庭の山椒(さんしゅう)の木 鳴る鈴かけてヨーホイ
鈴の鳴る時ゃ 出ておじゃれヨー
折角だから、ひえつき節を一節唸ってやったのに
観客からの拍手は無く
さくらは舌を出して首を振っていた。そんなにひどかったかな~
さっきの歌が堪えたのか、そっぽを向いたまま
ジイチャンは出会った名も無い滝に癒される
山の中に集落が現われた。
人家を見るとホッとする。深夜に里の灯りを見たときなど格別だ
ここは鶴富屋敷の手前で見た標識の大河内という地区だろう
小さな集落だったが、河内の文字と美しい桜が印象に残った
国道は大河内の集落を離れて再び山中へ
崖が崩れて尖った落石がゴロゴロしている。
今どきの車はスペアタイヤを積んでいないらしいけど、
こんな道でパンクでもしたらどうするんだろう
出会う車なんかほとんど無かったし、携帯も繋がらないし
なんて、他人様の余計な心配をしながら、走り続け
助手席の相棒を見てみると
この橋を渡って左折し綾北川沿いに下ったら、
リバーサイドのホテルまで一本道だ。
早く風呂に飛び込みたい♪♪
えっ、何これ
ナ、ナンヤトー
もっとずっと手前に書いとかんかい
目を覚ましたさくらも口を尖がらせている
あと30キロほどでホテルに着くハズだったのに、80キロに延びた。
しかも曲がりくねった落石だらけの細い山道。
峠が好き、なんて云ってる場合じゃない。
ガソリンは何とか持つが、到着時間は2時間ほど遅延する。
ホテルに連絡しようにも山奥過ぎてしばらくは圏外
責任者出て来い!
と叫んでみるが、こだまも帰って来ゃしない
ずっと仏頂面のさくら、さすが我が相棒
それから、山と谷と峠を幾つか越え、
ほとんど霧島連山近くまで達し、素通りが勿体なかったけど、
風呂と晩飯が恋しくて宿へハンドルを切った
おかげで予定になかった九州中央山地の走行を堪能できた
二人とも物も言わずに頑張ったおかげで、
何とか夕食に間に合った
明日はいよいよ西都原古墳公園で桜と菜の花にご対面の筈だ