前回のブログ↓
よろしかったら合わせてご覧下さい。








「あいつはめちゃくちゃ威厳が無かったんだけど『龍』だったんだよ。『龍』と言うにはあまりにも威厳がなさ過ぎたんだけど」



ある時、弟が唐突に言ってきた事がある。



「あいつって?」

「クソ野郎(父親)」



私達兄弟にとって残念ながら、今生において、父親という存在はトラウマレベルの毒親であった。

まるで、理不尽の塊のような存在であった。

幼い頃の私達にはその存在は脅威でしかなかった。

私も弟も精神的にもかなり追い詰められた幼少期を過ごした。




その頃の思いを書いたブログです↓




私には父親という存在はいないと思ってから、もう20年以上が経過しようという頃に、唐突に弟が言ってきたのだ。


「龍っていっても、全てが神様として崇められている訳ではなくて『千と千尋の神隠し』に出てくる『祟り神』や『腐れ神』みたいなのだっているんだよ。あいつはそっちだったみたい。
ずっと『なんでもっと人間共は自分を敬わないのか?』って思っていたんだよ。

だから、すぐに大声で怒鳴り散らしたのは『咆哮』の名残りだったんだ」


「なんでそんな事がわかる?」


「前に見た。龍だとわからなかった。なんか風船みたいだった」


弟は、普段は「残念な弟」なのだが、不思議な力があるようで、たまに突拍子もない事を言い出す。
だが、最近わかった事だが、どうやら弟の中の人(というか魂は)宇宙人の様なのだ。

宇宙人の感覚と我々の感覚は、似ている様でも少し違うらしく、弟は場合、それが「霊感の強い人」の様になっているようだ。


弟についてのブログです↓
ご興味があれば是非ご覧下さい。



それにしても威厳がないとはいえ、なぜ龍なんかが関わっていたのだろう?


こだわるつもりは無かったのだが「威厳のない龍」という言葉が引っかかっていた。



そして、気づいた。
いや、思い出したというよりは「思い出された」という感じだった。




あ!



もしかして…






私は過去世の中で、領主や王といったその土地を治める立場の存在だった事が多々あった


そういった過去世の中で、ある時私は、領土を広げる為に土地の開拓を領民に命じた。

その開拓地には、人々に忘れられていた沼があった。

私はその沼を埋め立てる様に命じた。


こういう沼には『主』がいる。
むやみに埋めると祟られる。


と言う領民達に、


これは命令だ!
私が命じている!
そんなものがいるならば祟るのはこの私にだろう!!
埋め立てろ!


と、一喝して埋め立てさせた。


私は絶対者だったのだ。



でも、





居たのだ




主は居たのだ。


それが威厳のない龍だった。


その龍は、自分の存在より私の命令の方が領民達にとって絶対だった事を怨みながら、歯軋りしながら沼に埋め立てられたのだった。






そういう事か…








私は祟られているのだ。



そう気付くと、すべてが納得をした。

馬鹿げていると思われるかも知れないが、その祟りは今も続いている。


そう考えると、父親との関係も全て腑に落ちるのだ。


だから、父親はあんな事を言ったんだ。
だから、あんな事をしたんだ。
だから、あんな態度をとったんだ。



だから、あんなにも私の全てを否定したのか



最も人間関係において、有意な立場でいれる「父親と子」という関係で、


俺は絶対に正しい!
俺に絶対逆らうな!
俺の言う事は絶対だ!


お前は何にも出来ないくせに
生意気だ!




だから、あんなにも私を否定したんだ!




弟に言わせると私もウォークインらしい。

私はその自覚はないが、聞いた話だと、私も出生時、予定日の前日にどんどんと心音が小さくなっていて、

これはマズイ!!

と、急きょ分娩になったらしい。

もし、弟の言う通りなら、本来生まれてくる筈だった○○子ちゃんはあの時亡くなり、代わりに私が生まれたのかも知れない。

あいつの祟りで「親子関係」として今生をスタートする為に…。


だとしたら、全てが納得する。





そうか




祟られているのか…。





私の過去世は結構殺される事が多いのも、そのせいか?


まぁ、いい。

逆に、それならば全てが納得した。










なぁんだ。

祟られているのなら、当たり前だ。




これは全て私の妄想。
ありえないと思われるかも知れない。


でも、私の魂は再び納得をした。





そして、あいつは遙か昔の恨みに囚われて
未だに




『祟り神』




として無駄に生きているのだ。





無駄





そう思ったら、なんだか気が抜けて、どうでも良くなった。






もういい。

父親の件は許そう。




無駄に生きている奴に付き合っても、それもまた「無駄」なのだ。



なんだか気持ちが軽くなった。


もういい。
カラクリがわかった分、私の勝ちだ。

過去に囚われず、今を生きている者の勝ちなのだ。








それからしばらくして、父親が死んだという知らせがきた。



あぁ、そうか。


と、それ以上の気持ちはわかなかった。


弟も私も特に葬儀に出る訳もなく、全てを放棄した。



そして、いつも通りに出勤して、ロッカー室に入って目にした名札に一瞬息をのんだ。




そこには父親と同姓同名の名札があった。

しかも、漢字まで同じだった。



入ってすぐのロッカー。

今まではこの名札はなかった。  




「こんなとこまで追いかけてきやがったのか?」




思わず、声が出ていた。



「でも、もう終わりだ!
全てを知った。俺の勝ちだ。」







名札は1週間もしないうちに、いつの間にか違う名前に変わっていた。