『心やすらぐ 仏像なぞり描き』(著・田中ひろみ、発行・池田書店)から、
釈迦如来坐像
しゃかにょらいざぞう
室生寺(奈良県)
*本書解説より*
昔、女人禁制だった高野山に対し、女性の参詣が許されていたことから、「女人高野」とも呼ばれる室生寺。
その弥勒堂のご本尊である弥勒菩薩像に向かって右に、客仏として安置されているのが釈迦如来坐像です。
通った鼻筋に、切れ長の目の美しい顔立ち。
有名なカメラマンの土門拳が「日本一の美男子」といった仏像です。
榧(かや)の木の一本造りの木造の仏像ですが、彩色がところどころ剥げ落ち、下地の白土が残っているところも、歴史を感じさせます。
特徴的なのは、つるつるとした頭です。
頭にはコブのような肉髻(にっけい)がありますが、くるくると渦巻く螺髪はありません。
波打つような衣服は、翻波(ほんぱ)式といって大小の波が繰り返す模様で、平安前期の彫刻の特徴です。
足元を見ると、渦巻きのように巻かれた美しい渦紋(かもん)も見ることができます。
釈迦如来坐像の手をよく見ると、手の親指と人差し指の間に、水かきのような膜があります。
これは「縵網相(まんもうそう)」といって如来像の特徴のひとつです。
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トンボ色鉛筆1500 19 すみれいろを使ってなぞりました✏️