SUMIKA Project 見学レポートその3 | 在りし日の日記

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建築の企画展や展覧会、国内外の建築名所巡りの感想などを中心に 趣味や身の回りの出来事などを書いていこうと思います。


星が丘用地の2作品の見学を終えて、次はここから徒歩で約5分の清住用地に建設された藤森照信さんの「コールハウス」です。

これまでに「タンポポハウス」「ニラハウス」「一本松ハウス」「焼杉ハウス」といった驚きの住宅作品を手がけた藤森先生が、今度はどんな住宅を出現させるのか、今回の見学で一番楽しみにしていた作品です。







2年前に完成した「焼杉ハウス」と共通点が多い「コールハウス」
「コール」は「チャコール(杉を焼いた炭)」からとった名称。
大きく開いたガラス張りの開口部がこの住宅のテーマである「洞窟」をイメージさせています。





建物本体以外のエクステリアにも見所があります。
焼杉が張られた塀に取付けられた銅製のポスト、かばん型のレトロなフォルムで焼杉に良く合っていますね。
オーダーメイドかなと思ったら、こちらは既製品のようです。





インターフォンカバーも銅製





藤森先生が好んで使う「栗の木」の水栓柱







九間(ここのま)と呼ばれるリビング・ダイニング
3間×3間の正方形で18畳あります。日本の古建築に多くみられるサイズで、日本人の身体感覚や生活に最もよく馴染む空間の広さだということです。
天井の形も外から見たガラス面の形と同じで、床は洞窟感を出すため20cm程度下がっており、壁際で勾配が付けられています。実際、床にべたっと座ってみると、視線の位置が下がって落ち着いた気分になりました。
仕上げ材は、壁・天井が藁入りの漆喰塗り仕上げ、床は栗の無垢材が「大陸張り」という工法で貼られています。
1階はこの部屋を中心にしてサニタリーなどの諸室が囲むように配置されています。





玄関から九間に入る扉は高さが低く抑えられていて、腰をかがめながらでないと入れません(^_^;)
まさしく洞窟に入っていく感じですね。





収納の扉を開けてみると、中にはテレビが。
洞窟の中に似つかわしくない家電製品は、使うとき以外は隠してしまおうということなのでしょう。
TV収納の扉にはガススプリング付きのスイングサイドヒンジを採用してありました。





大きく開いた洞窟の奥には暖炉の火が燃えています。
炎が薪ストーブのようですが、実はガス暖炉(カナダ製)とのこと、中央の取っ手の付いた部分を外すと石釜があり、余熱でパンなどを焼くことができます。





藤森先生自らが選んで伐採し、加工もしたという赤松の柱
「太鼓挽き」という方法で仕上げられています。





カーテンレールはナイロン線一本
カーテン用の収納ですが、扉を閉めた時にこのナイロン線をどの様に納めるのか・・・扉に切り込みを入れて解決していました。
シンプル イズ ベストという感じです。(^_^;)





ガラスは柱に溝を入れてコーキングで納めてありますが、そのコーキングの上にテープ状の薄いコルクが貼られていました。





キッチンはオーソドックスなI型のプラン





2階の主寝室
実際は中2階の位置なので、1階の天井型の勾配がそのまま壁に現われています。







部屋の1/3近くが勾配のついた壁で占められ、普通の市販ベッドを2台置くスペースはないので、造り付けのベッドが設置されていました。





主寝室から茶室へのにじり口
茶室の床仕上げは籐張り









茶室へのアプローチには客人用の貴人口もあり、外部から はしごを使って入ります。
上がってみたかったけれど、見学時間切れでダメでした。





2階の子供室へ上がる はしご式階段
大人が簡単に上がれないように、はしごにしてあるとのことです。





子供室の様子