アメリカとイランの間で停戦が合意されて、戦争終結に向けて協議が進むことが期待されましたが、1日は熱心に協議したものの、その後は物別れとなってしまいました。アメリカのトランプ大統領が表明していた停戦期限が到来する直前で、トランプ大統領が停戦を延長すると表明しました。
停戦期限の直前までトランプ大統領は激しい言葉で攻撃再開を示唆していました。しかし、トランプ大統領のことだからどうせTACO(Trump always chickens out:トランプはいつもヒヨってる)だろうとの見方がありました。停戦は良いことですが、恫喝するような発言はいただけません。
結局、大方の予想と期待の通り、何の進展もないまま、停戦を延長することになりました。
アメリカ・トランプ大統領が言っていた当初のイラン攻撃の目的は、以下の4点でした。
①イランにおける体制転換による親アメリカ政権の樹立、
②イランによる核兵器開発の中止と廃棄
③弾道ミサイル開発の阻止
④中東における親イラン勢力(ヒズボラ、フーシ、ハマス)への支援の停止
これまでのところ、多くの無辜の市民を殺戮し、アメリカ国民の税金を浪費しながらも、何一つ達成できていません。
一方で、今回の停戦合意の中でアジェンダには以下が含まれていました。
1)イランによるホルムズ海峡の管理(航行許可、通行料徴収)
2)対イランの経済制裁の解除
これら2つはアメリカとイスラエルによるイラン攻撃の前にはなかったアジェンダです。イラン攻撃をしたことで、新たにアジェンダにあがったということはイランにとってはプラス材料です。アメリカにとっては、軍事的戦術的にはイランの最高指導者であるハメネイ師を殺害したことから勝ったといえるかもしれませんが、戦略的にはイランが新たに勝ち取ったといえるでしょう。
今後の展開は、予断を許しません。イランにとってはオバマ政権下のアメリカと2015年に合意した内容から譲歩する理由はありません。トランプ大統領にとっては2015年合意から更に有利な条件を勝ち取らなければ何のための攻撃だったからということになります。結局、交わるところがないということになります。そうなると、ホルムズ海峡の閉鎖は続き、世界経済は厳しさを増すことになります。
イランにとっては合意を急ぐ理由はありません。トランプ大統領は11月の中間選挙が迫る中で、ガソリンをはじめとする消費者物価の上昇は政治的に耐えられないことから、早く合意をえるべく焦っているようにみえます。さらに、和平交渉の当事者ではないものの戦闘の当事者であるイスラエルは、戦闘継続を狙っていて、和平交渉の邪魔をしようとしています。
以上の状況を踏まえれば、簡単には和平交渉はまとまりそうもありません。
東京証券取引所の株価は史上最高値を更新しましたが、楽観にすぎるのではないかと心配になります。
特に心配なのがトランプ大統領の立ち振る舞いです。発言内容がコロコロと変わるので、信頼できなくなります。イランにとってみれば、約束してもスグに破られるのではないか、と懸念するでしょう。そうすると、交渉どころではなくなってしまいます。交渉の前提として、冷静さを取り戻し、信頼を醸成することで、和平交渉を前向きに進められると考えます。
日本は交渉の当事者ではありませんが、ホルムズ海峡の閉鎖継続によって甚大な悪影響を受けます。和平交渉を後押しする取り組みを進めることを提案します。