本日(5月24日)、先週に続いて衆議院の経済産業委員会で質問しました。先週は、不正競争防止法等改正案(知的財産権法一括改正案)について質問でした。本日は、中小企業保険法改正案と商工中金法改正案の一括審議でした。桜井は、商工中金法改正案について取り上げました。
まず、政府保有株式の売却の手順について、確認しました。商工中金株は株式市場に上場されてはいませんが、民間保有分の1,170億円分(簿価)については野村證券の店頭で取引はされています。この数年の取引価格は、簿価100円の1株が173円で推移しております。ここに政府保有株の1,016億円が放出されると、需給バランスが崩れて値崩れが起きるのではないかと懸念します。こそで、政府保有株の売却で値崩れはおきないのか、値崩れしないような売却の進め方はどのようなものか、質しました。答弁は、「売却方法は審議会等で審議して決める」「購入資格者の範囲を広げることで買い手を増やす」でした。2年以内に売却と明記しているので、本当に大丈夫なのか、心配です。
こういうと対案はないのか?とスグに言われますが、桜井にはコレで大丈夫という名案は思いつきません。
が、セールス・ポイントとしては、1株に対して最近は3円の配当が支払われていますので、3円/173円=1.7%の利回りになります。取引価格が安定しているという前提に立てば、定期預金よりもはるかに有利ということになります。この点をアピールして販売促進を図るということです。ですが、「取引価格が安定している」という前提をすっ飛ばして、単に「定期金利よりも有利」と言って販売促進してしまうと、別の問題があります。理論上、値崩れするリスクはあるのですから。
結局、2年という期限を区切ったことで、値崩れしないという前提が弱くなってしまいます。もしかすると、2年の期限がせまるころになって、政府は「やっぱり無理でした」と言って期限を延ばすのかもしれません。これはこれで、政府の言うことはアテにならない、という信用問題になります。
また、経済産業省等から商工中金への天下りについても取り上げました。かつては、理事長=経済産業省事務次官、副理事長=財務省出身者という指定ポストでした。現在、社長と副社長は天下りではありませんが、専務=経済産業省、常務=財務省というように少し目立たないようにして天下りポストはキープしています。国家公務員出身者を受け入れるとしても、執行役ではなく、社外取締役ではないのか、と桜井から指摘しておきました。
また、商工中金から融資している事業会社への天下りについても取り上げました。特に今回の法改正で100%出資が可能となることから、天下り先を確保するために出資するというようなことが起きるのか、天下りがいる事業会社に対する審査は甘くするのか、質しました。こういう質問の仕方をすれば、「そんなこと、ありません」という答弁になります。ということで、この答弁の通りにしていただきたいと思います。
加えて、地域金融機関との連携と民業圧迫の定義について、民間金融機関が危機対応業務を受けない理由について、危機対応と一般業務の勘定の区分けについて、テクニカルな質問をしました。
商工中金法の改正は、一般の方々の生活には関係なさそうに思われるかもしれません。ですが、まちの中小企業への融資ですので、この融資が円滑に行われるか否かは、まちの景気にも影響します。特に、新型コロナウイルス感染症やリーマンショック、東日本大震災などの危機的状況に陥った場合には特に重要です。いざというときのために、まちの経済を支える備えを整えておく。そうした観点で、法案を審議しました。