住まいの支援については、時折取り上げていますが(直近は今年2月の予算特別委員会。こちら)、今年度から練馬区が居住支援の取り組みを新たに始めましたので、その状況を質問しました。

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(かとうぎ桜子)

居住支援について伺います。

居住支援は、高齢、障害、子育て世帯など様々な状況によって住宅に困窮した人が、住まいの確保が難しい現状に対して、入居を拒まない住まいの確保を進めていこうというものです。

練馬区はこの4月から居住支援協議会を設置し、取り組みを始めました。

先ほどの自殺対策に関する質問の中で、「高齢期に希望を持って生きられる地域社会の実現が必要である」と言いましたが、高齢になってからの住まいの確保も高齢期の大きな課題です。

私も、高齢になって家族と離別・死別してひとりぐらしできる住まいを探している人、老朽化したアパートからの立ち退きを迫られたものの新たな住まいがなかなか見つからない人など、何人ものご高齢の人の住まいの相談を受けた経験があります。

70代、80代になって新しくアパートを貸してくれること自体が残念ながらあまりないという現実がありますので、その解決が必要です。また、その人の心身の状態に応じた支援をしながら住まいと生活のサポートをする体制の確立が必要であると考えます。

そして、そうした体制は、高齢者のみならず、ひとりぐらしを希望する障害のある人や、子育て中の人、困窮状態にある人などにも同様に必要です。

 

そこでまず、練馬区が実施する居住支援は具体的にどのようなものかをお聞きします。

 

次に、居住支援協議会の役割について伺います。

居住支援協議会は東京都にも設置されていますが、練馬区の居住支援協議会ではどのようなテーマで協議を進めていくのか、また、東京都の協議会との役割分担はどのような形になるのかをお聞かせください。

 

また、東京都の居住支援協議会から、協議会のメンバーとして居住支援法人を加えるよう依頼されていますが、現在練馬区の協議会に居住支援法人は入っていないようです。今後の考えをお聞きします。

 

4月に行なわれた区の居住支援協議会の資料によれば、5月に居住支援に関する周知のチラシ配布などを行ない、6月3日から相談の受付を開始するということでした。実際開始してみて現在はどのような状況にあるかをお聞きします。

住宅に困窮する当事者の声を聞き、実態をふまえた支援体制づくりを進めることを求めて、次の質問に移ります。

 

(技監)

居住支援についてです。

平成29年度から、不動産や福祉の関係団体と、高齢者など住宅確保用配慮者の住まい確保について、意見交換を行ってきました。

そこで頂いた意見をもとに、今月(2019年6月)から、高齢者、障害者、ひとり親家庭が、民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、不動産団体と連携して、入居相談や物件情報の提供を行う住まい確保支援事業を開始しました。

孤独死などの不安から入居を拒まれやすい高齢者に対しては、容態急変時に対応する緊急時に対応する緊急通報システムを利用することにより、貸主の不安を軽減し、入居する音の理解を得て、物件情報を提供できるよう取り組んでいきます。

受付開始後の1週間ほどで、老朽化したアパートからの移転先を探す高齢者や、ひとり親の方などから22件の相談が寄せられています。現在、相談者から伺った希望を基に、不動産団体が物件情報を収集しており、今後、相談者への提供を行っていきます。

 

次に、居住支援協議会についてです。

これまで意見交換を行ってきた団体を中心に、今年度、居住支援協議会を設置しました。協議会では、新たに開始した住まい確保支援事業の円滑な運営や、さらなる充実に向けた検討を、引き続き行っていきます。

都の協議会は、区市町村の協議会の設立支援や活動支援を行う役割を担っています。区は、都の協議会が開催する情報交換会やセミナーに参加しており、支援方法や制度の検討に役立てています。

居住支援法人は、入居相談や入居者の見守り活動等を行う団体であり、都が19団体を指定しています。居住支援法人の活動の特色や状況を確認し、今後、区の事業との連携の可能性について検討していきます。

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私が一般質問をしたのが6月19日ですから、住まい確保支援事業を開始してからまだ2週間くらいの時でした。それで22件の相談があるということは、住まい支援のニーズが高いことを表していると思います。

今まで、例えば生活保護を利用するのに、保護費の範囲で暮らせる新たな住まいを見つけなければならないという時、福祉事務所はそこまではやってくれないから自分で不動産屋さんで見つけてきてねと言われ、でも不動産屋に行くと「高齢だから」「障害があるから」「生活保護の人はちょっと」と入居を断られるケースがあることは、私もご相談いただくことがありました。

住まいが見つからない不安だけではなく、自分の存在が否定される感じを持つ方も多いのではないかと思います。

そこで、福祉事務所が住まいの相談を受け止める体制ができたのはとても良いと思います。ただ、実際に入居できるところがあるかどうかは、物件次第になってきますので、どれだけ実効性のあるものになるか、今後見ていく必要があると思います。

でももしなかなか見つからない、ということがあったとしても、そこから次の施策につながっていくことにもなるのではないかと期待しています。

 

居住支援法人はまだまだ数が少ないですが、区内の団体もありますので、行政としての連携方法を探っていっていただきたいと思います。