみですが、忙しい。