9月27日の決算特別委員会、保健福祉費で質問しました。
まず、放課後デイで個人情報の紛失が起きた問題について。
練馬区内で運営していたある民間の放課後デイサービスが、突然閉鎖されたという問題がありました。(こちら)
医療的ケアが必要であるなど障害の重い子を受け入れていたところだったので、突然そこがなくなってしまったら、利用していた子たちの代替の支援もなかなか見つけられない状況になりました。
そこで、急遽、今年度は区立の子ども発達支援センターの中で、受け入れ先となる放課後デイを行うことになりました。対応してくれる事業者が見つかったので、そこに委託する形で今年度中は実施し、来年度までには他の受け入れ先を探すというものです。
そしてそれがスタートしたらすぐに、個人情報の紛失事故の報告がありました。
USBの中に個別支援計画の情報を入れて持ち歩き、そのUSBを紛失したというものでした。
障害福祉サービスを提供する際、その利用者の現状、「こうしていきたい」という目標、その目標を実現するために必要な支援をまとめる個別支援計画を作る必要があります。その計画は、大人のサービスならサービス管理責任者、こどものサービスなら児童発達支援管理責任者という、一定の実務経験があって研修を受けている専門職が作成します。作成するにあたっては基本情報を集めるとともに、本人や家族との面談を繰り返して作成します。作成したらそれを元にサービスを提供し、少なくとも半年に1回は見直しをする必要があります。
見直しの時には、今までの実際を踏まえてこれからどうするか、と考えていくのでまだいいのですが、最初に作るときはサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者も初めてその利用者に会ってほとんどすぐに作成しなくてはなりません。だから1人分作るのも大変ですが、特に今回の場合は、急に閉鎖された事業所の利用者を早く受け入れなくてはいけないという中で、いっぺんに12名分の計画をできるだけ早く作らなくてはいけなかった。
しかも、事情を聞くと、その児童発達支援管理責任者はここ専従だったのではなく、受託法人が元々やっていた事業所と兼務だったんだそうです。それで、元々やっていた事業所に移動する途中でUSBをなくしたらしい。つまり推測するに、元の事業所と新しい事業所と手が回らなくなってやむをえずUSBに入れて持ち出したのだろうなと。
複数事業所を兼務しないとならない状況ならせめて、個人情報を持ち歩くのではなくて、法人で事業所横断的に管理でき、個人情報の保護もしっかりできているクラウドで情報管理するなどをしたらいいんじゃないかと思ったのですが、区が委託をする場合、委託事業所の外に持ち出してはいけないというルールを定めているので、法人内の他の場所で見られるクラウド管理はできないのだそう。だったらなおさら、やむにやまれず持ち出さざるを得ないような働き方があったのではないかということを見直す必要があるのではないか。
こういうやりとりを常任委員会である保健福祉委員会でして、急遽受け入れ体制をとってくれた事業者が過度な負担にならないような区としてのバックアップ体制が必要なんじゃないかと指摘したら、部長が手を挙げて「働き方と個人情報の持ち出しはまったく別物で、やってはいけないルールは徹底しなくてはいけない」という答弁をしました。
それはもちろん、個人情報をUSBに入れて持ち歩くなんて、私もしないしやっちゃダメなのは大前提なんです。だけど、起きてしまったものをダメなもんはダメだ、で済ませていては再発防止にならない。なんでそんなことをわざわざ部長が手を挙げて言ったんだろうかと釈然としなくて、改めて決算委員会で質問しました。リスクマネジメントの基本って、原因を分析して事故が起きる要因を排除することではないですか?と指摘しました。
それに、大変な状況にある利用者の救済策に手を挙げてくれた事業者が、短時間で一生懸命準備してやっている中で、事故が起きてしまったことを、「ダメなものはダメだ」と言われたのでは、事業者が不憫でならないです。区がそういう対応をしていたのでは、そのうち協力してくれる民間事業者がいなくなりますよ・・・。
私も最近、非常勤でサービス管理責任者もやっていて、計画を作るのは大変だと思っているので、気の毒で仕方ない。
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リスクマネジメント研修を福祉従事者に行う意義は?また区の福祉事業の委託事業者や区職員もこの研修は受けるのか。
○かとうぎ桜子
福祉サービス人材確保・育成等経費で、福祉人材育成研修センターについて伺います。
研修センターで実施している研修の一つに、 介護福祉施設のリスクマネジメントに関する研修があります。
事故が起きたときに要因を分析する、あるいは、あらかじめの点検で事故を防止しリスクを低減させることが事故防止、 再発防止につながるという観点で、リスクを見逃さないことが重要であるという研修内容であると思います。
福祉従事者がこうした研修を受ける意義について、 区の見解をお聞きしたいのが1点です。
また、区が委託をしている福祉事業の受託事業者や福祉に従事する区の職員は、この研修センターの研修受講の対象になるのか確認したいのが2点目の質問です。
以上2点、 お答えください。
処遇を行う職員のみならず管理者向けに実施しており、事故防止の体制づくりに取り組んでいただくことが目的。委託事業者や区立施設も登録して研修を受けられる。
○高齢社会対策課長
研修センターのリスクマネジメントに関する研修は、施設の処遇を行う職員はもちろん、 施設の管理者向けにも実施しております。こういったところに意義があると思っています。
例えば、事故防止の仕組みづくりですとか、体制づくりに取り組んでいただくことを目的として実施しています。
また、区の委託事業者に対して、 区立の施設であっても区内の事業所同様に研修センターに登録していただいて、研修を御案内しています。
個別支援計画の情報の入ったUSBを紛失した事業者に対して、個人情報に関する研修・指導はどのように行なっていたか
○かとうぎ桜子
先日の保健福祉委員会で委託事業者による個人情報の紛失の報告がありました。
これは、区内で突然閉鎖された放課後等デイサービスを利用されていた方の受入先を急遽確保するために区が委託をしてスタートした事業です。
こうした緊急的な対応のため、事業の開始に当たって、 受託した事業者が12名分の利用者の個別支援計画を作らなければいけなかった。
計画作成を担当する児童発達支援管理責任者は、 受託した法人がもともと運営していた事業所との兼務だったため、そちらの事業所に行って作業をするためにUSBに情報を入れたという経緯だったとのことです。
事業者に対しては、個人情報に関する研修等の指導はどのように行っていたかお聞きします。
この事業者に限らず、委託事業者には契約の中で情報セキュリティーの確保について定めており、個人情報を扱う従事者に対する教育を行なった報告を求めている
○障害者サービス調整担当課長
この事業者に限らず、区が委託する事業者に対しましては、契約の仕様の中に情報の保護及び管理に関する特記事項を付しております。 個人情報を取扱う際の手順を遵守するとともに、 情報セキュリティーの確保を図る措置を講じることを定めております。
具体的には、個人情報を取扱う従事者をあらかじめ定めまして、業務開始前にそれらの者にセキュリティー教育を行ったことを書面で区に報告していただくということを求めております。
ダメなものはダメ、ということでは再発防止にならない。改めて区の見解を。
○かとうぎ桜子
今回紛失してしまったのは個別支援計画ですけれども、計画をもう作ってあって、それを更新するということだったらまだしも、この児童発達支援管理責任者の人は、全く初めての利用者に対して12名分の新規計画作成をしなければいけない。
しかも、もともとの事業所の業務があるということで、駄目だと分かっていても、やむを得ず、間に合わないから持ち出したという背景があるのではないかと推測します。
保健福祉委員会では、こうした持ち出さざるを得ない状況を生み出さない事業者への支援が必要だったのではないかと指摘しました。 それに対して部長からは、働き方と個人情報の持ち出しは別物である、 やってはいけないことについてはルールを徹底しないといけないという趣旨の答弁がありました。
もちろん、 USBに個人情報を入れて持ち歩くのは、やってはいけないことではありますけれども、駄目なものは駄目だ、と言っているだけでは再発防止にはつながらないと思います。
リスクマネジメントの研修でも、事故を防止するには、「人がミスをしないように管理をするという発想から、人は誰でも必ずミスをすることを前提とした事故原因の除去に重点を置く考え方に切り替える必要がある」という観点で研修が行われていると思います。
区として、 起こった問題と背景を分けて考える答弁があったことに疑問を感じるのですけれども、改めて区の見解をお聞きします。
再度のセキュリティー教育、職員配置や業務分担の見直し、区との相談を密にするなど実施。
○障害者サービス調整担当課長
もちろん、今回の事故の原因は分析して対応を行っております。
まず、 再度、 セキュリティー教育を全従業員に行いました。
あと、事故発生の背景の検証を行い、 例えば、法人内の他の事業所から従事する職員を配置することや業務分担の見直しなどを事業者に求めております。
また、これまで以上に、区との相談を密にしてございます。
ただし、個人情報の紛失事故が発生したという事実に変わりはなく、 こちらは許されるものではございません。 二度と同じことが起きないように、引き続きしっかり対応してまいります。
事故が起こる前に区としてサポートできることをしっかり考え、利用者に不利益が及ばないように。
○かとうぎ桜子
今回のような、 緊急に対応が必要なことは、そうないかもしれませんけれども、 事故が起こる前に、 区としてサポートできることをしっかり考えて、委託をする場合にも当事者に不利益が及ばない対応をしっかり考えていっていただきたいと思います。