所長の伊藤直孝です。
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「速く編むにはどうしたらいいですか?」
「編むスピードを上げるコツはありますか?」
たまたま、先日同じ日にこのような質問を受けました。
きっと多くの人が知りたいと思うことであり、そして答えるのがとても難しいことだと思います。
編み物、ここでは手編みに話を限定しますが、どういう操作をしているかということを確認してみます。
まずは棒針編みは、右利きの場合、左針にかかっている編み目に右針を入れ、糸を右針にかけて編み目から引き出し、編み目を右針に移動させる、という操作です。
かぎ針編みは、必要に応じてまずかぎ針に糸をかけ、編み入れたいところにかぎ針を入れ、糸をかけて引き出し、そこからは編み目の種類によって糸をかけて引き抜くなどの操作を経て、最後にかぎ針にループが1本かかる状態にまで持って行く、というものです。
どちらも、大まかに言うと、①針を入れて、②糸をかけて、③引き出す、という動作に分割されます。
この3つの動作のスピードをいかに速くできるかが、全体として速く編めるようになるかの鍵となります。
複雑な模様を編む場合を除けば、手編みはこの3つの動作をいかに一定の加減で正確にできるか、ということがポイントとなります。
ということは、まるでスポーツや楽器演奏の基礎運動のようなものです。
ですから、あくまで個人的な意見ですが、速く編めるようになるには、この基礎運動がメカニカルにできるようになること、つまり基礎練習が重要になってくると考えられます。
例えば、陸上競技でいえば腿上げ練習や腕振り練習、野球で言えば素振りやキャッチボール、サッカーで言えばパス練習やリフティング練習。
楽器演奏で言えば音階練習、アルペジオの練習、レガートとスタッカートの練習、リズム練習…
あぁ、こんなこと言うと、楽しくない、この無味乾燥な練習のせいでスポーツや楽器をやめた、なんて声が上がってきそうな気がします。
まぁだからここで、速く編めるようになりたいのはなぜか、ということを考える必要があると思います。
たとえば、ニッターの仕事をする人が、納期を守ってたくさん仕事をこなしたいという理由で速く編めるようになりたい、ということがありえます。
あるいは、デザイナーや作家がとにかくスワッチ(試し編み)を速くたくさん編んで、デザインをたくさん提案できるようになりたい、ということもあるでしょう。
一方で、編み物を楽しみたいから速く編めるようになりたい、というのは、一方では成り立つし、一方ではちょっとした矛盾をはらんでいるような。
たくさんのものを編んで、編み物を広く知りたい・体験したいというのならわかります。
ただ、丁寧な手仕事としての手編みの操作そのものを味わいながらというのであれば、むしろ速く編むというのは逆行することもありえます。
だから、なぜ速く編めるようになりたいのかをある程度はっきりさせないと、そのための努力が無駄になるというか、手段と目的がごっちゃになるような気がします。
さて、先述のように、速く編めるためにはある程度は無味乾燥な練習というものを経なければならないと私は考えます。
さらに、個々人に合ったスタイルや姿勢というのも見出さないといけないと思います。
それはこういうやり方でやればよいと一概に言えることではなく、個々人の手や指、腕などの構造やクセの違いによって人それぞれでしょう。
スポーツや楽器演奏だってそうですよね。
たとえば長距離走だと、ストライド走法(歩幅を大きく取り、少し飛ぶように走る方法)がいいのか、ピッチ走法(あまり歩幅は大きくせず、上下動をなるべくしないで走る走法)がいいのか、あるいはかかとから着地するのがいいのか、つま先から着地するのがいいのか、などいろいろスタイルがあります。
ピアノで言えば、手指を卵を持つように曲げて指先で鍵盤を捉えて弾くのがいいのか、指を伸ばし気味にして指の腹で鍵盤を捉えるのがいいのか、あるいは姿勢は背筋を伸ばして整然と弾くほうがいいのか、少し屈んで身体を揺らしながら感情を込めるようにするのがいいのか、など。
手編みも、それはそれはいろいろな人がいろいろなやり方・スタイルで編んでいるわけです。
こういうやり方で編まなければならないというのはあまりなく、それぞれが自分に合ったやり方を見つけて編んでいます。
私自身も、まぁたぶん昔からやっている先生方が見るとけしからんと思うかもしれませんが、たとえば棒針編みのときは(私は右利きフランス式です)、左手人さし指にかかった糸は人さし指の先を手前に曲げて右針に反時計回りに巻きつけるようにしてかけて表目も裏目も編んでいます。
2本の針も、ほぼ90度の角度を保って、右針は左針の編み目にほぼまっすぐ挿して、糸を巻きつけて、ほぼまっすぐ抜くような感じで編んでいます。
しかも、行儀が悪いと言われるかもしれませんが、私は右ひじを机またはいすの肘掛けについて編むことが多いです!
たとえば仕事で十数時間ほぼ連続で編まなければならないときなどは、こうしていないと動作が安定しないんです。
ちょうどね、右手が固定されるので、右針を抜き差しするような私の編み方だと、右ひじをついたほうが安定するし疲れにくいんです。
だからまぁ、冒頭の質問に対する私の回答としては、まずスタイルを探る、そしてスポーツや楽器演奏のように動作練習をひたすらくりかえす、ということになります。
1に練習、2に練習、3,4も練習、5も練習。
こうして運動神経や感覚を鍛えつつ、たくさん編んで慣れること。
絶対的な方法があるわけではない。
(ガムシャラな練習なしにうまく速く編めるようになるスジの良い人もいますが)
こんなふうに書いちゃうと、編み物を楽しみたいという人はどう思うか。
うまくなりたいという人の中には、こういう無味乾燥な側面も受け入れる人もいるでしょうし、そこまでしてやりたいと思わないと言う人もいるでしょう。
なので、速く編みたい、うまくなりたい、楽しみたい、味わいたいなどという願望のポートフォリオ(何がどれぐらいの割合を占めるのか)をしっかり思い浮かべることがまず必要なのかもしれないですね。
究極のところ、速く編みたい願望が100%であれば、手編みではなく機械編みをすればいい話です(もちろん、機械編みではできない(やりにくい)技法というのはありますけれど)。
手編みで何をやりたいのか、成し遂げたいのか、そのあたりを、ちょっと立ち止まって考えてからいろいろ追求するのがいいのかな、なんて思ったりします。
きっとね、手編みって時間がかかるから、なんだかもどかしいというところから冒頭の質問は来ていると思うんですけどね。
たしかにそうなんだよなぁ、手編みは時間がかかる。
それがいいところでもあり悪いところでもあるんだけど…
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1) 銀座の編物教室(金曜日月2回、日曜日月2回)
銀座の会議室を借りて講習をします(最寄り駅:銀座一丁目駅、京橋駅、宝町駅、銀座駅など)。
この記事をアップした時点での残席状況
3月1日(金)(午前満席、午後2)
3月10日(日)(午前2、午後2)
3月24日(日)(午前1、午後1)
3月29日(金)(午前満席、午後満席)
※)3月の金曜銀座教室は、変則で第1・第5です。
金曜日は午前の部10:15~12:45、午後の部14:00~16:30
日曜日は午前の部10:00~12:30、午後の部13:30~16:00
詳しくはこちら
2) 東京都区内の編物教室(月1~2回程度)
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3月2日(土)東新宿会場(午前満席、午後3)
3月16日(土)東新宿会場(午前2、午後2)
午前の部10:00~12:30、午後の部13:30~16:00
基本事項は銀座教室と同様です。
※)東新宿会場は靴を脱いでスリッパで入室していただきます。
※)東新宿会場へは必ず東新宿駅A3出口のエレベーターからアクセスしてください。ここからなら横断歩道も交差点も渡らずに済みます。これ以外の出口から出ると道に迷いやすいです。
3) 佐倉の編物教室(月1~2回程度)
地元・佐倉の貸しラウンジで編物教室を開講します。
「さくら住建」のSAKULOUNGEまたは別館リビングで行います(最寄り駅:京成本線志津駅)。
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3月6日(水)ラウンジ(午前満席、午後満席)
3月27日(水)ラウンジ(午前1、午後満席)
※)2024年3月の佐倉教室は変則で第1・第4です。
午前の部10:30~13:00、午後の部14:00~16:30
※)別館2階リビングは靴を脱いでスリッパで入室していただきます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。