9月27日の決算特別委員会、保健福祉費で質問しました。

まず、放課後デイで個人情報の紛失が起きた問題について。

 

練馬区内で運営していたある民間の放課後デイサービスが、突然閉鎖されたという問題がありました。(こちら

医療的ケアが必要であるなど障害の重い子を受け入れていたところだったので、突然そこがなくなってしまったら、利用していた子たちの代替の支援もなかなか見つけられない状況になりました。

そこで、急遽、今年度は区立の子ども発達支援センターの中で、受け入れ先となる放課後デイを行うことになりました。対応してくれる事業者が見つかったので、そこに委託する形で今年度中は実施し、来年度までには他の受け入れ先を探すというものです。

 

そしてそれがスタートしたらすぐに、個人情報の紛失事故の報告がありました。

USBの中に個別支援計画の情報を入れて持ち歩き、そのUSBを紛失したというものでした。

 

障害福祉サービスを提供する際、その利用者の現状、「こうしていきたい」という目標、その目標を実現するために必要な支援をまとめる個別支援計画を作る必要があります。その計画は、大人のサービスならサービス管理責任者、こどものサービスなら児童発達支援管理責任者という、一定の実務経験があって研修を受けている専門職が作成します。作成するにあたっては基本情報を集めるとともに、本人や家族との面談を繰り返して作成します。作成したらそれを元にサービスを提供し、少なくとも半年に1回は見直しをする必要があります。

 

見直しの時には、今までの実際を踏まえてこれからどうするか、と考えていくのでまだいいのですが、最初に作るときはサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者も初めてその利用者に会ってほとんどすぐに作成しなくてはなりません。だから1人分作るのも大変ですが、特に今回の場合は、急に閉鎖された事業所の利用者を早く受け入れなくてはいけないという中で、いっぺんに12名分の計画をできるだけ早く作らなくてはいけなかった。

しかも、事情を聞くと、その児童発達支援管理責任者はここ専従だったのではなく、受託法人が元々やっていた事業所と兼務だったんだそうです。それで、元々やっていた事業所に移動する途中でUSBをなくしたらしい。つまり推測するに、元の事業所と新しい事業所と手が回らなくなってやむをえずUSBに入れて持ち出したのだろうなと。

複数事業所を兼務しないとならない状況ならせめて、個人情報を持ち歩くのではなくて、法人で事業所横断的に管理でき、個人情報の保護もしっかりできているクラウドで情報管理するなどをしたらいいんじゃないかと思ったのですが、区が委託をする場合、委託事業所の外に持ち出してはいけないというルールを定めているので、法人内の他の場所で見られるクラウド管理はできないのだそう。だったらなおさら、やむにやまれず持ち出さざるを得ないような働き方があったのではないかということを見直す必要があるのではないか。

 

こういうやりとりを常任委員会である保健福祉委員会でして、急遽受け入れ体制をとってくれた事業者が過度な負担にならないような区としてのバックアップ体制が必要なんじゃないかと指摘したら、部長が手を挙げて「働き方と個人情報の持ち出しはまったく別物で、やってはいけないルールは徹底しなくてはいけない」という答弁をしました。

それはもちろん、個人情報をUSBに入れて持ち歩くなんて、私もしないしやっちゃダメなのは大前提なんです。だけど、起きてしまったものをダメなもんはダメだ、で済ませていては再発防止にならない。なんでそんなことをわざわざ部長が手を挙げて言ったんだろうかと釈然としなくて、改めて決算委員会で質問しました。リスクマネジメントの基本って、原因を分析して事故が起きる要因を排除することではないですか?と指摘しました。

 

それに、大変な状況にある利用者の救済策に手を挙げてくれた事業者が、短時間で一生懸命準備してやっている中で、事故が起きてしまったことを、「ダメなものはダメだ」と言われたのでは、事業者が不憫でならないです。区がそういう対応をしていたのでは、そのうち協力してくれる民間事業者がいなくなりますよ・・・。

 

私も最近、非常勤でサービス管理責任者もやっていて、計画を作るのは大変だと思っているので、気の毒で仕方ない。

 

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リスクマネジメント研修を福祉従事者に行う意義は?また区の福祉事業の委託事業者や区職員もこの研修は受けるのか。

○かとうぎ桜子
福祉サービス人材確保・育成等経費で、福祉人材育成研修センターについて伺います。
研修センターで実施している研修の一つに、 介護福祉施設のリスクマネジメントに関する研修があります。
事故が起きたときに要因を分析する、あるいは、あらかじめの点検で事故を防止しリスクを低減させることが事故防止、 再発防止につながるという観点で、リスクを見逃さないことが重要であるという研修内容であると思います。
福祉従事者がこうした研修を受ける意義について、 区の見解をお聞きしたいのが1点です。
また、区が委託をしている福祉事業の受託事業者や福祉に従事する区の職員は、この研修センターの研修受講の対象になるのか確認したいのが2点目の質問です。
以上2点、 お答えください。

処遇を行う職員のみならず管理者向けに実施しており、事故防止の体制づくりに取り組んでいただくことが目的。委託事業者や区立施設も登録して研修を受けられる。
○高齢社会対策課長 
研修センターのリスクマネジメントに関する研修は、施設の処遇を行う職員はもちろん、 施設の管理者向けにも実施しております。こういったところに意義があると思っています。
例えば、事故防止の仕組みづくりですとか、体制づくりに取り組んでいただくことを目的として実施しています。
また、区の委託事業者に対して、 区立の施設であっても区内の事業所同様に研修センターに登録していただいて、研修を御案内しています。

個別支援計画の情報の入ったUSBを紛失した事業者に対して、個人情報に関する研修・指導はどのように行なっていたか
○かとうぎ桜子
先日の保健福祉委員会で委託事業者による個人情報の紛失の報告がありました。
これは、区内で突然閉鎖された放課後等デイサービスを利用されていた方の受入先を急遽確保するために区が委託をしてスタートした事業です。 
こうした緊急的な対応のため、事業の開始に当たって、 受託した事業者が12名分の利用者の個別支援計画を作らなければいけなかった。
計画作成を担当する児童発達支援管理責任者は、 受託した法人がもともと運営していた事業所との兼務だったため、そちらの事業所に行って作業をするためにUSBに情報を入れたという経緯だったとのことです。
事業者に対しては、個人情報に関する研修等の指導はどのように行っていたかお聞きします。

この事業者に限らず、委託事業者には契約の中で情報セキュリティーの確保について定めており、個人情報を扱う従事者に対する教育を行なった報告を求めている
○障害者サービス調整担当課長 
この事業者に限らず、区が委託する事業者に対しましては、契約の仕様の中に情報の保護及び管理に関する特記事項を付しております。 個人情報を取扱う際の手順を遵守するとともに、 情報セキュリティーの確保を図る措置を講じることを定めております。
具体的には、個人情報を取扱う従事者をあらかじめ定めまして、業務開始前にそれらの者にセキュリティー教育を行ったことを書面で区に報告していただくということを求めております。

ダメなものはダメ、ということでは再発防止にならない。改めて区の見解を。
○かとうぎ桜子
今回紛失してしまったのは個別支援計画ですけれども、計画をもう作ってあって、それを更新するということだったらまだしも、この児童発達支援管理責任者の人は、全く初めての利用者に対して12名分の新規計画作成をしなければいけない。
しかも、もともとの事業所の業務があるということで、駄目だと分かっていても、やむを得ず、間に合わないから持ち出したという背景があるのではないかと推測します。
保健福祉委員会では、こうした持ち出さざるを得ない状況を生み出さない事業者への支援が必要だったのではないかと指摘しました。 それに対して部長からは、働き方と個人情報の持ち出しは別物である、 やってはいけないことについてはルールを徹底しないといけないという趣旨の答弁がありました。
もちろん、 USBに個人情報を入れて持ち歩くのは、やってはいけないことではありますけれども、駄目なものは駄目だ、と言っているだけでは再発防止にはつながらないと思います。
リスクマネジメントの研修でも、事故を防止するには、「人がミスをしないように管理をするという発想から、人は誰でも必ずミスをすることを前提とした事故原因の除去に重点を置く考え方に切り替える必要がある」という観点で研修が行われていると思います。
区として、 起こった問題と背景を分けて考える答弁があったことに疑問を感じるのですけれども、改めて区の見解をお聞きします。

再度のセキュリティー教育、職員配置や業務分担の見直し、区との相談を密にするなど実施。
○障害者サービス調整担当課長 
もちろん、今回の事故の原因は分析して対応を行っております。
まず、 再度、 セキュリティー教育を全従業員に行いました。
あと、事故発生の背景の検証を行い、 例えば、法人内の他の事業所から従事する職員を配置することや業務分担の見直しなどを事業者に求めております。
また、これまで以上に、区との相談を密にしてございます。
ただし、個人情報の紛失事故が発生したという事実に変わりはなく、 こちらは許されるものではございません。 二度と同じことが起きないように、引き続きしっかり対応してまいります。

事故が起こる前に区としてサポートできることをしっかり考え、利用者に不利益が及ばないように。
○かとうぎ桜子
今回のような、 緊急に対応が必要なことは、そうないかもしれませんけれども、 事故が起こる前に、 区としてサポートできることをしっかり考えて、委託をする場合にも当事者に不利益が及ばない対応をしっかり考えていっていただきたいと思います。

決算の質疑2回目は、空き家対策と、いわゆるごみ屋敷に対する支援について質問しました。

空き家に関する相談会・セミナーの実施状況は?
○かとうぎ桜子

空家等対策経費に関連して伺います。

2023年度 24年度の協定団体と連携した相談会、セミナーの実施状況をお聞きします。

 

2023年度は3回94名、2024年度は現在の段階で2回73名。今年度は毎月無料なんで御相談会を開催、すでに5回21件。

〇環境課長 

開催状況につきましては、令和5(2023)年度が3回、参加者数は94名、令和6(2024)年度は、現在のところですが、3回開催を予定しておりまして、既に2回開催、参加者は73名です。

さらに、今年度から、無料空き家なんでも相談会を毎月開催予定で、既に5回開催しておりまして、 相談件数は21件です。

 

相談の傾向は?

○かとうぎ桜子 

ご参加された区民の方からは、どのような相談が多いのか、相談の傾向をお聞きします。

 

空き家の売却や解体、相続に関することなど様々。

〇環境課長 

各家庭によってお困り事の内容も異なります。

例えば、不動産分野では空き家の売却、 解体、それに関連して助成金がないかというお話であったり、法律分野では相続者間のトラブルであったり相続放棄などに関すること、様々なご相談を受けています。

 

長期入院や施設入所で、実質的に空き家のような状態になっている場合の保全は。

○かとうぎ桜子

先ほど他会派の質疑の中で、 高齢の方が亡くなって相続が発生して空き家になるという例が挙げられていましたけれども、住んでいた方が、長期の入院とか施設入所することで、完全に空き家になってしまったわけではないけれども、実質的に、数年間は人が住んでいない状況になる家も多いように思います。

完全に使わないとなれば売却するなどの対応もあると思いますけれども、 まだ処分はできないけれども、実質的に使っていないという物件の保全などについてはどのように捉えていらっしゃるか、お聞きします。

 

関係者の意向・希望を伺い、協定団体の情報提供、相談につないでいる

○環境課長

まずは相談者の方から、所有者の状況であったり、 親族、 そして、 後見人などがいらっしゃいましたら、 将来的にどのようなことを望まれているのか、まず、そこを伺いまして、 その要望に応じて、 協定を結んでいます6団体のパンフレットなどをお渡ししまして、 適切な相談機関におつなぎしています。

また、空き家の管理サービスの利用を御希望される場合につきましては、 サービス提供事業者の紹介を行っている東京都空き家ワンストップ相談窓口を御案内するなど、 相談者の御希望に沿った丁寧な情報提供を重要と捉えまして、取り組んでいます。

 

今使っていない物件についてのご相談を受けられる周知も積極的に。また、いわゆるごみ屋敷といわれる住まいの対応の現状は?

○かとうぎ桜子

既に完全に空き家になったところの処分だけではなくて、 今使っていない物件についてのご相談を受けられることの周知も、ぜひ、さらに積極的に進めていただけたらと思います。

練馬区内だと、売ろうと思っているけれども売れないということより、 完全な空き家ではないというケースの対応が重要になってくるかと思いますので、そういった点について啓発を進めていただきたいと思います。

次に、いわゆるごみ屋敷といわれる状況の住まいの対応について、最近の状況をお聞きします。

 

定期的に指導を行っている建築物は10件未満。課題を受け止めながら適正管理を呼びかけている。

○環境課長 

条例上の位置づけで認定している特定不良居住建築物を含めまして、区民の皆様からご相談いただいているところを含めますと、区が定期的に指導を行っている不良居住建築物は10件未満であります。

これらの不良居住建築物は、物品が堆積、散乱した状態、雑草や樹木等が繁茂した状態にあることから、所有者の方が抱える課題を受け止めながら適正管理を呼びかけまして、モニタリングを継続しています。

 

住んでいる方はもちろん、近隣の方々への支援もしっかり進める必要がある。考えは?

○かとうぎ桜子

そこにお住まいの方が安心して支援が受けられるように、丁寧な支援体制を進めていくこともとても大切ですし、併せて、ご不安に感じているお隣の方々への支援も重要だと思います。

空き家対策の一環として、不良居住建築物を位置づけた意義もそこにあるのではないかと思いますので、本人や近隣への支援をしっかり進めていただきたいと思います。

改めて、その点について考えをお聞きします。

 

ご相談があったら速やかに現場に行き、お困りごとを伺って対応している。

〇環境課長

今あったところですけれども、現場対応を行っている職員は、近隣にお住まいの方からご相談がありましたら、 速やかに現場に伺って、相談者や所有者の方からお困り事を伺いながら対応しているところです。

あとは、いわゆるごみ屋敷になりますけれども、近隣の方のご意見であったり、できることはしっかりやっていただきたいということで、 適正管理を求めるようにお願いしています。

様々な部署と関連しながら対応して、地域の良好な生活環境の確保に努めていくところです。

 

身寄りのない人も増えていく中で、困られる方は今後も増えると考えられる。相談先の分かりやすい周知も含め支援の充実を。

○かとうぎ桜子

一人暮らしの方が増える中で、 対応できる身寄りの方がいらっしゃらなかったりして、どこに相談していいか分からない方は、これからさらに増えてくると思います。

どこに相談できるのか、分かりやすい周知も含めて支援を充実していただければと申し上げて終わります。

9-10月の区議会定例会では2023年度の決算の審査をしています。私の質問内容をご紹介していきます。


9月26日は、産業経済費・環境費で質疑しました。今回は、農業における地球温暖化対策について質問した内容です。
 

昨年に続き暑い夏で気候変動を肌で感じる今、区民へどのように啓発を進めるか。

○かとうぎ桜子

地球温暖化対策推進経費に関連して伺います。

昨年に引き続いて、今年も夏はひどく暑くて、雷雨なども多く、 今までの夏とは違う、日常生活に影響があるような状況だったと思います。 気候変動を肌で感じるような状況だったと思います。何とか対策を進めなければいけないのではないかとお感じになった区民も多いと思います。

改めて、この機会に、地球温暖化対策で私たちが取り組むべきことについて、区民へ啓発を進めることも必要と思います。 啓発についての工夫など、この夏の状況などを踏まえ区としてどのように進めていくか、考えをお聞きします。

 
地域特性として家庭部門のCO2排出量が非常に多い。夏場の暑さを考える契機として今すぐできる家庭での省エネ対策を周知啓発している。

〇環境課長

練馬区の地域特性としまして、 家庭部門のCO2排出量が非常に多いということもありますので、区民事業者の皆様にとって自分事として捉えていただく機会が非常に重要と考えています。 その一つが、この夏場の暑さと考えております。

こういう機会を通じて実際の行動に移していただきたいということで、今年度も含めて、夏場の電力の使用量が増加する時期に併せて、 熱中症に十分配慮しながら、今すぐできるご家庭での省エネ対策をねりま区報や区のホームページでお知らせしているところです。

掲載内容につきましては、エアコン、冷蔵庫、 照明と、お子さんから高齢者の方でも具体的に取り組むことができるようなものとして、節電による経費や電力使用量の見える化を行っております。

また、見える化につきましては、区が実施しておりますエコライフチェック事業や、 東京都がやっています家庭での省エネハンドブックなどでも行っています。 引き続き、 区民や事業者の皆様が環境に配慮したライフスタイルを実践していただけるよう、しっかり周知啓発を行ってまいります。

 

昨年の夏の高温で農作物に影響が出ているという農水省の報告がある。区内の農家さんからの声は?

○かとうぎ桜子

地球温暖化対策として、 どのように寄与していくのかが分かりやすいような啓発の工夫をさらに進めていただきたいと思います。

昨年と今年の暑さや大雨で農作物への影響も言われているかと思います。環境保全型農業推進経費に関連して伺います。

農林水産省の資料によると、 昨年の夏の高温でお米の品質に影響があったり、 虫の害が多かったこと、 それから、他の果物や野菜には日焼けや生育不良などがあって、そういう中で効果のあった品種の更新や資材の工夫の取組なども示されています。

そこで、区内の農家さんから、温暖化の影響について寄せられた声や工夫していることなど、お聞きしていることがあればお聞かせください。

 

今年は降水量が多く気温が高い日も多かったので例年に比べ雑草が繁茂。夏野菜の収穫時期の前倒し。ぶどうの着色がしづらいといった声を聞いている。

○都市農業課長 

暑さによる農作物への影響や、その対応に関する農業者からの声です。

今年7月、8月は、昨年に比べまして降水量が多かったことや気温が高い日が続いたことにより、例年に比べて雑草が繁茂し、 除草作業を行う頻度が多い傾向にあり、また夏野菜につきましては、暑さの関係から成長が早まり、例年に比べ収穫時期が前倒しになるケースもあったと伺っております。

果樹で申し上げますと、例えばブドウにつきましては、例年に比べて着色がつきづらかったといった声をいただいております。

 

また、暑さへの対応といたしましては、 農作業を早朝や夕方に実施することや、夏の時期に種まきや苗を植えるキャベツやニンジン、ブロッコリーなどについては、できる限り時期を後ろ倒しにして芽が出るように対応を図っている旨を伺っています。

 

温室効果ガス排出抑制と実際に生じている被害の回避軽減が必要。東京都が実施している再生可能エネルギー利用促進等の活用状況は。

○かとうぎ桜子

これからも去年や今年のような状況が続くのであれば、どういう対応ができるのか、現場の方と一緒に考えていくことが必要になってくると思います。

農林水産省は、農業において温室効果ガスの排出を抑制するための緩和策としての取組と、 気候変動により実際に生じている影響からの被害を回避軽減するための適応策の取組の両面が必要と示しています。

排出を抑制するという観点では、東京都で再生可能エネルギー利用促進事業やハウス栽培における温室効果ガス排出削減事業を実施しているようですが、区内の農家の活用状況をお聞きします。

 

再生可能エネルギー促進事業は本年6月から始まり、区内2件が申請。温室効果ガス排出削減事業は2022年度4件、2023年度1件、今年度2件。 

○都市農業課長 

東京都で実施している再生可能エネルギー利用促進事業及び温室効果ガス排出削減事業の活用状況です。

はじめに、再生可能エネルギー利用促進事業です。

都では、本年6月、太陽光で発電した再生可能エネルギーの利用を進めるため、 太陽光発電設備等の設置と、 その電気を動力に活用する農業機器の購入費用の一部を助成する東京農業における再生可能エネルギー利用促進事業を開始しました。区内では2件の農家から申請されておりまして、 現在、都で申請されております。

 

次に、温室効果ガス排出削減事業です。

都では、ハウス栽培を行う農業者が温室効果ガスの排出が少ない設備であるヒートポンプを導入する取組に要する費用を助成する、 ハウス栽培における温室効果ガス排出削減事業を令和4年度から開始しています。

区内では、令和4年(2022)度に4件、令和5年(2023)度に1件の農家が本事業を活用しています。

今年度につきましては、 2件の農家から申請されておりまして、 現在、都で審査されています。

 

練馬区としての支援は?

○かとうぎ桜子

練馬区としては、省エネ設備の導入支援など、 農家への支援をどのように取り組んでいるのか、伺います。

 

有機肥料、ミスと発生装置、遮光カーテンなどの補助を実施している

○都市農業課長

区では、 環境保全型農業を推進する農業者への支援といたしまして有機質の肥料や有機質の堆肥などの農業資材の購入に要する経費の一部について補助を行っています。

また、近年の気候変動への対応として、 農園内に設置するミストの発生装置や、 ハウス内の温度の上昇を抑制する遮光カーテンなどの導入経費の一部について補助を行う制度を設けておりまして、区内の農業者に活用いただいています。

引き続き、区内農業者への環境に配慮した支援も行いながら、 都市農業の振興に取り組んでまいりたいと考えております。

 

都市農業という特性の中での地球温暖化対策については区が率先して検討・支援を進めてほしい。

○かとうぎ桜子

先ほどご説明いただいた東京都の事業については、再生可能エネルギーは今年度からで、募集の期間も短かったりしたとお聞きしましたので使いやすい支援制度になるように東京都に求めるとともに、 練馬区でも工夫していただけたらと思います。

 

日本全体を考えたときに、農地が多い地方の地域と比べて、都市農業という特性を考えると、いろいろな機材を置くのにどれだけスペースを使えるかというところで、また地方とは違う支援が必要になってくる部分があるかと思います。 練馬区として何ができるかということ、地球温暖化の影響が農地の減少につながらないように、 都市農業における地球温暖化対策という観点での対策を検討していただきたいと申し上げて、次の質問に移ります。

2024年11月9日(土)午後2時~4時

特別養護老人ホームさくらヶ丘(練馬区大泉学園町5-30-36)

 

2018年3月から2020年1月まで10回にわたって、定期的に介護の勉強会をしていましたが、コロナ禍になり、休止せざるを得なくなってしまいました。

昨年は久々の会として「コロナ禍と介護」というテーマで勉強会をしましたが、なかなか現場を見学させていただける機会も持てないままでおりました。

今回は久々に特別養護老人ホームにお邪魔してお話をお聞きします。

介護が必要になった時、どんな種類の入所施設があるのか、また特に今回の勉強会の会場でもある特別養護老人ホームはどんなところなのか、スタッフの方からお話をお聞きします。

コロナの感染拡大がなければ施設内も見学させていただけるかもしれません。

 

お申し込みはこちらからお願いします。

会場の都合上、お席に限りがありますので、お早めにお申し込みください。定員に達し次第締め切らせていただきます。

 

6月の区議会で出てきた議案の中に、区立デイサービスである高野台デイサービスの認知症対応型通所介護を廃止するという議案がありました。

 

高野台デイサービスは一般のデイサービスの定員が48名で登録人数が119名認知症対応型のデイサービスが定員10名で登録人数が14名。7月から改修工事のためいったん休止になります。

2025年4月に再開後、一般のデイサービスの定員を30名に減らして、空いたスペースに地域包括支援センターと街かどケアカフェを設置、認知症対応型デイサービスについてはこの休止の段階で廃止するというものです。

 

今まで一般デイ利用登録をしている119名のうち、6月中旬の段階で88名がほかのデイサービスの移行を希望し、

同じ法人の運営する豊玉南のデイサービス 31名

他の区立デイ 3名

そのほかの民間デイ 50名

認知症対応型 1名

検討中 3名

という状況だったそう。

 

また、認知症対応型の登録14名のうち

豊玉南 3名

民間の一般デイ 2名

認知症対応型 8名

在宅で介護が 1名。

 

 

ここで、それぞれのデイサービスの説明を少し書きます。

利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施し、一般のデイサービスと地域密着型の違いは定員数です。職員配置基準などは同じ。

認知症対応型の場合は、管理者に研修を求めたり、職員配置が手厚いなどの違いがあります。

〇一般のデイサービス:定員が19人以上のデイサービス

〇地域密着型:定員が18人以下(要支援の場合利用不可)

〇認知症対応型:定員が12人以下

認知症の利用者を対象にした専門的なケアを提供するサービスで、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう支援する。管理者が専門の研修を受けている必要がある。

 

 

(社会保障審議会 介護給付費分科会2020年7月20日資料1より)

 

 


上の表は事業所数の推移ですが、練馬区が発行している「ねりまの介護保険」や「ねりまの福祉」という冊子を過去に遡ってかとうぎが調べました。(定員19名以下の受け入れである小規模なデイサービスが地域密着型と位置付けられたのが2016年からなので、それ以前と以後でカウントのしかたが少し変わっています)

 

これより以前のものを見つけられませんでしたが、私が議員になった頃(2007年)から、練馬区だけではなく高齢者のデイサービスは多くなっていたように記憶しています。私が議員になる前、デイサービスで働いていて、数が多いから運営が大変だなと思った記憶がありますので。

しかしこの5年ほど、減少傾向にあるのが見てとれます。特に地域密着型と認知症対応型という少人数のデイサービスが減る傾向にあります。もともと競争が激しかったところにコロナ禍での利用控えで運営が厳しかったところも多いのではないでしょうか。

 

  

こちらは先ほどもご紹介した社会保障審議会の資料で、地域密着型通所介護や認知症対応型通所介護が減少傾向なのは全国的に見ても同様といえます。

 

 

区立のデイサービスは現在8か所あります。

「区立デイサービスができたのは介護保険ができる前後の頃で、介護保険開始時は区立を含めデイサービスが20しかなく、利用したくてもしづらい状況の中増やしてきた経緯がある。現在は認知症の人が利用できるサービスの選択肢も、小規模多機能型(15か所)看護小規模多機能型居宅介護(8か所)やグループホーム(39か所)など増えてきており、一般のデイサービスでも認知症の人や介護の度合いが重い人を受け入れた場合の報酬加算などもできて、従来区立が果たしてきた役割も終わりつつあるから、今後区立デイサービスは順次廃止する」というのが区の考え方です。

 

重度の人への対応や認知症への対応、コロナ禍で求められたきめ細かな対応などは、民間でも同様に対応してきている状況の中、私は、区立のデイサービスが役割を終えて閉じていくことは仕方ない面もあるのではないかと、基本的には思っています。

 

でも特に認知症対応型についてはどうだろうか。

高齢者人口、要介護認定者の人口も増えているにもかかわらず、認知症対応型は民間でも減少傾向にある。利用率は5割程度。その理由を問うたところ、「一般のデイサービスよりも高いために利用者負担額が大きい」「認知症という名称がついていることから本人・家族に抵抗感がある場合もある」という答弁がありました。それは確かにあるとは思いますが、だからといって利用が少ないから減らすということではなく、まずは少人数で手厚く専門的な対応をすることのできる認知症対応型デイサービスの良さを啓発し、活かしていく取り組みを区が率先して行うことが必要なのではないかと感じました。

 

あと、私は、このところ小規模なデイサービスが減っていることは憂慮することと考えています。

どんな場だったら自分が自分らしくいられるか、というのは、人によって様々だと思います。40名以上など、たくさんの人がいて、その中でいろんな人と友人になったりお話できたり交流することが楽しいという人もいるでしょうし、少人数でじっくり関係性を作るほうが良い人もいるでしょう。

例えば私などはあんまり人数が多いのは得意でなくて、あまり話せずしょぼんとしてしまうので、学校のクラスで友達を作るのが苦手で、卒業して再会して個々にお話しできてやっと友達になるということが多いので、高齢者になってデイサービスに行くなら少人数が良いと思っているんですが。私が働いていたデイサービスも少人数のデイサービスだったので、例えば視覚障害がある人に対して配慮した声かけをしたり、利用者同士でも気配りし合ったりすることができていました。個別性の高い支援をするには少人数のほうがしやすいという面があると思います。

 

区は、小規模多機能型などの選択肢も増えていると言います。たしかに小規模多機能は、泊まり、通い、ヘルパーを同じ事業所で利用できるので、認知症の人にとっては安心して使いやすいと言えると思います。さらに看護小規模多機能型なら看護師の支援もあります。しかし、これも利用率が上がらないのが課題で、改めて利用率を聞いたら、なんと認知症対応型と同程度の5割程度だというのです。これでは、代替サービスが充実したとはいえない。むしろ、認知症の人は増えているのに、本来適しているサービスにつながれていない人が多いと考えられるのではないでしょうか。

 

また、グループホームも代替サービスのように説明していましたが、デイサービスと小規模多機能は通所系(つまり、自宅から通って利用するサービス)だけどグループホームは居住系(つまり自宅から住み替えるサービス)で、どちらかがあれば良いということではなく、本人・家族の主体的な選択によって選ぶものなのだから、グループホームが増えればデイサービスは要らないというわけではないので、なぜ並べたのかなと思いました。

 

こうして考えると、高齢者も増え、介護が必要な人、特に認知症の人が増える中で、認知症対応型デイサービスは残すべき。例えば改修が終わった後に、定員を減らしてでも一般デイと併設させる形での認知症対応型を残すべきだったのではないかと思います。

 

今回の議案を検討する中で、区立だからと一律に廃止と決めるのではなく、その果たしてきた役割や事業の持つ性格を考慮した対応をすべきであると思いましたので、この議案には反対をしました。